旅の思い出「室戸岬」で大地の活動を体感する(高知県・室戸市) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

室戸岬(室戸ジオパーク)

 

往訪日:2023年11月24日

所在地:高知県室戸市室戸岬町

アクセス:高知自動車道・南国ICから約1時間40分

駐車場:無料(21台)※複数あります

 

《エボシ岩とビシャゴ岩》

 

旅行二日目の最終目的地は室戸岬でした。高知県東部の南端に位置する室戸岬はプレートの衝突による大地の運動を観察できる世界ジオパーク。以下、往訪記です。

 

★ ★ ★

 

北川町を出発して海岸沿いの国道55号を走る。行当岬についた瞬間、海原の彼方に室戸岬がその姿を現した。

 

 

一段高くなっているね。

 

「ほんとだ。水平な台地になってるにゃ」サル

 

四国が乗っかるユーラシアプレートに、北上するフィリピン海プレートが沈み込む。その圧力で地殻変動が起きて海底が隆起するわけよ。

 

「つまり、台地の表面はかつての海底?」サル

 

粗っぽく説明するとそうなるね。こうした地形を海岸段丘というんだよ。

 

「ふむふむ」サル

 

 

ついた。駐車場対面の中岡慎太郎の巨大銅像ですぐ判る。すっごく頭が大きい。

 

 

海岸沿いに遊歩道が整備されている。ゴールのエボシ岩まで約1.5㌔。とりあえず行くことにした。

 

 

室戸岬は主に付加体(堆積岩の集まり)でできている。押し寄せるプレートの圧力で海底表層の堆積物がグイグイ押し付けられた結果だ。

 

「何回も聞いたよ」サル さすがに覚えた

 

でも、そこに斑レイ岩(深成岩の一種)の分布ゾーンもあるんだよ。

 

「珍しいこと?」サル

 

プレートの摩擦で地下でマグマが発生した証しなんだ。それが冷えて露出したのが斑レイ岩層。

 

「まずは観てみるだよ」サル

 

 

高知城はあれだけ混雑していたのに室戸岬はガラガラ。平日だから?

 

「来ないと思うなー。マニアックだもん」サル

 

でも景色はいいよ。

 

 

ここだよ!憧れ続けた場所は!

 

「フツーの海岸だけど…」サル

 

左の地層はこっち向きだけど、右は縦にミルフィーユ状になっているでしょ。地層が褶曲して向きがバラバラになっているんだ。

 

「どーしてこっちが上って判るのち?」サル

 

表面で判る。

 


表面が波状だね。これはかつての海底に波が残した痕(漣痕)だ。

 

 

これだけ立派な漣痕は珍しい。

 

「レンコン?」サル わりと好き

 

水棲生物の巣の痕(生痕化石)なんかも見つけることができる。

 

 

断面が砂岩泥岩の互層になっている。これをタービダイト層というよ。

 

 

見返すと段丘の上部に室戸高台が見える。

 

《灌頂ヶ浜》

 

桂浜と違って白黒の石しかないね。

 

「どーして?」サル 一応訊いてやろう

 

桂浜周辺には上流部の地質が異なる複数の河川が流れ込んでいる。だから多様な岩石が礫化する。他方、室戸岬は流れ込む川がない。だから、砂岩、泥岩、斑レイ岩など、海岸を組成する限られた石しかないんだよ。

 

「ほんと?」サル

 

そうだよあせ ←最近ボケが始まっているので疑われると自信ない

 

《月見ヶ浜》

 

海と離れた処になぜか標識。

 

《眼洗いの池》

 

波による浸蝕痕のノッチ(波蝕窪)のなれの果てかな。

 

 

おサルが歩いている場所はかつての海岸線。1946年の南海地震の影響で1.27㍍隆起したそうだ。

 

「お社みたいなモノが見えるにゃ」サル

 

行ってみよう。

 

《龍宮神社》

 

立派な神社だった。海の平和を護っているのだろう。

 

 

ここの地層はちょっと違うね。

 

 

礫岩の地層だ。

 

「結構時間たったけど」サル

 

そうか。じゃ一旦戻ろう💦

 

室戸の宿が取れず、この日の投宿先はいの町。なのでピストンで戻ると二時間以上はかかる。最後のスポット、観音窟エボシ岩までは車で移動することにした。

 

 

アコウの原生林のなかを潜って車道を目指す。

 

 

展望台があったので一応登る。

 

《観音窟》

 

二箇所洞窟があり、祠が祀られていた。ここはかつての海蝕洞。つまり、更に昔(4500年~2800年前)ここが海岸線だったわけね。

 

 

崩落の危険性があるのだろう。

 

「次も車で移動してくれ」サル

 

了解よ。

 

 

エボシ岩だ。写真ではうまく表現できなかったが巨大!

 

 

以前は直下を通過できたのだろう。(現在は通り抜け禁止)

 

 

マグマが付加体に突き上げた様そのものが残っている。海中でゆっくり冷えたので結晶が大粒。鉱物組成が違うだけで“でき方”は花崗岩と同じ。この粒粒を“まだらの黒米=斑糲(はんれい)”と表した。

 

 

これも波食ノッチ

 

「風めっちゃ強い!」サル ワヒ~!

 

頼むから落ちんといてね…。

 

 

室戸海岸の形成過程が理解できた。

 

「説明パネルもあるしの」サル

 

世界ジオパークに認定されたからね。

 

 

「瘢痕状になってゆね」サル

 

太平洋側の堆積岩の海岸でよく見られるよ。犬吠埼(千葉)や鬼ヶ城(三重)なんかね。

 

 

仕組みは御覧のとおり。表面にたまった塩分の働きなんだね。溶かす訳じゃないんだ。

 

更に珍しいモノを発見。

 

 

「なにこれ?」サル また変なモノ撮って

 

赤茶色っぽい岩が斑レイ岩。白い部分がホルンフェルスだよ。斑レイ岩の元のマグマが堆積岩に貫入したときに、その接触面が高温に曝されるわけよ。

 

「めっちゃ熱いよにゃ」サル

 

そうすると組成変化する。こうした接触変成岩をホルンフェルスと呼ぶんだ。国内の大露頭としては須佐ホルンフェルス(山口)が有名だね。別名ショートケーキ岩(笑)。これも一回観てみたい。

 

 

仕組みは御覧のとおり。

 

いよいよゴールだね。

 

 

見えてきた。

 

《ビシャゴ岩》

 

「ビシャゴって?」サル

 

おさごっていう絶世の美女が、多くの若者に求愛されて相当困ったらしい。苦しみ抜いた彼女は結局身を投げてしまった。そういう伝説の舞台だって。

 

「おさごとビシャゴ、関係なくね?」サル ゴしか合ってにゃい

 

そう言われても。書かれていた説明をそのまま読み上げただけだし。それよりサッサと戻ろう!

 

「旅程の組み方おかしくね?」サル バカ!

 

(つづく)

 

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