山下、岩井姉妹の前に立ちはだかったのは
6月1週目の「リシャール・ミル ヨネックスレディス」は降雨と濃霧により、27Hでの超短縮決戦となる。佐久間朱莉とのプレーオフを制した川岸史果が6年ぶりの優勝を果たした。3週連続優勝を狙った山下だったが、プレーオフをかけたバーディパットはわずかに左へ外して終戦。私のメモには「山下も人間だった」とある。3週連続優勝とはそれほどのことなのだ。
リシャール ミル2R、濃霧で前に進めない河本結、菅沼菜々、木村彩子
翌週の「サントリーレディス」は岩井千怜の今季2勝目にして4日間首位を譲らずの完全優勝。その翌週「ニチレイレディス」は追いすがる岩井姉妹の追撃をまったく慌てずさらりとかわし、山下美夢有が今季早くも4勝目を上げた。
このニチレイレディス終了時点で第1回リランキングが確定し、桑木志帆、竹田麗央、そして櫻井心那以下30位前後までの選手に9月のダンロップレディスまでの出場権が与えられた。ツアー席巻中の岩井姉妹も昨年ここでチャンスをつかみ上がってきたのだ。
開幕からベテラン勢のスタートダッシュはあったが、序盤戦ここまでは「山下・岩井時代」の様相を呈していた。しかし次戦アースモンダミンカップからその流れが少し変わっていく。
前週山下に敗れた岩井明愛が「アースモンダミンカップ」で今季2勝目を狙う。だが、そこに待ったをかけたのが申ジエだった。明愛とのプレーオフでは格の違いを見せつけ、開幕戦以来の今季2勝目をあげ、永久シードまであと2勝とした。このジエの勝利は、全米女子オープンへ旅立つ直前の若手選手たちのその鼻っ柱を、良い意味でへし折った日だといえよう。「私たちもまだまだだな」という気持ちで彼女たちを全米に旅立たせたジエの功績は大きい。
さて、お待たせしました。
アースといえば菊地絵理香選手である。
初日のフロントナインの主役は完全に彼女だった。ブリジストンからの良い流れはやはり来ており、最終日の上がり3ホール3連続バーディ締めで一時クラブハウスリーダーに。今季初優勝は時間の問題だ。
とにかく私が初日から浮かれまくりのリンクはこちら。
櫻井心那の登場
7月、山下美夢有と申ジエは全米女子オープンへと旅立った。鬼の居ぬ間に開催された「資生堂レディス」で優勝したのは、昨年ステップアップツアー5勝の櫻井心那。前週リランキングで1位となった桑木志帆とのプレーオフを制して見事に初優勝を果たした。
プレーオフに入ってさらに伸びるドライバーの飛距離、ウイニングパットは下りを強めに壁ドンカップイン。このメンタルの強さ、さすがステップで5勝は伊達じゃない。今の山下と戦える選手が現れたかもしれない。
櫻井心那、初優勝のウイニングパットを上からそんなに強く打つんかいー
次週の「ミネベアミツミレディス」は北海道開催。山下らに続いてさらに岩井明愛、吉田優利らが全米へ出かけたので、鬼が居なさすぎる間に初優勝を狙う選手たちはたいへん色めき立った。しかし、私を忘れてはいませんか?とばかりに小祝さくらが今季初優勝。4日間同ペアリング(小祝さくら、菊地絵理香、宮澤美咲)、しかも3人とも地元北海道出身という奇跡の組み合わせに、現地のファンは(画面越しに観戦の私も)大いに盛り上がった。
4日間このメンツ
ちなみに今大会は菊地絵理香選手にとってホステス大会だった。所属への恩返しのため懸命に戦い、見事2位Tフィニッシュ。“残念ながら優勝を逃した”などと書けるわけがない。ホステス大会のプレッシャーがいかに大きく、結果を出すのがどれくらい困難なものなのかは、伊藤園所属のプロたちに聞いてみるといい。
とはいえ、絵理香選手も悔しいに違いない。しかし大丈夫、心配ご無用だ。今回のリベンジを果たすのに最適な大会がこの後あるのだ。
梅雨明けの便りが届いた7月の3週目、山下をはじめ全米女子に参戦していた選手が続々と帰国し、「大東建託・いい部屋ネットレディス」は久しぶりのフルメンバーが揃った大会となった。
3日目が荒天によりサスペンデッド、今季3試合目の短縮競技となったが、最終日バックナインで5連続バーディを魅せた小滝水音がうれしい初優勝。
翌週の「楽天スーパーレディース」は山下、千怜、西郷がエビアン選手権参戦のため渡仏している。鬼の居ぬ間に強いのは、やはりこの人櫻井心那だ。先日の「資生堂レディス」に続いて今季2勝目。この日の櫻井は鬼が居ようと居まいと勝っていただろう。猛練習中だという100ヤードの精度が上がってきているようで、まさに無敵になりつつある。
今大会3日目まで首位に立っていた鈴木愛だったが1歩及ばず3位フィニッシュ。昨季までの最終日の崩壊は今季は見られない。ずっと調子も良さそうなのでそろそろチャンスが訪れるような雰囲気だ。
2023.12.5.22:50 了