サルヒツの酒飲みライフ♪【第221回】
辰泉 辰ラベル Black 一回火入れ瓶囲い 22BY
製造年月:2023年10月
生産者:合資会社辰泉酒造
所在地:福島県会津若松市
タイプ:純米吟醸(一回火入れ瓶囲い)
使用米:京の華1号100%
精米歩合:57%
アルコール:16度
杜氏:新城壯一氏
販売価格:1,700円(税別)
※特約店販売・季節販売品
※味覚の表現は飽くまで個人的なものです
ひつぞうです。まずは未曾有の惨事に見舞われた方々にお見舞い申し上げます。さて、年明けと言いつつ、ブログそのものは二月遅れ。2024年の初回は11月16日に開栓したテイスティングメモから始めます。頂いたのは辰泉酒造の辰ラベルシリーズのBlack(一回火入れ)です。
★ ★ ★
この二年間、日本酒遍歴にハマっている。いまだ飲みたい銘柄の半数程度をこなしたに過ぎないが、一番好きなのは福島の酒。その魅力は丁寧な造り。そして、地域や蔵ごとの個性。書き出すとキリがないが、これだけは明言できる。
創業は明治10(1877)年。同じ会津の蔵同様に、小仕込みによる高品質で複雑な味わいの酒造りに徹している。その辰泉酒造の代名詞といえば、稀少好適米《京の華1号》。亀の尾系の京の華と、山田穂(山田錦の父親)を掛け合わせた米で、戦後間もない時期に福島県農業試験場で誕生した。
「やっぱり米にはこだわるよにゃ」
しかし、他の“幻の米”同様に倒伏性が高く、収量も限られた京の華1号は姿を消すことになる。それを復活させたのが前社長・新城新次氏なのだそうだ。2011年に先代と組んだ晴山成志氏が引退し、現在は四代目が蔵元杜氏として牽引している。
「飲んで応援すゆ!」
ほぼ同世代だしね。
定番銘柄《京の華》《辰泉》につづく特約店銘柄がTatsu-ism。通称、辰ラベル。とりわけ京の華100%で醸したBlackが最高峰と言われている。本当は生酒を飲みたかったが、入手したのは11月初め。一回火入れバージョンとなった。それでも瓶囲い。丁寧さは変わらない。
「なに瓶囲いって?」
生酒を瓶に詰めたあと瓶ごと加熱するわけよ。タンクで大量に火入れすれば効率的だけど、薫りや鮮度を保つには瓶囲いが勝る。そのぶん手間がかかるので大量生産には向かないってことになるね。
「手間のかかった良いお酒ってことにゃ」
では開栓してみよう。
まず香り。火入れだからか、それとも京の香の個性か、品があって薫りおだやか。淫らな印象はない。含んだ瞬間にトロミを感じ、次第にアルコールのパワーが漲ってくる。このあたりはひと夏寝かせた火入れ酒の特徴かな。
「シミジミとした余韻が残るにゃ」 飲みやすい
秋の夜長にぴったりのお酒だね。
大根のマヨ和えサラダ
ずいぶんあっさりした酒肴だね。
「いきなり味の濃い料理だとお酒の味も判らなくなるでしょ」
そりゃそうだ。
「メインはこれだの」
高知産土佐ジロー(地鶏)の炙り 堅豆腐
今年旅先で味わった土佐ジローの卵の虜になり、ならばと肉を取り寄せてみた。炙りをいれてレタス、堅豆腐と一緒に頂戴する。
なんか…硬いね。
「全然噛みきれん」
噛めば噛むほどに味が染み出してくるのだが。(あとで知ったが土佐ジローは卵とダシが旨いのであって、肉そのものはあまり流通していないらしい。いい経験になった。)
初の辰泉。秋の夜長に相応しい酒だった。今年は辰年。験担ぎで一杯頂戴してみてはどうだろうか。
「他にもいろいろ種類があって旨そうだったにゃ」
罪深いよね。お酒って。
(おわり)
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