ぐるめ探訪「料理屋 く おん」で女子ウケする繊細割烹を愛でる(大阪府・豊中市) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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サルヒツのグルメ探訪♪【第214回】

料理屋 く おん

℡)06‐6850‐4120

 

カテゴリ:割烹料理

往訪日:2023年8月27日

所在地:大阪府豊中市北桜塚3‐7‐28

営業時間:(月曜、火曜昼定休)

(L)12:00~14:00

(D)18:00~22:00

アクセス:阪急宝塚線・岡町駅から徒歩約15分

駐車場:店の前に三台ほど

■16席(カウンター6+テーブル10席)

■予算:(D)8,500円~13,500円(税込)+サービス料5%

■予約:要

■カード:OK

 

《素材そのままで美味い》

 

ひつぞうです。八月終わりのある夜。おサルの希望でまたまた豊中の人気カジュアル割烹の店を訪ねました。店名の由来は《久遠》。その儘でした(笑)。創造性豊かなものが末永く受け継がれて欲しいという願いを込められたとか。以下、往訪記です。

 

★ ★ ★

 

住む場所を間違ったかもしれない。四月に越してきて降りる駅といえば(梅田、新大阪を除けば)豊中の岡町駅が圧倒的である。一見するとただの住宅と商店の街だが、いや、であればこそ隠れ家的名店が多いのかもしれない。距離はあるが、駅から大通りを歩いて店に向かった。夜の部の営業開始は18時。

 

 

駅から離れていることもあるのか、マイカーで訪れる客も多かった。

 

「ウチは酒飲みだからにゃ」サル 車もないし

 

食事はお任せの三コース。8,500円。11,000円。13,500円。一番目は定番コース全7品。二番目は焼き物を四種類の中から選べる全9品。三番目は魚と肉の焼き物両方ついて全10品。今回は11,000円のコースでお願いした。大阪ミナミで腕を磨いた包丁人の洒落た女子好みの名店らしい。

 

では夜懐石の部へ。

 

 

この晩の席も厨房のど真ん中。店主殿の真ん前で緊張するが、その実技を存分に見学できる。

 

「まずは酒をよろしく頼む」サル

 

メニュー以外にもあると聞き、何があるのか訊ねてみた。

 

 

山丹正宗 純米吟醸 しずく媛

 

生産者:㈱八木酒造部

所在地:愛媛県今治市

タイプ:純米吟醸

使用米:愛媛産しずく媛100%

精米歩合:50%

アルコール:16度

 

愛媛の旨い酒が待っていた。

 

 

愛媛といえばガッツリ甘口のイメージだが、フルーティながらクドさがない。サラリとして飲み口は優しい。幾らでも飲めちゃうイケないヤツだね(笑)。

 

「くれくれ!」サル もうない!

 

ペース早いよ。まだ何も来てないしあせ

 

 

=先附=

 

 

鴨ロース 無花果 おくら

 

がっつりした先付で客を驚かすのが大阪流なのだろうか。横浜から越してきて、訪ねた割烹の店はいずれもこんな感じ。鴨ロースの鮮やかな桜色が食慾をそそる。見た目と異なり、歯応えは驚くほど柔らかい。表面をじっくり焼きあげているので旨味が閉じ込められている。

 

「夏の風物詩の無花果をあわせてあるね」サル

 

爽やかな甘味が鴨によく合う。

 

 

=八寸=

 

なかなかの品数だ。

 

 

(12時の方角から時計回りに)湯葉刺身、岩もずく、水茄子、皮つき海老、八代おくら、キズシ、半熟鶉卵、だだちゃ豆、磯つぶ貝

 

「モズクのゴリゴリした食感がいいにゃ」サル うめー♪

 

八代おくらは兵庫・豊岡特産。普通五角形だが、八角以上の星形が特徴。皿を飾るのに相応しい。総じて(和食と言いつつ)モダンフレンチっぽいデコレーションだと想像していたが純和風。それともランチとディナーで装いも違うのだろうか。

 

 

=造里=

 

 

目一(メイチ)鯛、ほっき貝、鱧の焼き霜、本鮪

 

「メイチダイって聞いたことないにゃ」サル 美味しい♪

 

(参考資料)

 

