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 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大し、それはわたしたちの生活にもさまざまに及んでいます。そこで新型コロナウイルス感染症対策に関して、わたしから山梨県・北杜市へ四つの提言をさせていただきました。今回は前回の続きからです。

 

提言① 時短勤務による減収分の補償を!

提言② マスクや感染防護用品などの資材確保へ財政支援を!

提言③ フードバンクや子ども食堂へ未利用食品の寄附を!

提言④ 「経済支援・生活支援・医療支援総合窓口」の設置を!

 

提言③ フードバンクや子ども食堂へ未利用食品の寄附を!


 (前回の続きから)

  そこでさらにそちらに問い合わせましたら、厚生労働省子ども家庭局家庭福祉課母子家庭等自立支援室と厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室との連名で、「新型コロナウイルス感染症対策に伴い発生する未利用食品の利用促進等について」という事務連絡を発出していました。

それによると、310日に創設された「学校臨時休業対策費補助金」によって、学校設置者がキャンセルせずに事業者から購入した食材に係る経費が補助されるということでした。

未利用食品の具体的な活用方法としては、生活困窮者自立支援制度を活用した生活困窮者支援やひとり親家庭の支援に役立てたり、公共料金を滞納されている世帯等を中心に配布し、生活上の困りごと等のきっかけとすること、一時生活支援事業や子どもの学習・生活支援事業利用者に配布し、生活を支援したり、訪問と組み合わせて見守りに役立てること、学習支援と子ども食堂の一体的な実施を進める中で当該食品を活用して食事を活用すること等、取組みが挙げられています。

そのための有効な策として、フードバンクへの寄附が推奨されていました。フードバンクとは、「食品関連事業者その他の者から未利用食品等まだ食べることができる食品の寄附を受けて貧困、災害等により必要な食べ物を十分に入手することができない者にこれを無償で提供するための活動を行う団体」です。フードバンク等の協力によって、一人親家庭及び生活困窮世帯に対する学習支援事業における利用者宅への食品等の配布を促進しようというのです。

そのためにフードバンクへ寄附した場合の経費も補助の対象となるということでした。念のために言い添えますと、この補助金の補助対象にはキャンセルせずに事業者から購入した食材の処分に要した経費も含まれます。すなわち、寄附しなかった食品を北杜市が処分したとしても、それにかかった経費はフードバンク等への寄附に要した費用と同様に補助されるのです。廃棄しても寄付してもそれにかかった費用はわたしたちの税金から払われるということであり、文科省の担当者はフードバンクへの寄附を推奨していました。

以上を確かめてから、もう一度北杜市の担当部署に問い合わせましたら、「先に回答した以外にありません。」とにべも無く言われて終わってしまいました。

しかしこの事務連絡は、山梨県教育委員会学校給食主管課を通して、管内市町村に周知されているものです。

実際、甲府市では市内の小中学校の給食で使われる予定だった食材で作った100円の弁当が、子ども食堂を運営する20の団体でつくる「グループにじいろのわ」によって子どものいる家庭を対象に販売されました。

また甲府市総合市民会館の中にある「なないろカフェ」では、学校給食で使う予定だった食材を有効活用して、格安の弁当を販売することになりました。

また山梨県では、南アルプス市にある「フードバンク山梨」が今度の事態を受けて支援に動いています。318日の朝刊には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校措置で子どもが食事を取れなくなったり、収入減が予想されたりする世帯への支援を目的に、県内で就学援助を受けている世帯を対象に食料を無償提供することが報じられていました。すでに9日に申し込みのあった約700世帯に食料を発送しましたが、生活に困窮している世帯はさらにあるとみて、追加の支援を決めたということです(「毎日新聞」2020318日)。

それですので、フードバンクについても、子ども食堂についても、市から話が一切出てこないというのは解せません。フードバンクが未利用食品を必要としていることは明瞭であり、北杜市の抱える未利用食品が役立てられる道はあります。さらにフードバンクへの寄附に要する費用は国によって補助されるというのですから、躊躇する理由はどこにもない訳です。廃棄にかかる費用も、寄付にかかる費用もわたしたちの税金によって賄われるなら、困った人びとへの寄附に使われた方がいいに決まっています。

また北杜市には子ども食堂もありますから、そちらに未利用食品を提供するということも検討できるのではないでしょうか?実際、埼玉県加須(かぞ)市では33日、市立小中学校の臨時休校に伴う給食の中止で廃棄する予定だった食材を、市内の子ども食堂運営団体などに提供し、生活に困窮しているひとり親家庭への支援などが検討されています。

