名建築シリーズ30
東京都現代美術館
℡)050‐5541‐8600
往訪日:2023年9月18日
所在地:東京都江東区三好4‐1‐1
開館時間:(月曜休館)10時~18時
アクセス:地下鉄半蔵門線・清澄白河駅(B2)から徒歩9分
駐車場:有(300円/h)
■設計:柳澤孝彦+TAK建築研究所(1994)
《咆哮する幾何学的な獅子》
ひつぞうです。ひと月前に江東区の東京都現代美術館を訪ねました。その延床面積33,515㎡。国内随一の規模を誇る現代アートの美術館です。またここは、建築家・柳澤孝彦が腕を振るった現代の名建築でもあります。ちょうどデイヴィッド・ホックニー展も始まり、いいタイミング。まずは建築散歩篇から。
★ ★ ★
七月の郡山市美術館に続き、二度目の柳澤孝彦である。とにかく柳澤作品は巨大。撮るなら絶対晴天の誰もいない朝一番。ということで酔狂にも開館一時間前に清澄白河駅から美術館に向かった。
「好きにして」
奇抜さを排した禁欲的な意匠。単色摺りの色彩感。思わず唸ってしまう。
周辺の景観に旨く溶け込み、憩いの場としても機能している。
この日はデイヴィッド・ホックニー展と横尾忠則氏の作品を中心据えたコレクション展示を観る予定。これだけの規模。一日がかりは覚悟のうえだ。
内部へと誘う、恐竜あるいはライオンを幾何学的に構成したようなモニュメント。最初の鑑賞ポイントだ。
コロナ禍以降、水を抜いている美術館が多いなか、英断的措置。
さすがに誰もいない。30分前になるとボチボチお客がやってくる。
柳澤作品は前庭でみせる。木場という土地柄をイメージしたのだろうか。貯木場の矩形の水際と、筏師が立てる棹を象徴しているかのようだ。威勢のいい下町のイメージと洗練された現代アートが美しく交わる。
季節がよければ昼時は気持ちのいいランチスポット。
「今は暑すぎるにゃ」
この時間で汗びっしょりだもの。
「着替えは」
ないよ。
「成長しろ!」
これはなんだ?
リチャード・ディーコン(1949-)英 《かたつむりのように B》(1987‐1996年) 彩色した鋼、アルミニウム
そうそう。ここも(特に海外の)パブリックアートが充実しているんだ。
ということで10分前には50人以上の行列になった。皆、現代アートなんか観にくるんだね。
「自分もそのひとりやろ!」
僕は俄か愛好家だから(笑)。熱しやすく冷めやすいし。
ということで案内いただいた。
(特別展の備忘録は次回)
鑑賞に三時間半かけて屋外に出た。特別展とコレクション展両方は大変だった。
この先にもアート作品があるそうな。
マルタ・パン(ハンガリー)(1923‐2008)《割れた球体》 1984年
ブダペスト出身の女性彫刻家マルタ・パン。金属やポリエステルを加工した大型の屋外彫刻で知られる。この作家との最初の出逢いは横浜の関内ホール。ジョギングついでのパブリックアート探しで偶然発見した。
(参考画像)
マルタ・パン《平和Ⅰ》1986年 関内ホール
見方によっては躍動するダンサーのようでもある。
(参考画像)
マルタ・パン《平和Ⅱ》1986年 関内ホール
マルタの作品は芝生や水辺が似合う。極端なまでに人工的なフォルムなのに、人体のような柔らかみと温もりを感じさせる。因みに夫はル・コルビュジエの弟子アンドレ・ヴォジャンスキーだ。
「これ、サルもみた」
美術館の裏側まで回り込んでみた。
誰もいない。
「なんかあるね」
鈴木昭男《道草のすすめ-点音(おとだて)》
サウンドロゴの名手、吉村弘さんと深く交流したサウンドアーティストの大御所、鈴木昭男氏の作品。このマークの位置に立って耳を澄ます。なにかを感じれば貴方はアーティスト。音楽に鈍感な僕には判らなかった。同じものが横須賀美術館と神奈川近代美術館葉山館にもあったな。
「全然判らん」 ムキャー♪ ←それでも毎日が愉しいらしい
アンソニー・カロ(イギリス) (1924-2013)《発見の塔》1991年
普段は登れるみたいね。この日は中止と書かれていた。金属を用いた抽象彫刻を多数発表。デイヴィッド・スミスの影響を受けた構成主義の作家だそうだが、まだ具象に半分足を突っ込んでいる。
「ぜんぜんわからなーい♪」 ←理由もなく昼も夜もウキウキらしい
ということで建築とパブリックアート散歩はこれでおしまい。いよいよホックニー展だ。
「長くなりそーだのー」
大丈夫。諸般の事情で、そうしたくてもできないから。
(つづく)
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