美食と絶景のグランピング 足摺温泉「アシズリテルメ」(高知県) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

サルヒツの温泉めぐり♪【第162回】

足摺温泉 アシズリテルメ

℡)0880‐88‐0301

 

往訪日:2023年9月23日~9月24日

所在地:高知県土佐清水市足摺岬字東畑1433‐3

源泉名:あしずり温泉(配湯式)

泉質:単純弱放射能冷鉱泉

泉温:(浴槽)約42℃(源泉)22℃

匂味:無味無臭

色調:無色透明

pH:8.2

湧出量:不明

その他:動力揚湯・加温・循環濾過・塩素混入

■営業時間:(IN)15時(OUT)10時

■料金:グランピング+レストランスペシャルコース

38,500円(税別)※各種プランあり

■支払い:カード可

■客室:25室 グランピング:4室

■アクセス:JR中村駅から約45㌔

■駐車場:120台

■設計:團紀彦

 

《トビウオを模したようなエントランス》

 

ひつぞうです。今回の旅の目的。それは四国最南端の足摺岬で海の幸と美酒を極めることでした。であれば民宿で地の魚をつつくのも一興。しかし、僕の興味はここ、アシズリテルメ(旧:足摺テルメ)にありました。酒と美食とグランピング。今の流行りをすべて注ぎこんだ宿はどのようなもてなしを提供してくれるのでしょう。以下、滞在記です。

 

★ ★ ★

 

建築家・團紀彦氏の設計で2008年6月に華々しくデビューした足摺テルメ。数々の賞に輝く高知を代表するリゾートホテルだった。ところがCOVID-19の災禍は例外なく及び、2020年6月20日に閉館。幾つもの名店を襲った黒字休業に追い込まれてしまう。多くの惜しむ声が集まるなか、ひとりの若い起業家が再生に名乗りを上げた。

 

「すっばらしい!」サル

 

留田紫雲氏である。2015年に立ち上げた㈱Dot Homesはホテルの開業支援と運営受託を対象とするベンチャー。レストランをサポートするのは日本酒狂を自認する佐藤重芳シェフ。温泉、料理、酒、海、星空、そしてグランピング。行きたくなる要素が詰まっていた。

 

 

宿泊プランは様ざま。予算に併せて客室を選べる。素泊まりも可能。グランピングの場合はBBQがメイン。旧・足摺テルメとの違いは宿泊者のニーズに合わせて多用なプランが用意されている点だ。

 

★ ★ ★

 

さて当日。足摺岬で絶景を堪能したのち、県道24号を土佐清水港側に戻った。足摺スカイライン方面に坂道を上ると目当ての宿が見えてきた。

 

 

白堊の建物が眩しい。設計を担当した團紀彦氏は槇文彦の弟子、つまり丹下健三の孫弟子に当たる。更にその家系がすごい。曽祖父は三井の大番頭で鉱山事業で三井財閥を牽引、その後血盟団事件に斃れた團琢磨。父は作曲家で名エッセイ『パイプのけむり』で知られる團伊玖磨。その他、SEIKOの服部家や政治家の鳩山家とも遠縁にあたる名門の出身である。

 

「好きだのー。閨閥探求が」サル

 

僕自身はどこの馬の骨とも知れない田舎者だけどね。

 

 

一番乗りだった。とにかく陽射しが真夏…。

 

 

最上階はサンテラス。

 

 

山の傾斜を利用して、南国の青い海と輝く太陽の正面に見据えるように設計されている。

(※ただし、部屋からの海の眺望はオーシャンビュールームに限定)。

 

 

プライベートテラス付きだ。ではさっそく館内へ。

 

 

5階フロントが最上階で、4階がダイニングレストラン。

 

 

吹き抜け構造になっている。

 

 

フロント正面が土産コーナーだ。

 

「どれもこれも拘りの高級品だの」サル

 

無添加文旦100%ジュース(3200円)か。手が出せそうで出せない(笑)。

 

「だったら文旦を箱買いすゆ」サル 果物は歯ざわりあってナンボよ

 

おサルは大の文旦好きなのだ。

 

 

4階西側には多目的ロビーが広がる。

 

料金は割高だが、今回、グランピングにレストランのディナー&朝食がセットされたプランを予約した(通常はBBQになる)。グランピングは4室と競争率が高い。特に夏場は人気があるので早めの予約がお薦め。

