いつも私のブログをお読みいただき、有難うございます。

 新型コロナウイルス感染症の影響は拡大し続け、それは長期にわたることを覚悟しなければならないようです。
 今回はこの事態の下で起きているある出来事についての記事を紹介させていただきます。
 紹介するのはコロナ危機の深刻な影響が広がるなか、権利を行使し、生活を守ろうと実際に立ち上がり、声を上げ始めた労働者についての記事です。

 国が整備した制度(新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金)を会社に利用してもらえず、困っている労働者は少なくありません。それは助成金を申請するのは企業であり、労働者個人が申請することはできないからです。そして、企業には助成金を申請しなければならない法的義務はありません。
 日本国憲法に則るならば、労働者個人を救済するに充分でないこの制度設計に問題があるといえます。第13条は基本的人権の保障として「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」とあるからです。
 その一方で、紹介されている事例は、要求しなければ権利は実現しないということ、権利の上に眠る者はその権利を失くしてしまうということも、知らせています。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない。」(日本国憲法第12条)という訳です。
 しかしそうは言っても、会社に対して個人が権利を要求することは、心理的にも、物理的にも難しいこともまた事実です。そこにおいて私たちに必要であるのが、仲間です。仲間に相談することによって分からないことも分かり、独りでは言いにくいことも仲間と一緒に交渉すれば主張しやすくなります。そしてこの場合の仲間は、労働組合です。

 「会社が助成制度を利用してくれない場合、労働者 がそれを実現させるための手段は、労働組合による 交渉が唯一の方法だと言っても過言ではない。労働 局に相談すれば、会社に対して利用するよう働きか けてくれるかもしれないが、会社がそれに従わなけ ればならない法的義務はない。他に頼れるのは労働 組合以外にないのだ。」

 新型コロナウイルス感染症による緊急事態の下で、私たちは権利の上に眠るのか、それとも権利を行使するのか。憲法を実行することこそが今求められている、とわたしは思います。

 「2つの事例から分かることは、ただ制度が整備さ  れただけでは、労働者の権利行使は実現しないとい うことだ。労働法の知識やユニオンの力を使って声 を上げることによって、はじめて法的権利や制度を 有効に利用できる。」

 そしてそれを実行するために不可欠なのは、協同の力です。
 新型コロナウイルス感染症によって、私たちの社会は分断に向かうのか、それとも協同を強くするのか、その分かれ道にわたしたちは現在立っているのかもしれません。

 日常の生活現場の記事からそんなことを考えさせられました。

https://bunshun.jp/articles/-/37228