川﨑春花と櫻井心那。
ふたりは、2021年プロテスト合格の同期で同い年。
尾関彩美悠がトップで合格をしたこの94期生(いわゆる、ダイヤモンド世代)はすごいメンツだ。
プロ1年目はステップアップツアー(SUT)を主戦場にすることを決めていた櫻井心那。6月に早くも初優勝を果たし、その後も順調に勝ち星を重ねて、SUT史上初の5勝を上げた。
しかし、その上を行くかのように9月、川﨑春花がコニカミノルタ杯で初優勝。3日目まで首位山下美夢有と4打差、すでに女王の風格を纏い出した山下である。それは絶対に埋められない差のはずだった。しかし最終日8アンダーの固め打ちで大逆転の勝利。私は川﨑への祝福の気持ちが湧き起こる前に、このメジャー大会でのその物怖じしないプレーに、少し怖さを感じたことを覚えている。
さらに、ひと月後のマスターズGCで2勝目をあげて、2022年はランキング15位、見事に初シードを獲得した。
川﨑の活躍について櫻井は、こう語る。
「いいなぁ……とは思ったけど、地道にやってれば私にもいい事があるはずと信じていた」
その櫻井も、推薦で出場したJLPGAツアーのmeijiカップを最終日最終組で戦い、プレーオフを賭けたパットを打つなど、観客に強いインパクトを与えた。
このようなプロ1年目を過ごしたふたりだったが、翌2023年シーズンは、2年目のジンクスか不振に陥ってしまった川﨑とは対照的に、櫻井が6月の資生堂で初優勝を果たすと、その後も順調に勝ち、なんと年間4勝という、10代の選手では3人目という偉業を成し遂げる。
楽天で勝った櫻井、祝福にきた川﨑と手を繋いだままアテストルームの方へ
そんなふたりが10月の富士通レディースで、展開によってはプレーオフで一騎打ちになる可能性が高まった。
3日目を終わって櫻井が首位に立ち、2位とは1打差、そして川﨑と2打差で最終日を迎えるはずだった。
2022年の活躍に比べたら、かなり物足りないプレーが目立った今シーズンの川﨑だったが、親友の背中を捕えられる位置で迎える最終日は、復活のきっかけとして、何としてもプレーして結果を残したかったであろう。
実現すれば私的には岩井姉妹のプレーオフ以上に興奮するものであったが、残念ながらそのふたりの対決は時期尚早と判断したのか、天照大神が岩戸に隠れてしまったようで、荒天により最終日の競技が中止となり、そのまま櫻井が今季4勝目をあげた。
他の記事で何度も書いたが、櫻井心那がJLPGAツアーで戦うのは、おそらくこれから開幕する2024年シーズンいっぱいまでだと思う。
川崎春花よ、今季中に櫻井との極上の一騎打ちを見せてはくれまいか。
Alba.TVのダイヤモンド世代座談会。「(櫻井が履いている)ポケモン靴下、あとで見せてあげるね?」に「あ、大丈夫大丈夫(興味ナシ)」と応える川﨑。このシリーズは佐藤心結のヤバさが浮き彫りになった好企画だった
同期っていいな。
このように何かの機会に必ず比較されるのは、本人たちは望まないことだろう。だが、最終プロテスト終了後にリーダーボードを一緒に指差した仲間の絆は、私のような凡夫には到底測ることのできない強固なものなのだ。
94期ダイヤモンド世代。佐藤心結や竹田麗央、小林夢果ら初優勝を狙う逸材が揃っている
そう思えば、何も今季中に対決を、などと急がせる必要などない。
これから国の内外を問わずお互いプレーを続けて、ある年に同じツアーを戦場とした時に、今までの経験をたっぷり貯めた引き出しを全開にして、川﨑春花と櫻井心那が全力を尽くして戦う姿を観ることができるなら、その順位はあまり意味をなさないだろう。何歳になっていたとしても、ふたりはいつまでも、はるちんとここなちんのままのはずだ。
櫻井のインスタ。佐藤心結を加えた3人のタイ合宿での一枚。同期ってやっぱ良いよね
ついさっきアップされたこの櫻井のインスタのおかげで、テキストにライブ感が吹き込まれた。
JLPGAツアー2024年シーズン開幕まで、あと9日。
2/25追記:台湾メジャー、はるちんが優勝。
「はるちんが優勝したら、泣いてしまうわ」と言っていた心那ちん。やはり泣いてしまったようで、それが伝播してはるちんも号泣
みゆちんと、神谷そらも駆けつけて祝福