 

 

上の階にいけないにゃ」サル

 

上層階は利用されていないようだ。サービスを絞っているのだろう。

 

 

屋内のレイアウトは御覧のとおり(左翼と右翼の関係が判りにくい)。ゲストルームは建物右翼(1F~2Fは現在スタッフ専用)。通路で結ばれた左翼2Fが大浴場。1Fは屋内プールだったが、現在は閉鎖されてグランピングのBBQコーナーになっている。

 

 

まずは大浴場前のロビーへ。

 

 

こんな感じだ。ドームテントへは右の扉から。翌朝の入浴は9時まで。

 

 

そこから1Fへおりる。結構複雑。

 

「結構歩くにゃ」サル 年寄りにはつらいばい

 

 

BBQはこの屋内テーブルで。なので夜は煙もうもう(笑)。

 

 

階段を上がった場所がかつてバイキングコーナーだったのではないだろうか。閉鎖された階段も旨くデコレーション。この外にドームテントが設置されている。出入りのスライドドアが開けづらいので注意しよう。

 


今夜の寝床だ。部屋数四室のうち、オーシャンビューは二室。

 

 

あいにく予約済だったが、この部屋でも十分海は見えた。

 

 

想像よりかなり広い。エアコンもしっかり効く。テレビはないが、プロジェクターによるホームシアターが用意されている。一応組み立ててはみたのだが、リモコン操作が全然判らない(笑)。滅法メカに弱く、将来が危ういサル&ヒツジなのだった。

 

「全然あてにならんかった…」サル 大飯食うしか能がないし、このヒツジは

 

 

カーテンを閉じているとモンゴルのゲルみたい。

 

「開けようよ」サル

 

 

曇りの予報だったが、まずまずの青空だった。

 

 

コーヒーメーカーや冷蔵庫も完備。床は合板仕様だが、断熱材の効果で寒暖の変化は感じない。

 

 

一応温泉なのでスペックを再確認しよう。

 

 

=アシズリテルメの特徴=

 

■温泉

・動力揚湯による集合泉の配湯

・加温、循環濾過、薬剤添加

・ラドン泉

 

■部屋

・ゲストルーム(和・洋)(25室)

・ドームテント(4室)

 

■料理

・グランピングはBBQメイン

・レストランは地産食材を活かした季節のオーベルジュ

・スペシャルコースあり(事前予約)

 

■ドリンクサービス

・日本酒バー:20時30分~22時30分(LO:22時)

 

=当館の攻略法=

 

■浴場

・本館男女別(内風呂+半露天風呂セット)

・入替なし

・別館浴場利用可

 

■泉質

・単純弱放射能冷鉱泉

 

■利用時間

・15時30分~0時、翌日6時~9時

 

■貸切…なし

■日帰り利用…あり

 

ラドン泉と言いつつ、要するに単純泉。なので今回は泉質ではなく、リラクゼーションを追求。循環濾過式なので、湯がへたる前にしっかり身体を揉みほぐす。ジャグジーやサウナもたまには好い。ゆっくりしよう。

 

 

脱衣場の外に広い洗面施設もある。

 

 

元がリゾートホテルなのでこんな仕様だ。温度差のある二つの浴槽と…

 

 

手前にジャグジーつきの冷鉱泉。要するに水風呂だ。これが意外に気持ちいい♪

 

 

半露天風呂は夕陽を眺めるのに好いかもしれない。

 

 

含有成分は限りなく微量(笑)。飽くまで今回の旅のコンセプトは酒と食事。そしてグランピング。

 

 

ただ、フリーのアイスキャンディはもう少し数が欲しかった。

 

「このあと補充したんじゃね?」サル

 

 

ということで、あとは暫く部屋でゴロゴロ。

 

 

=夕 食=

 

夕食はレストランラウンジKUREで。

折角なので朝夕共にワンランクアップのスペシャリティコースを予約した。

 

「ボトルのワインはいい値段だにゃ」サル

 

通常のレストランは市販価格×2倍。対してこちらはざっと3~4倍。リゾート価格ですな。

 

 

バイ・ザ・グラス5種にした。この方が少しお得。

 

「いろいろ飲めるし」サル

 

まずはヴァンムスーから。

 

