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 昨週末、白州に素敵な図書館が開館したことを知り、訪ねました。「懐古の蔵 橋場」といい、自宅の蔵を改装してできた私設の図書館です。

 実は開館者である原まゆみさんの御主人の哲也さんはわたしの母校の先輩で、以前伺ったことがありました。その時に蔵を工事していて、「何ができるのだろう?」と思っていたのでした。

 原さんはわたしのことをよく覚えていて、喜んで迎えてくださり、お茶を御馳走になりながら、お話をお聞きすることが出来ました。

 古い蔵をどのように活用しようかいろいろ考えた末、地域住民に本を貸し出したり、読み聞かせをしたりする子ども向けの私設図書館をオープンしたこと。それに当たって手を相当加えて改装されたということでした。そのお陰でとても素敵なスペースになっていました。


 原さんは「読書をするという文化は人生を豊かにする」と言われていましたが、現在はそれを味わう場所がなくなってきているように思います。公立図書館はありますが、もっと気軽にくつろいで居続けられたくなるような場所があってもいい。それには適度な広さと暗さを持つお蔵はもってこいです。日本民俗学の創始者として名高い柳田国男は、少年期に蔵書の山となったお蔵の中に入って読書に浸った経験を次のように書いています。

  「二階の八畳間二間に本を一ぱいおいてあった。・・・朝入ると昼まで、昼入ると晩まで、呼ばれなければおりて来ない。小さな窓があって、その窓の下の長持にもたれて本を読んでいた。」(「退読書歴」)

 このような没頭できる読書経験の上に、詩人、農政学者、民俗学者としての多様で豊かな業績が実っていったのです。柳田とは比べるべくもありませんが、わたし自身も幼い頃祖父の家の物置にあった昔の本を読み耽ったことを思い出します。

 そのように読書と空間には無視できない関係があり、その意味でも「懐古の蔵 橋場」は豊かな読書文化を育むには最適だと思います。

 蔵書の中には懐古の蔵にふさわしい昔の書物もありました。


   江戸時代のベストセラー、頼山陽の『日本外史』も!

 「橋場」という命名には、「地域の子どもと大人の橋渡しの場にしたい」という願いを込めたそうですが、過去と現在、そして未来への橋渡しの場にもなりそうです。

 4月の選挙の折に歩いていてよく聞いたのが、「子どもが溜まれる場所が少ない」という声でした。それですから、「学校帰りの子どもが集い、大人たちが気軽に立ち寄れる場」を願ってつくられた「橋場」は地域にとっても貴重な場所でしょう。そういう側面を重視してか、橋場は文庫の他にも、「発達相談 橋場」「古書 カフェ」「Gallery 端葉」といった機能も備えています。

 「本当は金曜日から日曜日までまるまる開館したいのだけれども、なかなか時間が取れず、毎週開館できているのは金曜日だけであることが残念だ」とも話されていました。

 会員になって利用登録をすると一人5冊まで本の貸し出しも受けられます。

 

 開館日は金、(土または日)

 時間は12:00~16:00

 場所は北杜市白州町白須248です。

 北杜がまた好きになりました☻