サルヒツのグルメ探訪♪【第216回】
酒菜とうどん 飩燗
℡)050-5571-0356(予約)
カテゴリ:カジュアル割烹
往訪日:2023年9月27日
所在地:大阪府吹田市江の木町15‐5ライブステーション江坂1F
営業時間:(月曜定休)
(L)11時30分~14時30分
(D)17時30分~22時
アクセス:御堂筋線・江坂駅(南口)から徒歩約5分
駐車場:なし
■45席
■予算:(D)8,000円~12,000円
※酒や注文内容によっては1万円超
■予約:可
■カード:可
《料理、酒、接客…否の打ちどころなし》
ひつぞうです。二拠点生活になって、おサルが好い店を発掘してくれるようになりました。今回の店は、うどん店ながら、割烹の味を提供する隠れた名店だとか。早速予約をすませて仕事帰りによることに。以下、往訪記です。
「昼はうどん店だけど夜はプチ割烹なのち」
★ ★ ★
夜の帳が降りるのが早くなった。混みあうのは苦手。この日も開店と同時に暖簾を潜った。
2021年11月オープン。コース料理もいいが、小鉢を突きながら好きな酒を飲む。それが好みの嗜み方だ。まずは酒のメニューに眼を通す。やはり大阪。総じて西日本の銘柄が目立つ。
「いっぱいあるにゃ」 お薦めは?
都度銘柄は変わるが(メニューにないものを含めて)常時40種揃えてあるそうだ。
なのでセオリーに拘らず、好きなものから頼むことにした。
まずはこれ。
クラシック仙禽 亀の尾
生産者:㈱せんきん
製造年月:23年7月
所在地:栃木県さくら市
タイプ:生酛仕込 純米無濾過原酒 一回火入れ
使用米:山田錦20%、亀の尾80%
精米歩合:麹米(山田錦)50% 掛米(亀の尾)60%
アルコール:14度
関東のドメーヌ酒といえば薄井一樹氏の仙禽。natureとmodernシリーズは幾度も飲んでいるが仙禽らしさを表に出したclassicは未体験。それを伝説の酒米・亀の尾で。生酛らしい酸と深み。酒だけで十分なくらい旨い。
まずはお通し。
おだまき蒸し
大阪の郷土料理。卵が貴重品だった時代に、ハレの日の料理として親しまれてきた。苧環(おだまき)=麻糸の巻き道具のように、巻いたうどんを卵で蒸して、鱧餡とナスの摺り流しに沈める。ちなみにハイカーにおなじみの高山植物ミヤマオダマキも、花の形が苧環に似ているので、その名前がある。
「だしがうみゃい!」
やっぱ出汁だよね♪
(夜のメニュー表)
昼は簡素な品書きだが、夜は手書きで品数豊富!
「達筆すぎて読めないにゃ」
とても感じの良い姐さんが注文を訊きにきた。聞けばこれ、この姐さんが自分で描いているのだとか。
「とりあえず、これとこれとこれとこれ!」
はいはい。←言われるがまま、なすがままに注文
サバチョビポテトサラダ(480円)
鯖をアンチョビ風に和えて、オニオンフライを塗す。
「ツマミだね。これ」
サルは異様なまでにポテサラが好きなのだ。
お薦め五種盛り(980円以上?)
(12時の位置から時計回りに)シマアジ、炙り戻り鰹、炙り鰆、伝助、きずし(しめ鯖)。
「どれも大振りだの」
伝助ってなんだろうね。
「アナゴっていってたよ」
ハモじゃね?
「どーみてもアナゴやろ」
賭けるか?一万円。
「負けるもんか!」
※家庭内でも賭博行為は法律で禁止されています。言葉のあやです。
ということで、感じのいい姐さんを呼び出して、これは一体なにかと改めて訊いた。
大阪では大型のアナゴを伝助って呼ぶんですよ。
知らんかった。てっきり鱧かと。
「どー落とし前つける気なのち?」
肩揉み30分で…。
「許しちゃる」 ケケ
それより次の酒だ。
不老泉 純米吟醸 十水仕込
生産者:上原酒造㈱
製造年月:23年9月
所在地:滋賀県高島市
タイプ:純米吟醸 無濾過生原酒
使用米:(麹米)滋賀県産山田錦6%、(掛米)青森県産亀の尾94%
精米歩合:60%
アルコール:17度
杜氏:横坂安男氏
不老泉は燗向きの濃厚系。しかも十水仕込み。簡単にいえば米:水比において米が多い。イコール濃厚ってことだ。一応、純米吟醸の生酒。燗には勿体ない。花冷えで飲もう。
「うむ。グッとくるにゃ」💦
アルコールも味わいも、酸もグッとくるでしょ。これが滋賀の酒だよ。
うなぎ香ばし醤油焼(980円)
「高知の天然鰻もよかったけど、これも捨てがたい」
調理が丁寧であれば、素材に関わらずなんでも美味しいよね。
濃厚な酒の後だけどフルーティなタイプでもいい?