 

エミリー・ローランス ヴァン・ムスー ブリュット

 

生産者:オルキデ

ヴィンテージ:NV

タイプ:スパークリング

品種:アイレン100%

地域:ロワール地方(フランス)

アルコール:11%

輸入:㈱西岡寅太郎商店

 

対象となる銘柄はいずれも飲みやすいデイリー系。なので並々そそいでくれる。

 

 

季節の彩り前菜(仔牛のテリーヌ、栗、生ハムの素揚げ、ポルチーニ)

 

生ハムを揚げるという発想がすごいね。揚げすぎると苦味が出て食感台なしだし。

 

「技術だの」サル

 

 

パンはバターまたはオリーブオイルで。

 

 

四万十川天然鰻と土佐米茄子のグリル

 

贅沢にも天然鰻をグリルして、コンソメ仕立ての米茄子に浮かべて白髪葱をトッピング。

バターの風味濃厚。やや塩味が強いね。イタリアンに近い味。

 

 

シャトー・モンペラ ブラン 2020

 

生産者:デスパーニュ

ヴィンテージ:2020年

タイプ:白ワイン

品種:ソービニヨン・ブラン、セミヨン

地域:ボルドー地方(フランス)

アルコール:13%

輸入:㈱モトックス

 

言わずと知れた『神の雫』で取り上げられたコスパ系。

 

 

鰹のカルパッチョ 仏手柑は「振り」と「搾」

 

蓮芋をあしらいに、仏手柑の粉末を振った戻り鰹のカルパッチョを。

 

因みに仏手柑という柑橘はとても変わった種類で果実がない。つまり皮のみ。こんな形だ。

 

(参考画像)

(ネットよりお借りしました)

 

「きもちわる~い」サル

 

酸味と苦味が効いているので、皮を摺って一振りすれば立派な隠し味。

 

 

四万十川天然鮎の天麩羅

 

9月は鮎も鰻も禁漁前。四万十川の恵みを味わうには8月~9月がベストシーズン。

大葉とともに包んで生春巻き風に。白ワインが欲しいところ。

 

 

アルザス・リースリング 2020

 

生産者:ポール・ジャングランジェ

ヴィンテージ:2020年

タイプ:白ワイン

品種:リースリング100%

地域:アルザス地方(フランス)

アルコール:13%

輸入:㈱モトックス

 

味のしっかりした万人受けするタイプだ。

 

 

土佐赤牛のビーフシチュー

 

弾力と旨味がしっかり。煮込みに相応しい肉質だね。思いっきり重い赤が良いかも。

 

 

ナーリーヘッド オールドヴァイン ジンファンデル 2021

 

生産者:デリカート・ファミリー・ヴィンヤーズ

ヴィンテージ:2021年

タイプ:赤ワイン

品種:ジンファンデル他

地域:カリフォルニア州(アメリカ)

アルコール:14~15%

輸入:㈱モトックス

 

古樹らしく濃厚。ビーフシチューによく合った。

 

 

津蟹のクリームパスタ 仏手柑風味

 

最後に津蟹(モクズガニ)の身を丁寧に解しだしてとろみをつけてリガトーニと一緒に。ここでも仏手柑がいい仕事をする。因みにモクズガニはダシを味わう蟹で、殆ど身がない。それをパスタの具にしようとした佐藤シェフの根気というか執念がすごい。

 

「下拵えだけで気が遠くなるにゃ」サル

 

(翌日スタッフに訊いたらかなり大変だったらしい。苦心惨憺をものともしないプロ根性に脱帽。)

 

 

ボーマス ピノ・ノワール 2021

 

生産者:ル・セリエ・ドゥ・ピック

ヴィンテージ:2021年

タイプ:赤ワイン

品種:ピノ・ノワール100%

地域:ラングドック地方(フランス)

アルコール:13%

輸入:㈱西岡寅太郎商店

 

果実味しっかりなピノだった。クリームパスタでも邪魔しない。ありがたく味わいました。

 

 

豊水梨と水晶文旦のシャンパンジュレ グラノーラアイス添え

 

メロンもついての大サービス。ご馳走さまでした。

 

★ ★ ★

 

待望の日本酒バー。少し早かったが準備してくれた。

 

 

全11種から6m銘柄を自分でセレクト(3,000円)。HPには全国特約店銘柄60種と記載されていたが、全て高知の地酒でちょっと拍子抜け。まあいい。久礼も南も好きな銘柄だし。裏土佐鶴は未開栓だし。

 

 

裏土佐鶴が一番複雑な感じで旨かった。総じてやや重な辛口純米系。

 

 

残念ながら夜は小雨模様。星空は見られず。というよりおサルは爆睡の即寝…。

 

=翌 朝=

 

 

気がつけば太陽が昇っていた…。朝陽も拝めず。何のためにドームテントを借りたのだ!

