色づくころ
埼玉県秩父郡皆野町
紫陽花というと、雨に絡めて濃いめの色を重厚にという
そんな写真ばかりでしたので、ちょっと雰囲気を変えて若々しい感じで。
というのも、奥の方はまだ色づき始めの花が多かったので。
実はこんなエピソードがこの時ありました。
僕は隣の株のクモの巣が絡んだ部分を撮影してたのです。
そこへ60代後半?くらいのおばあさんがやってきて
しばらく隣の株をじーっと眺めてたのです。
そして三脚をセットしてファインダーを覗き込み
まではよかったのですが
オートフォーカスがなかなか合わないようで
ウィーンウィーン ウィーンウィーン
レンズが伸びたり縮んだりを繰り返します。
僕は横隔膜が痙攣しそうになるのを必死でこらえながらも
「がんばれ」そう心の中でつぶやいておりました。
しばらくして
カシャ カシャ カシャ
ブランケットに設定されてたのでしょうか
小気味よいシャッター音が三回、僕の耳に飛び込んできました。
思わずチラリとおばあさんの方を見ると
今撮れたばかりの画像をカメラで確認していました。
それはもう子供のような素直で最上級の笑みを浮かべておりました。
僕のように、喜びたいのに必死にそれを表情に出すまいとしながらも
それが顔に滲み出てくるような、不気味な笑みとはわけが違います。
そんなおばあさんと、目があってしまい
思わず僕も「よかったですね」と声をかけていました。
よっぽどうれしかったのか、おばあさんは満面の笑みを浮かべたまま
三脚からカメラを外して、少し離れたところで撮影していたご主人?の所へ
でもどうやらご主人はお気に召さなかったようで
「お前は、まーたこんなのばかり」とか
随分と大きな声でダメ出しされてたのです。
おばあさんは何も言わず、すごすごと引き返してきたのですが
さっきまでの笑みはすっかり消えて、
何だか気の毒になるほどしょんぼりしていました。
(関わらない 関わらない)
ちょっと気まずくて、場所を移動しようとした際にチラリと
おばあさんがさっき撮影したであろう画像が見えたのです。
「あっ、かわいい感じで撮れましたね~」
思わず口にしてしまいました。
でも本当にそう思ったのです。
おばあさんは最初
少し驚いたような照れたような複雑な表情されていましたが
「私はいいと思うんだけどねぇ~」 と、一言
「自分が撮りたいように撮れたら、それが一番じゃないですか?」
っと、自分は年に数回くらいしかできないくせに、さりげなく呟いてみました。
その瞬間、おばあさんの顔に先ほどの笑みがもどってきました。
それで終われば良かったのですが・・・
「そうなのよ、でもあの人はいっっつもそうなの。」
「私が撮ったのはぜーんぶ気に入らないの、この間もね・・・」
ああ・・・・・・・
長々と愚痴を聞かされまして・・・
僕の頭の中では、どうやってこの場を脱出するべきか
それだけがかけめぐっておりました。
やっぱり関わらなければよかった・・・。
そんなおばあさんが撮影してたのを
なんとなく真似してみたのが、一枚目の画像です。
これを見るたびに、この時の事を思い出すのでしょうね、きっと。
長々と失礼しました。































