メイク・ストーリー『欠けた色を取り戻して』(後編)
「メイク・ストーリー」(今回は、ノンフィクションです~)をお届けします![]()
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「欠けた色を取り戻して」(後編) (麻実)
箱の他のスペースは、パクトが2種あった。
何が入っているのか、開けてみた。
アイシャドウパレットに、1色だけ、うすいブルーグレーの色が入っていた。
使い込まれたチップとともに。
もう1つのパクトは・・・・
開くと、一瞬、目を大きく見開くことになった。
言葉がでなかった。
そこには、控えめな、ピンクベージュ系のチークがあった。
・・だが、その「色」だとわかるのには、時間が必要だった。
なぜなら、もうだいぶ使い込まれていて、
四隅に、ごくわずかに、その色だとわかるくらいの色が入っているだけだったからだ。
ブラシも、何度も使い込まれていて、
ブラシの毛先が、変型しているほどだった。
もう、色はほとんど残っていなかった。
そういえば昨日、「ファンデーションの他(のメイク道具)は、、必要ないよね?」
と、母がちょっと恥ずかしそうにしていた理由が
そのときはじめてわかったのだった。
わたしは仕事柄、メイクレッスンにくるお客様の、化粧ポーチを見る。
お客様と一緒に、メイクアイテムのお買い物にも、同行することもある。
お客様のポーチをみて、その人のふだんの生活シーンや、
嗜好などをみている。
なのに、母のことは、ほとんど知らなかった。
この瞬間に、やっぱりわたしの母なんだと、思った。
急にいとおしくなった。
潔癖症な母は、スポンジは、いつも、使ったらすぐ洗う。
コスメボックスも買わず、
100円ショップで売っているような取っ手のついた箱に、
それぞれのものが見えやすいように、物を置いている。
埃なんて、たまっておらず、気持ちのよいくらい整然と並べられていた。
道具も、そこにいることが、居心地がよさそうで、
それ以上でも、それ以下でもなかった。
見栄を張らず、質実剛健。質素。
たとえ色が欠けていても、シンプルなものを長く愛する。
大事に使う。
おそらくあのチークやアイシャドウは、
10年くらい、使っていそうなものだった。
そんな姿勢が、一瞬でそれらのものを通じて
わたしに語りかけてくるのだった。
母は、年齢よりも10くらいも若く見えて、
わたしとは正反対な、彫りの深い、外人のような顔つきをしていた。
だから、幼少の頃から、よく目立って、
めずらしく見られることがたまらなくイヤだったという。
そんなだったから、メイクもごく薄く、わたしに対しては
「メイクなんて、しなくていいのよ」と教え込まれていた。
(だが、それはわたしには違うんだと気付いたことが、
わたしをメイクの道へと導いてくれた1つの大きな理由でもある)
仕事を始めてまもなく、大層なメイクブラシセットも贈ってもらったことがある。
なのに、母は、自分のことは、いつも後回しな人だった。
家族よりいつも遅く寝ているのに、
朝は、家族の誰よりも早く起きて、掃除、洗濯、料理・・・常に、動いている人だった。
欠けたチーク。
すべてがなくなってしまう前に、
アイシャドウとチーク、プレゼントしようと、思った。
母の持つ道具とけんかしないように、調和も考えて
・・そう思ったら、楽しくなってきた。
そしたら、こっそり、あのプラスティックの箱に、
メッセージカードと一緒に忍ばせて、驚かせてあげたい。
自分でも知らない母の魅力を
数ある化粧品の中から、これがベスト、という色を、輝きを、母にまとってほしい。
いつまでも、若く、美しくいてほしい。
そんな思いを、母への感謝の気持ちを込めて。
(end)
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後日談ですが・・
取り急ぎ、重要度の高い(!)チークを選び、
母に、プレゼントしました。
(口紅は、あげても、使われずに、すぐにしまわれてしまう・・
という過去がありましたので
今回は、毎日使っていると、やっと判明した(←わたし、、気付くの、遅すぎですよね
)
レッド系の、色合いがキレイでナチュラルになじむチークをプレゼントしました。
アイシャドウパレットは、今度、ゆっくり探しにいく予定です
)
母は、ちょっと照れくさそうに
「週末ね、セールのときに安くなったら、
チーク、買おうと思ってたところだったの。
でも、、ほんとありがとう、いい色ね![]()
大事に使うね。」
と。。
なんだか可愛らしい母でした![]()
メイク・ストーリー『欠けた色を取り戻して』(前編)
「メイク・ストーリー」(今回は、ノンフィクションです~)をお届けします![]()
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「欠けた色を取り戻して」(前編) (麻実)
母は、物を大事にする人だ。
10年以上もの年季の入った洋服を、平気で着ていく。
母は、その人の行動の前・後まで的確に察知し、
フォローをさりげなくできる達人だった。
久しぶりに実家に行った、ある日のこと。
その日は、夕ご飯を食べたらすぐに帰る予定だったが、
あまりの居心地のよさに、泊まっていくことにした。
が・・
こういうときに限って、ファンデーションを持ち合わせていなかった。
「お母さん、明日、ファンデーションだけ、貸してくれない?」
というと、透明なプラスティックの箱をいそいそともってきた。
「ほら、ここに、ファンデーション、入ってるから。
お母さんいつも、この2色を混ぜるとちょうどいい色になるから、使ってるの。
スポンジは、これね。水につけて使うといいかもね。
あ、もしピンを使うなら、ここに。」
そのコンパクトを開けると、
たしかに、明るい肌色と暗い肌色との2色が入っていて、
でもそれらは、そのコンパクトにたまたま入ったのだろうか、
若干スペースがあるところをみると、コンパクトと、
そのファンデーションリフィルとは、一致していないもののようだった。
・・翌朝。ふだん、わたしはリキッドファンデーション派だが、
母にならい、ファンデーションを借りることにした。
ファンデーションのパクトを取り出した。ササッと、「水あり」使用で使ってみる。
なかなかよかった。どこのメーカーかはわからないが、
おそらく母のことなので、国産メーカーかな、とあたりをつけた。
母に借りた、プラスチックの箱──
この箱には、ファンデーション以外に何が入っているのかがぜん気になり、
どんなものを母が使っているのか、わたしは興味津々で箱をさぐった。
何かの空き筒に入れられた、軸物(じくもの)類。
リキッドアイブロウが、2種。
すぐに高級と分かる、有名ブランドもののアイブロウペンシルが、1種。
ガチガチにカタクなってしまっている、アイブロウブラシ。
これで、リキッドアイブロウをぼかしているのかも、と察知した。
あとは・・黒いマスカラと、
昨日、わたしがあげた茶色いマスカラ。
ビューラー。リップブラシ。
あれ・・・?わたしがプレゼントした口紅は、どこだろ。。?
思い出した。大事そうに、違うスペースにしまってあることを。
ということは、口紅は、ふだん、使っていない模様だ。
(後編に続く・・)
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