 

「ヒツ、それより朝食まで1時間ない!」サル

 

慌てて足摺岬までジョギングに飛び出した。アップダウンが強烈なトレーニングコースだった。

 

 

=朝 食=

 

そして、満足に汗を拭う時間もないまま朝食会場へ。

 

 

ディナーとは別のフロアだった。アジアンテイストですね。

 

 

朝食もスペシャリティコースで。

 

 

お櫃に運ばれてやってきた。

 

(左上から時計回りに)

土佐ジロー生卵

ピオーネ&山北みかん

佐川のブルーベリー&ヨーグルト

四万十川 青のりのひと口ぶっかけうどん

四万十川天然鰻の山椒煮と三つ葉

土佐甘長唐辛子(あまとう)とちりめんの炒め物

香の物

四万十川川海苔の佃煮

 

どれもが素材にこだわった高知産の食材。まず、このうどんに驚く。讃岐うどんとは違う強烈なグルテンのコシ。地元唯一の製麺所(四万十工房麦屋)から取り寄せているそうな。コシあり系うどん好きにはお薦めだ。

 

「サルはウエストのうどん」サル

 

譲らんね。キミは。

 

「鰻もすごい弾力だの!」サル

 

天然鰻だからだよ。養殖とは全然歯応えが違うし、旨味が違う。デザートの山北みかんは高知のブランドフルーツ。薄皮で身の甘さが特徴。これはやや早生で酸味があって爽やか。

 

 

四万十川 天然鮎の炊き込みご飯

 

お代わりOK。なんとも太っ腹。二杯食べてしまった。

 

「サルもサルも」サル 二パイ二パイ💦

 

 

津蟹の味噌汁

 

前夜のパスタの津蟹のガラで。

 

 

白米もお薦めと言われる。断る理由はない。

 

土佐ジロー生卵と宗田鰹節の出汁醤油で頂く。ご飯もツヤツヤだ。

 

ちなみにこんな鶏だ。

 

 

天然記念物の土佐地鶏を父に、外来種のロードアイランドレッドを母にした交配種。体高は土佐地鶏に似ている。卵も肉も旨い優れた地鶏なんだって。

 

「親子鍋にすゆ」サル

 

鶏だけに、お取り寄せ決定!

 

 

対応してくれたチーフと思しき女性スタッフはサービスから会話に至るまで完璧だった。こだわりの朝食に佐藤シェフがコメントを戴きたいとのことだったので、素材の吟味、調理の是非まで、感動を伝えさせて頂いた。こういう会話。やはり必要だ。

 

朝から御飯三杯。お腹いっぱいになってしまった…。

 

さて、シャワーを浴びようかと大浴場にいったら…え!もう清掃中?定刻の9時まで30分あるのに。断りを入れたら入れてくれた。誰も来ないと踏んだのだろうか?

 

「こまゆー」サル

 

アバウトなスタッフに神対応なスタッフと差が激しい。教育途上なのかも。

 

 

ということでテラスで腹ごなしすることに。

 

「寝ゆ ZZZZサル

 

 

海岸線に多くの船舶が行き来していた。

 

 

グランピングらしいことは何もせずにドームテントでゴロゴロ。それも悪くなかった。やや不慣れなスタッフも多かったが、担い手不足の現状、小うるさいことを言うのは無粋というもの。BBQも悪くないが、とにかく佐藤シェフのスペシャリテを味わわない手はない。そして最高のビュー。雲の多い週末だったが、青空が拝めただけでも倖せだった。

 

「観光して帰る。あとお買い物も」サル

 

※口コミ情報がすくないため、公平中立に記しました。ただし、総じて素晴らしい宿であることを明記しておきます。

 

(旅はつづく)

 

ご訪問ありがとうございます。