2023 JLPGAツアー【8〜9月/中盤戦その2】 | ひよこきんぎょのJLPGA(日本女子プロゴルフ)ツアー観戦記

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菊地絵理香選手を中心に、試合レビューを書いていきます。
※記事中の人名はすべて敬称略とさせていただきます(一部例外あり)

 8月。「北海道meijiカップ」で鈴木愛が優勝した。最後の優勝から2年、苦しく長い時間だった。しかし涙はなかった。泣いているヒマなどない。失い続けたこの2年をこれから取り返していくのだから。

 



 翌週「NEC軽井沢72」で初優勝したのは菅沼菜々。ずいぶんファンを待たせたようだが、“アイドル”とはすぐにはステージに登場しないものだ。

 


 そして、ここでも菅沼を祝福のため18番グリーンで待つお姉さんが。もちろん絵理香姉さんだ。どこまで後輩思いな先輩なんだろう。

 


菅沼のご両親、親友の稲見に交じって絵理香先輩

 さらに「CAT Ladies」では蛭田みな美が初優勝。18番の3パット→プレーオフで完全に負けフラグが立っていた蛭田だったが、プレーオフで衝撃のスーパーショット。この日は何があっても蛭田が勝つ日だったのだろう。

そしてついに歓喜の瞬間がやってきた。


 前述の「ミネベアミツミレディス」ホステス大会で2位と惜敗した菊地絵理香選手。その時のリベンジを果たすのに最適な大会が、北海道で開催されるこの「ニトリレディス」だ。ミネベアミツミを“奪っていった”小祝さくらの所属先であるニトリ主催の大会で、地元北海道Vを決めることができるか。


 そのような諸事情からさすがに力が入ったのか、スタートからボギーが重なり嫌な雰囲気に。

 

 そこで雷鳴が轟き初日はサスペンデッドとなった。

 

 絵理香選手にとって結果これは良い中断に。

 翌日32Hという長丁場を消化、8バーディ・2ボギーで一気に首位と2打差まで詰め寄ったのだ。その勢いのまま3日目も5つ伸ばして、ついに申ジエ岩井明愛をとらえて首位に並んだ。

 この雰囲気ならこのままイケるかもしれない……。

 しかし最終日、ジエ明愛がスタートからエンジン全開。そして後続の上田桃子吉田優利も伸ばしてきて、絵理香選手は8番を終わって5位Tまで順位を落としてしまう。明らかに勢いは他の選手にある。

 そこに、今大会2度目の雷鳴が轟いた。

 中断から2時間半後、最終日の競技中止が決定。勝負は前日3日目首位に並んでいた3人、つまり申ジエ、岩井明愛、そして菊地絵理香選手のプレーオフによって決することとなった。

 絵理香選手、プレーオフの戦績はここまで0勝4敗。しかも3人プレーオフで蘇るのはやはりあの日のことだ。


 「(一番嫌なPOは)女子オープン、片山津ですかね」

 何かを変えたかった。だからあの時と違う行動をした。


 「送迎カートは今回は一番前に乗りました」
 「(一番前は今回が)初めてです」

 
 絵理香選手の乗ったカートを先頭に、他2人を載せたカートが勝負の舞台17番(パー3)へ向かう。


 明愛のティーショットはバンカー目玉で万事休す。ジエはまさかの3パットでボギーに。

 手がまったく動かずやっと2オンして、ジエのバーディパット、パーパット、そしてまさかのボギーパットを見つめていた絵理香選手。

 ほんの数分前まで、打たせてもらえるのかすらわからなかった絵理香選手のパーパットは、なんとウイニングパットに昇格することになった。

 


 さっきまであれほど動いてくれなかった手は、最後にスッと動いてくれて、軽くスライスしたボールはカップに消えた。

 菊地絵理香、昨年に続き地元北海道で今季初優勝を飾り、そして最終戦リコーカップへの出場も決めた。

 ジエ、明愛とハグで健闘を讃えあっていると、遠くで祝福の雷鳴が聞こえた(ような気がした)。

 



絵理香先輩、伝説のスキップ(with 17番フラッグを持ち帰る準備をする川口大二キャディ)



神谷そらがメジャー初制覇
 
 「ゴルフ5レディス」から9月が始まった。櫻井心那が3勝目。最終日、16番は左に池が広がる難しいホールで、前日岩井千怜が+10を叩いたところだ。櫻井のティーショットは左の池ギリギリを飛ぶビッグショットでフェアウェイへ。残り3ホール、まだ1打差2位にふたりいる状況でこのショットである。山下美夢有を倒すのはやはり櫻井だと確信した。

 


 今季2つ目のメジャー大会「日本女子プロゴルフ選手権」では、神谷そらが4月のフジサンケイに続いて今季2勝目。「海沿いはまかせて」と言わんばかりの自信に満ちたプレーだった。飛距離に注目が集まるがパットもうまく、平均パット数は7位(9月10日時点)。この試合惜しくも1打届かなかったが、神谷を追う小祝さくらにものすごい“闘気”を感じたのを覚えている。


 第28戦「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」。ここまで何度優勝争いをしてきただろう。4月のバンテリンレディス以来の2勝目をあげた岩井明愛。その鬱憤を晴らすかのように翌週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ」で連勝、しかも2つとも完全優勝だ。

 


 明愛が完全に覚醒したようだ。これ以上ない勢いを味方に、次週はいよいよナショナルオープン「日本女子オープンゴルフ選手権」を迎える。

 

また、この「ミヤギテレビ杯ダンロップ」終了後、第2回リランキングが確定した。

 

 

2023.12.6.17:29 了