自衛隊の同情集める献立の中身・・・仕事はきつく、給料は安く飯は寂しく定年は早いで、強兵が育つ? | hiyamizutosiyoriのブログ

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冬休みの当直をカップ麺とサプリで凌ぎ…自衛隊「もっと食べさせてあげて」と同情された献立の中身

1/2(火) 11:00配信 FRIDAY

https://news.yahoo.co.jp/articles/e6916d56ec334533475ec060bfcceed9aec0e080

 

’21年11月16日、航空自衛隊横田基地 Xのポストから一部引用した写真。<高齢者用の病院食か?><もっと食べさせてあげて>というコメントが並んだ

https://news.yahoo.co.jp/articles/e6916d56ec334533475ec060bfcceed9aec0e080/images/000

 

昨年は自衛隊でショッキングな事件が続発した。’23年6月に自衛官候補生が実弾訓練中に発砲し、3人が殺傷。昨年12月には休暇をとった現役自衛官が京都市内に住む82歳の男性を殺害した事件が起きたばかりだ。

 

【画像あり】<もっと食べさせてあげて>……冬休みに学校に残っている防衛大学生の食堂献立

https://friday.kodansha.co.jp/article/351378/photo/e2c0d582

 

殺害事件に加え、’23年7月6日には航空自衛隊岐阜基地の食堂で計7食分の無銭飲食をした幹部自衛官が停職30日となったことが報じられた。この自衛官は「生活費が不足してやってしまった」という。幹部自衛官や自衛隊の拠点外の官舎や一般賃貸住宅等に居住している「営外勤務者」は、食堂では食べることができない。ただ、事前に申請して許可をもらえば、料金を支払っての食事は可能だが、この手続きの不備や一食に割り当てられた食事量以上にパンや納豆などを取ると、懲戒処分に発展するケースがある。

 

‘22年4月26日には航空自衛隊入間基地の50代の1等空尉が食堂で総菜パン2個を不法に受け取ったとして停職3日の懲戒処分を受けた。この空尉は一食234円の料金を支払ったが、その時にパンのセットかご飯のセットかどちらかを選ばなければならないのに、両方を取ったことが懲戒処分の理由だった。お金をはらっても、パン2個をとったら停職となるのだ。この停職処分をうけるとその後の昇進は絶望的となる。このようなことで隊員が処分されたり退職したりする環境をなんとかしなければならないと私は思う。

 

◆一般の自衛隊員の食事は1日3食947円

 

では自衛隊員の最近の食事情はどうなっているのか。自衛隊というと世間一般では、福利厚生がしっかりとして、衣食住も国から保障されているイメージがある。しかし実際には、隊員自身が生活や職務を遂行するために自己負担する部分も多く、福利厚生が充実しているイメージとはかけ離れた職業だ。

 

多くの国では、敵やテロリストから国を守るために、自国の兵士達を訓練し身心共に強くすることを考える。そのため、兵士に出す「食事」は、強靭な肉体を作ることを目的として重要視されている。日本の政府や多くの国民が考える自衛隊員の「食事」は強靭な肉体作りのためではなく、栄養補給が出来たらそれで良いとしている傾向がある。

 

わかりやすい例を挙げると、自衛隊の食事についてSNS等で問題提起した時「一般企業の社員食堂もそんなもんだよ。これでじゅうぶんだろう」「自衛隊を贅沢させるな」というコメントが一定数ある。日本では国を守るために日夜訓練をしている自衛隊員の食事と、一般の方の食事では目的や意味が違うことについて説明しても、理解されにくいのが実情だ。

 

離島や艦艇勤務、パイロット等の特別職等、食費の加算がある立場の人を除き、通常一般の自衛隊員の食事は1日3食を947円で賄っている。

 

自衛隊の食事について問題視したきっかけは、‘21年の11月16日、航空自衛隊横田基地のXへのポストだった。「空自横田基地の栄養バランスのとれた機能の食事 #横田飯を紹介します」という投稿だ。

 

◆基地で出される食事内容は一律ではないが……

 

<栄養バランスがとれた食事>と紹介された朝食のおかずはししゃも2尾にわずかな明太子だった。昼食もマーボナスと野菜の和え物、夜食はサバの味醂干焼と澄まし汁。<高齢者用の病院食か?><もっと食べさせてあげて>というコメントが溢れた。

 

