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 8月9日の今日で、ナガサキに原爆が投下されてから77年。しかし世界から核兵器はまだ無くなっていません。

 そんな現状を変えるために立ち上がった非核保有国、国際NGOなどによって、20211月、「全面的に核兵器は違法」と明記した国際法、核兵器禁止条約が発効しました。

 しかし唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界を実現する推進力となるべき日本政府は、核兵器禁止条約に署名・批准していません。

 その理由として日本政府は、「核兵器のない世界は、保有国と非保有国の現実的な協力のプロセスを経て実現されるべきだ。核兵器禁止条約の成立を許せば、両者の間に亀裂が入るだけで、そのプロセスが実現できなくなる。核拡散防止条約(NPT)体制を堅持してその運用に努めるように働き、その上で核保有国と非保有国との橋渡し役になるのが日本政府の役割だ。」と主張しています。

しかしその日本政府のやり方に関しては、具体的な成果は一向に見えてきません。

そもそも核兵器禁止条約が成立した背景には、1968年に作成され、1970年に発効した核拡散防止条約のもとで核軍縮が進まない状況の中で、NPTの核保有国とその核の傘に自国の安全を依存している非核保有国への「異議申し立て」という点があったことを見逃してはいけないと思います。

「非保有国は核を持たない(不拡散)」「保有5大国は核兵器を削減する(核軍縮)」という二つの文言を核拡散防止条約は金科玉条にしながら、核拡散防止条約には核保有5大国に強制する規定もなければ、罰則もありません。したがって、「核不拡散が強調される一方で、核軍縮がまったく進まないではないか」という不満が非保有国の間で高まってきました。

現実に、核拡散防止条約は核不拡散も核軍縮も実現することはできていません。核兵器禁止条約は、いつまでも「核なき世界」を実現できないNPT体制にしびれを切らした非核百数十カ国が、核保有国に対して取った「抗議行動」なのです。

ヒロシマ・ナガサキから77年後の今、核兵器使用もためらわないロシア政府の姿勢は、ささいな軍事行動でも核戦争に発展する恐れが客観的に存在することを世界に示しました。世界に核兵器があることは人類の現実的な脅威であり、特定の国家によるその独占は国際平和の危険であるという現実を突き付けたのです。

NPT体制そのものへの信頼が大きく揺らぐなか、核兵器によって国家を守ろうとして核兵器に依存する国が増え、世界はますます危険になっています。

「核兵器禁止条約によって、保有国と非保有国の分断を深め、国際情勢が不安定になる。」と日本政府は言っていますが、逆です。核兵器が一部の国に認められている仕組みがあるために国際情勢が不安定化しているというのが、ロシアの核兵器による威嚇が明らかにした事実です。

日本の一部の国会議員の核共有論に見られるように、今後さらに核が拡散し、核兵器の使用の危険性が現実的に高い状態にあるならば、「どの国家にも平等に核兵器は違法である」というルールを作ることは、核兵器を現実的に減らしていくためにむしろ必要でしょう。

しかし核兵器をなくすため先頭に立たなければならないはずの日本政府は、先述のように、核兵器禁止条約への署名・批准を拒んでいます。平和祈念式典に参列した岸田総理は、広島での平和祈念式典に続いて、あいさつで核兵器禁止条約に触れませんでした。

この日本政府の態度は、核兵器のある世界を変える意思などなく、現状を追認するに等しいと言っても過言でありません。

 わたしの住む山梨県でも、県議会は核兵器禁止条約の批准を日本政府に働きかける意見書の提出を議決していません。これを議決して核兵器廃絶への意思を示さなければならないと思います。

 

1045分から約1時間、道の駅こぶちざわ前の交差点で行われたスタンディングに参加し、原爆が投下された112分に黙祷を捧げました。