タイという名前がついても真鯛の仲間じゃない。そんな種類多いよね。メイチダイもその一種。眼に一本筋があることからその名前がある。往々にして「…ダイ」の類は一般の鮮魚店でお目にかかることは滅多にない。マズいからではなくて、肉質など調理上の難点が主な理由。腕のいい職人が捌く料亭では軒並み高級魚となる。

 

メイチダイほっき貝は酢橘と天然塩のほうが旨かった。季節の味。

 

 

二本目は賀茂金秀。無難に旨い。山丹正宗より辛口。燗でもいいが我が家はやはり花冷えで。

 

 

=椀=

 

 

蟹真丈

 

松葉ガニ100%の真丈は箸をつけたその瞬快に解れていく。

 

「マツタケの香りとダシの味がすっばらしい」サル

 

大の甲殻類好きだしね。

 

 

=焼き物=

 

ここで焼き物を選ぶ。

 

①時知らず(時鮭)塩麹焼

②白甘鯛うろこ焼

③まながつお柚庵焼

④黒毛和牛まるしん黒胡椒焼(+1,900円)

 

「サルは塩麹焼かな」サル

 

じゃ僕はうろこ焼。

 

「そーくると思った!」サル 判りやすいヤツ

 

関西にきて和食といえばうろこ焼。虜になっている。

 

「はんぶんちょーだい」サル

 

さすがに和食&酒を求めてきて牛はないね。二人とも。

 

 

時鮭塩麹焼

 

塩麹に漬け込んだ時鮭のプリプリ感がたまらない。

 

 

白甘鯛うろこ焼

 

超高級魚の白甘鯛。ウロコの香ばしいこと。酒と合うのなんのって。

 

「感動的な味だの…」サル シミジミ

 

 

=天麩羅=

 

ここから天麩羅。揚げ立てを仲居さんが次々に運んでくれる。

 

 

茄子

 

どのように食べても旨い夏の茄子。でも天麩羅が一番かな。

 

「サルは麻婆茄子」サル

 

それって邪道では(笑)。

 

「なんでよ」サル

 

素材の味が判らないよ。

 

「ヒツのベロがボロだからじゃね」サル

 

詰まらない夫婦の会話である。

 

 

塩は梅、昆布、唐辛子&山椒の三種で。

 

 

オクラの鱧巻き

 

 

ピーナツもやし

 

これは珍しい。確かにピーナツの濃厚な香りがする。

 

「すゆすゆ♪」サル モットホシカッタ

 

僕も。高級品なのかな。

 

 

三本目。生酛系の酸を感じる岩手の酔右衛門。味わいの濃い天婦羅を頂戴するために。

 

 

若鮎

 

 

シルクスイート(芋)

 

東日本での作付けが目立つシルクスートは、濃厚系の薩摩芋の品種のなかでは、甘さも粘度(含水量)も控え目。主張のある天麩羅の具として相応しいのだろう。この系統では干し無花果もいい。

 

「おサル甘いのダメ」サル あげゆよ

 

 

=口替=

 

 

石川小芋 金時草 茄子 みずの実

 

最後に煮物でシメ。山形や新潟の宿でおなじみのミズが大阪の街中で出てくるとは。金時草(別名:水前寺菜)は葉の裏が紫色したキク科の野菜。おひたしにするとヌメリと菊特有の苦みが走る。大人の味だ。

 

 

=御飯=

 

 

さわら漬けだね。まずは少しそのまま齧ってみる。浅くつけたヅケだ。

 

 

これを炊きたての土鍋御飯に載せて茶漬けにするとは。贅沢…。

 

「ごはん!つやっつや!」サル

 

おサルは大の白米好きなのである。

 

 

出汁茶漬

 

ご馳走様でした。何杯でも食えそうだ。

 

 

=甘味=

 

 

最後は蓮根餅で。わらび餅よりもねっとり。味は控えめ。釉薬のあとが残るマットな器も美しい。

 

ご馳走様でした。

 

この日は当然満席。一斉スタートではないが、殆ど同時に配膳される。モダン系と思いきや、純和風な割烹。料理のボリュームは多すぎもせず、少なすぎもせず。調度も凝っている。季節の食材にこだわり、お酒も(数はそこそこだが)食事にあった良い物を揃えていた。

 

「大満足」サル やっぱりサルが見つける店はスゲー! ←自画自讃

 

ほろ酔いだったが、結局歩いて岡町駅まで戻った。まだ残暑が厳しい夜だった。

 

(おわり)

 

ご訪問ありがとうございます。