この後、このポストは何度も炎上したため、横田基地はかなり慎重に特別なメニューだけをポストするようになった。しかし、その後の‘23年の5月31日、ごぼう天うどんのポストも<動物性たんぱく質少なすぎますね>というコメントがあった。

 

基地で出される食事内容は一律ではなく、糧食費が十分にある基地とそうでない基地とで大きく変わる。例えば宮古島駐屯地では離島ルールで一般の拠点より、おかずが一品多くつくと決められている。輸送費込みの1日当たりの糧食費は1400円に加算される。離島は他の拠点よりも食事はおいしい。宮古島駐屯地の昼食「宮古そば」と横田基地の「ごぼう天うどん」を比較すればその内容差がわかるはずだ。1日当たりの糧食費が十分にあればおいしい栄養価の高いご飯を食べることができる。同様にパイロットの食事や海上自衛隊の艦艇勤務の食費も離島ほどではないが加算される。自衛隊の食事内容には職域によって大きな差がある。

 

将来、自衛隊の幹部となる学生や研究職の隊員がいる防衛大学校も現在、冬季休暇に入っているが、学生が実家に帰る時期、当直や研究で学校に残った学生へ出される食事内容を入手することができた。

 

これは今年の12月29日から31日にかけて出される献立だ。防衛大学校では年末になると1日を通してカップラーメンやジュース、栄養補助食品等しか出ていないことがわかる。防衛大学校内の売店は休業し、学校近くに売店やレストランはない。買い出しに行くにも時間がかかる。長期休暇となる年末でほとんどの隊員が帰省していることは分かるが、せめて栄養面を考えて弁当くらい出してはどうだろう。当直等で働く隊員の食事がこれではあまりにかわいそうだ。

 

自衛隊員の両親はこう明かす。

 

「食堂のごはんだけでは足らず、息子はいつもコンビニでお惣菜や弁当を追加で買って食べています。『(追加で買っていることを)自衛隊に言うな』と言われているようですが、憤りを感じます」

 

では、他国の軍の「食事」はどうなのか。「米軍の食堂は有料だろう?」と言う人がいるが、それだけでは言葉が足らない。米軍は給料とは別に生活の基本手当としてBAS(Basic Allowance for Subsistence)が加算される。2023年度、軍に所属したばかりの兵士(Enlisted)に対して452.56ドル(約6万7000円)が支給される。

 

このお金(BAS)で「ミールカード」を買い、食堂でこのカードを提示して食事をする。食堂を毎日利用してもBASの金額の3分の1程度が差し引かれる程度だ。残金でトイレットペーパーや洗面用具などの生活消耗品費用は十分残る。

 

米軍内の食事のメインディッシュは限定されるが、サイドメニューはとり放題のビュッフェ形式だ。ドリンクバーやソフトクリームバー、果物やデザートも自由に取れる。大きな拠点ではビーガンやベジタリアンのための食堂まで存在する。

 

中国の軍事侵攻に備える台湾軍もまた、食事もカロリー量だけでなく栄養価を考えた様々な素材を取り揃えるビュッフェ形式を採用している。

 

‘19年に自衛隊員の食事の基礎となる「栄養摂取基準」の見直しがあった。それまで自衛隊は50年前に制定された1日3300キロカロリーという栄養摂取基準があった。これではカロリーばかりが多く、他の栄養素(食物繊維やビタミン、ミネラル等)が足らない。新基準では1日3000キロカロリーと変わり、肉類や野菜、果物、豆、イモ類、海藻などの食品を追加することとなった。しかし、それでも諸外国の軍人の食事と比較すると見劣りがする。

 

この日本の自衛隊の最低限栄養が取れたら良いという考え方「兵士は強靭に」を目指す諸外国の正規軍の「食事」の考え方の違いによって、体格や身体能力の差へと変わっていく。毎日の食事を疎かに考えてはならない。自衛隊は肉体的に過酷な職業だ。平時から腹を空かして十分な栄養を摂れない環境では、大規模災害や有事といった国難に備えられないはずだ。防衛力強化の一つとして国防を担う自衛隊員が日々の訓練や有事に備えられる充実した食事を提供して欲しい。

 

取材・文・写真:小笠原理恵

国防ジャーナリスト。関西外国語大学卒業後、フリーライターとして自衛隊や安全保障問題を中心に活動。19年刊行の著書『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。公益財団法人アパ日本再興財団主催・第十五回「真の近現代史観」懸賞論文で最優秀藤誠志賞を受賞

 

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