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 1026日に「中部横断自動車道 長坂~八千穂 都市計画に関する説明会」が八ヶ岳やまびこホールであり、いってきました。



会場は満席で関心の高さが窺えました。説明会ではAIの音声を使った都市計画原案の自動説明の後、質疑応答がありました。

山梨県の職員が質問に答えていましたが、充分な回答とは言えなく、疑問が多く湧きました。

特にわたしが気になったことは、これまでの計画段階評価手続きについてでした。

配られた資料によれば、平成252013)年1月~2月に行われた地元説明会で、地域のルート検討としてA案とB案を提示したとあります。しかし質疑応答の中で、この時に提示された両案はそれぞれ中央自動車道長坂ICから分岐するルート案で、同時期に作成されていた中央自動車道須玉ICから分岐するルート案が提示されていなかったということが知らされました。

計画段階評価では複数ルート案の提示と比較検討が必要とされます。山梨県の説明者はこの「須玉ICから分岐するルート案が急勾配かつ不経済だったために提示しなかった」と回答していましたが、答えになっていませんでした。全ての条件を満たすルートなどはあり得ない話であって、「長坂IC案」も問題点を抱えています。(根強い反対運動はその証左です。)したがって、「長坂IC案」なり「須玉IC案」なり、それぞれを提示してそれらが持つ長所と短所を住民に比較検討する機会を与えることは必須です。それを役人が勝手に独り決めして住民に対して判断の機会を与えないことは主権在民に反しています。判断するのは国民であり、国民がよりよく判断できるための材料と機会を用意することは公務員の責務です。比較検討の機会を与えるためには、最低でも須玉IC・双葉IC分岐のルート案を複数ルート案として提示すべきだったと思いました。それをしなかったということは計画段階評価の施行に重大な瑕疵があることになります。

また配られた資料に記されている計画段階評価の中には、地域住民の皆様等とのコミュニケーション活動(アンケート、オープンハウス、意見交換会)とありましたが、今日の質疑応答の模様から見るとそれもかなり不充分なようでした。その資料中の「引き続き都市計画法の手続きにより公平性・透明性の確保により合意形成」という記載は、実態と乖離しています。

昨年61日に開催された全国高速道路建設協議会の第58回総会で、長崎幸太郎山梨県知事は「中部横断自動車道のミッシングリンクである長坂~八千穂間が解消されることで、その先の国際拠点港湾の活用が身近となり、海と空に拓かれた『開の国』へと進化します。」と話しました。

しかし道路は海と空に拓かれるだけではいけません。最も大切な道路の役割は、人と人の間を拓くことにあります。人と人の間を拓くとは、コミュニケーション活動を活発にするということです。それは先ず地域住民の間を拓くことから始まらなければなりません。そこで行政はその先導役を務めなければなりません。そのためには、行政が情報をオープンにして住民に信頼されることが必要です。そうしたことがなされた時に、山梨県は海と空に拓かれるだけでなく、住民に拓かれる「開の国」へと名実ともに進化すると思います。

道路がそのための「道」となったならば、それは素晴らしいと私は思うのです。

それには今からでも計画段階評価をもう一度やり直し、これまでの反省に基づいて「どういう道路にすればやまなしを拓くことができるか」、地域住民と考え話し合うことが大切です。そうしなければ作られる道路の基礎も確かなものとならないからです。

 最後に、説明会の議事録を取らないというのも不可解でした。道路建設に向けた「透明性の確保」を謳っていても、これでは説得力がありません。本当に『開の国』へと進化する道路を建設しようとするならば、最低限のことでしょう。残念でした。