いつもわたしのブログをお読みいただき、有難うございます。

 

 今日は長野県のゆいわーく茅野で、元農林水産大臣の山田正彦さんのお話を聴いて、映画「食の安全を守る人々」を観てきました。

 現在、日本では、農薬の大幅な規制緩和、表記無しのゲノム編集食品流通への動きとTPPを境に昂進するグローバル化によって、農と食がこれまで以上の危機に晒されています。しかし、マスコミによる報道が充分でないためか、残念ながらわたしたちの危機感は高いとは言えません。

 そんな現状に警鐘を鳴らすように、映画では、ラウンドアップという市場で取り扱われている除草剤に含まれるグリホサートという農薬やネオニコチノイドがもたらす危険について、発達障害を引き起こす可能性を指摘しながら描かれます。

 また、古いGMOと称される遺伝子組み換え食品に替わって普及する勢いを示しているゲノム編集食品、いわゆる新しいGMOの持つ危険性についても、登場人物たちが分かりやすく語っていました。

 一方、そんな危険から子どもたちを守るために、韓国で始まった有機給食の取り組みが報告されます。何と韓国では、高校まで学校給食を無償有機化して、現在、韓国の有機農家の出荷先のほとんどは学校だということでした。そうなっているのは、お母さんたちが中心となって要求した結果、各市町村が有機学校給食を無償で提供するという条例を施行したことにあります。現在、20軒に1軒の農家が有機栽培に取り組み、その農家数は年々増えているそうです。

 また大規模農業の米国でも、農業者とその家族、そして土の健康、また慣行栽培に比べて安い有機栽培の生産コストを考えて、有機農業に転換する農家が多いことが報告されました。

 その1人であるロイさんの「子どもに良くないことは誰もがしてはいけません。」という言葉が心に響きました。

 映画上映前後の山田元農林水産大臣のお話では、会場にいるわたしたちの体内にはネオニコチノイドとグリホサートといった危険な農薬があるそうです。それが私たちの今の食と農の実態を映し出しているのですが、そんな現状を子どもたちに渡してはいけない。そのために何ができるか、映画の上映中、茅野市、岡谷市、原村の地方議員たちと話し合ったといいます。そこで話し合われた解決法を三つ示してくれました。その詳細については割愛しますが、山田さんが地方自治を最も強調されていたのは印象的でした。

 「地方分権一括法制定以降の度重なる地方自治法の改正によって、自治体と国は法律上同格となり、『法令に反しない限り』全ての事務について条例を制定することができることとなった。それだから、自分たちの定める条例が法令に反するかどうか国にお伺いを立ててはいけない。この条例制定権の拡大を活用して、たとえば『茅野市で許可なく遺伝子組み換え作物を作った場合は懲役5年の刑に処する。』という条例をつくればいい。これは日本国憲法第25条に適合している。」

 そうして、政府は種子法を廃止したが、陸続とする各県の種子条例制定を受けて、農林水産省の回答も変化し、種子法の再制定を求める審議に政府与党も応じるようになったという例を挙げられました。

 そして、「地方が変われば、国も変わる!」と訴えられていました。

 「食の安全を守る」というテーマにおいても、食と農の現場である地方から声を上げることが大切であるということを再確認した会でした。

 この「食の安全を守る人々」は北杜市でも上映されます。上映後は山田さんのお話も予定されているということですので、出席されることをお勧めします。