北杜市では、何らかの理由によって親が面倒をみられない子どもについては、今般の休業中も学校に受け入れているということです。しかし彼らに昼食は提供されていないということす。そうでしたら、文科省の「連絡」に書かれていたような支援を必要とする状況がまさにある訳です。

2019年住みたい都道府県&市町村ランキング調査を行ったブランド総合研究所の田中彰雄社長は、若い世代を呼び込むのに「教育・子育て」は必須の施策で、これに「デザイン・センスが良いまち」というイメージを加えて両者を向上させれば、住みたいという居住意欲度だけでなく、住民の住み続けたいという定住意欲度を高めることにもなると述べています。

北杜市は「2020年版 第8回住みたい田舎ベストランキング」(『田舎暮らしの本』20202月号)の小さな町ランキング総合部門で第2位となっています。フードバンクや子ども食堂といった団体に寄附を行うことによって「教育・子育てのまち」というイメージがアップすれば、都市格(ブランド)は高まり、「住み続けたい」という定住意欲度も上がるのではないでしょうか?

子育て支援で注目を浴びている明石市は、あかし版子ども食堂、里親100%プロジェクト、無戸籍者支援、離婚前後の養育支援、児童扶養手当の毎月支給といった取組みによって、子育て層の増加と出生率の上昇が掛け合わさり、人口がV字回復しています。その結果、税収は平成24年度から28年度にかけて約15億円も増加しました。

少ない歳出施策であっても、それらを創造的な子育て支援政策につなげることよって民間の力を最大限に引き出して、「明石ブランド」の創造に成功している訳です。

新型コロナウイルスという逆境は見方を変えれば、北杜市の都市格(ブランド)を高めるチャンスです。このチャンスをものにするための具体的な施策の一つとしても、フードバンクへの寄附を提言したいと思います。

 

提言④ 「経済支援・生活支援・医療支援総合窓口」の設置を!

 

 最後に、小中高校等が一斉休校になった事態にともなっていくつもの休業補償制度が国や自治体から出されています。これらについては、対象となる人や事業者が実際に使えるような周知徹底が必要です。補償が最も必要なのに、毎日の生活に追われている非正規労働者などは、“情報弱者”でもあることも多いからです。情報が届きづらい人にも届けるようにし、対象となる人全員が使えることが大切です。そのためには市などに支援のための「総合窓口」を設置するのが有効です。

今回、新型コロナウイルス感染症への対策を知るに当たって、わたしはいくつもの部署を回されました。そこに行きさえすれば円滑に手続きできる緊急の相談窓口が役所に設けられれば、忙しい労働者や経営者が複雑な制度を一つずつ調べて、どれが使えるかを考えて申請手続きをする労が省けます。市民が役所でたらい回しされるようなこともないでしょう。

山梨大学の島田真路学長は313日までに、新型コロナウイルスに関する山梨県の情報開示について、「不十分」と苦言を呈し、「不十分な情報共有は不安感や不信感をあおることにつながりかねない」と指摘して積極的な開示を求めました(「山梨日日新聞」2020314日)。県民への正確な情報提供、相談窓口の充実・強化は必須です。しかしそうした「総合窓口」は山梨県にありません。

それを見かねたのか、民間の有志によって「山梨県 新型コロナウイルス感染症対策サイト」が立ち上がりました。東京都が立ち上げた対策サイトのオープンソースのコードを複製して作ったそうですが、神奈川県では県が公式に作っているそうです。

公開した鈴木啓太さんは、「できれば県とデータ面で連携して公式にしてもらうのが理想」と言っています。県はもちろん、市町村にもそれぞれ総合窓口を設け、それらが連携していけば、こうした民間の力も最大限に引き出すことができると思います。

さらに、提言③で挙げた未利用食品の活用と生活困窮者やひとり親家庭の支援という両方をスムーズに実行するためにも、教育委員会や福祉部局、農林部局、環境部局などの庁内部局が連携して、情報共有しながら進めることが必要です。そうした連携を市民とつなぐためには情報共有の基盤ともなる「総合窓口」を設けることは効果的です。そのような庁内の連携体制の構築は、例えば学校給食センター、フードバンク、自立相談支援機関の顔の見える関係の構築に繋がり、今回の新型コロナウイルス感染症への対応だけでなく、今後のまちづくりを進める上でも役立つでしょう。

 

以上の四つをもって、わたしからの提言とさせていただきます。有難うございました。