「よい!」 旨ければ
十ロ万 純米大吟醸 一回火入れ 四段仕込み
生産者:花泉酒造㈱
製造年月:23年9月
所在地:福島県南会津町
タイプ:純米大吟醸 一回火入れ
使用米:(麹米)五百万石(掛米)夢の香(四段米)ヒメノモチ
精米歩合:50%
アルコール:15度
南会津のロ万シリーズの季節酒(秋あがり)だよ。その名の通り、トロリとした丸みのある舌触りが特徴だ。秋の酒だね。(この頃はまだ猛烈な残暑だったが…。)
「なんでこれにしたの?」
次の料理に合わせるためだよ。
あわび磯焼(1,580円)
「サルの大好物じゃないですきゃ!」 ~💕
裏漉ししたワタとともに素焼きの器で火を入れている。
いちじく胡麻田楽(580円)
僕の趣味で。ちょうど旬だし。揚げた無花果をゴマダレとポン酢で。器も美しい。
わかさぎフライ(780円)
個性の強い辛口の酒に合いそう。ということで星野元希さんの酒を。でも普通のTsuchidaの酒では面白くない。
菌の見える木桶酒 2021BY
生産者:土田酒造㈱
製造年月:2022年9月
所在地:群馬県川場村
タイプ:酵母無添加 生酛仕込 純米酒
使用米:群馬県産あさひのゆめ100%
精米歩合:85%
アルコール:15度
姐さんの薦めに従った。土田酒造、バイオ解析コンサルティングの㈱BIOTA、そして、下北沢の発酵食品専門店、発酵デパートメントのコラボ企画。ほんと、土田酒造はやることが伝統に忠実ながら斬新。
「でどうなの?味は」
いつも通り濃厚で力強い。“土臭さ”もあって。ヤミツキになるね、これ。
最後の料理は本日一番のお薦めを。
明石たこ酒盗石焼(880円)
明石の蛸を塩辛っぽく熟成させて石焼きに。
「垂らした瞬間からジュウジュウだの!」 ~♪
完全に火が通ると硬くなって旨くない。いいところを。
ここでおサルはワインに転向。
「ヒツは好きな酒をお頼みよ」
じゃ、いよいよ燗をつけてもらうか。
不老泉 山廃仕込 特別純米原酒 三年熟成 R1BY
生産者:上原酒造㈱
製造年月:2023年5月
所在地:滋賀県高島市
タイプ:山廃仕込 純米原酒
使用米:(麹米)滋賀県産山田錦6%(掛米)滋賀県産たかね錦94%
精米歩合:60%
アルコール:17度
不老泉の熟成酒をぬる燗で。もちろん酒器は平杯。
旨いよ。ほんと。酒って素晴らしい!
骨せんべい(480円)
ポリポリ齧りながら、最後の酒を。
宗玄 生酛純米 ひや詰原酒
生産者:宗玄酒造㈱
製造年月:23年9月
所在地:石川県珠洲市
タイプ:生酛仕込 純米原酒 一回火入れ
使用米:兵庫県産山田錦100%
精米歩合:65%
アルコール:18度
宗玄の名前は知っていたが、燗酒の印象が強く、燗を好まないサルに憚って、卓上に載せてこなかった。だから頂戴するのは初めて。もとが18度の純米原酒。米の旨味が溢れているね。薫酒も好きだけど生酛系の純米酒もいいね。
ということで(ソロソロお勘定も不安になってきたし)饂飩でしめることに。
「炭水化物摂ってだいじょうぶかの」
折角来たんだし。明日の朝、走ろう。
きつねうどん(850円)
「大阪といえばきつねでしょ」
お揚げでうどんが見えないね(笑)。
肉玉うどん(950円)
肉玉も旨いよ。ダシは北海道産の昆布と煮干しで。グルテンが効いてモッチモチ。
御馳走さまでした。
★ ★ ★
料理の味、酒のセレクト、そして接客に調度に清潔感。全てにおいて非の打ち所がなかった。強いていえばややお値段高め。但し(敷居を下げているだけで)そもそも割烹系。これを高いというならば、別カテゴリーに当たるべきかも知れない。やや席にゆとりがあるのは、そうした背景もあるのだろう。
「リピート確定!」 またくゆ!
払いをすませていると、カウンターの脇にこんなチラシが詰まれていた。素晴らしい企画!全国特約店系の85銘柄が、日本酒に力を入れている居酒屋とコラボするらしい。
いずれかの店でチップを事前購入すれば好きな店で飲める。かなりそそられたが、週末は別の予定がある。断腸の思いで翌年に持ち越すことにした。
「後でメチャクチャ後悔したくせに」 よーゆーわ
(おわり)
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