サルヒツのグルメ探訪♪【第202回】
旬菜 山崎 竹谷店
℡)06-6369-5131
カテゴリ:懐石料理
往訪日:2023年7月6日
所在地:大阪府吹田市竹谷町36-17
営業時間:(年中無休)
(L)11:30~15:00
(D)17:00~22:30
アクセス:阪急千里山駅から徒歩約20分
■32席(個室+カウンター)
■予算:あさがお10,000円(税別)+アルコール
■予約:要
■支払い:カード可
■駐車場:あり(4台)
※姉妹店「佐井寺店」あり
《食卓に夏がやってきた》
ひつぞうです。映画『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』を鑑賞したあと、梅田から阪急千里線に飛び乗り、千里山駅で降りました。この日の夕食はおサルの希望で割烹「山崎」で頂くことに。後から知ったのですが、ミシュランひとつ星だそうです。過剰な期待を寄せる性質なので、知らずに往訪して正解でした。以下、往訪記です。
★ ★ ★
まあ、とにかく暑い。最近口にする言葉といえばこれしかない。千里山駅周辺は至って人影の少ない坂の街だった。時間的には余裕がある。歩いても20分。それに乗り場にタクシーは一台もなかった。暑い暑いと零しながらも、自分たちの足で店に向かった。山崎は二店舗があるが(恐らくこちらが本店なのだろう)竹谷店を予約した。
「サルが見つけた」
はいはい。
凝った設計のモダンな造りだった。平日であるせいかカウンターの客はいない。個室に通して頂いた。
夜の食事は三コース。
あじさい 8,000円(税別)
あさがお 10,000円(税別)
もみじ 12,000円(税別)
近頃おサルの食は細くなる一方。なので《あさがお》にした。店内は冷房が効いて涼しい。
「お酒頼んでちょ」
ワインは馴染みのない銘柄だったので酒にした。地元の《吹田のゾウ》を除けば造りは把握している。
「甘口はやめてにゃ」
おサルは大の甘いもの嫌いなのだ。とは言いつつ、前菜から辛口で飛ばすのも野暮。
作 純米吟醸 雅の智(三重)
フルーティでやや米の甘味が勝る食中酒。ブレのない安定した味わいだ。
「瓢箪型のお銚子がかわいいにゃ」
そういえば陽も長くなったね。
=前菜=
山芋、オクラ、ウニの三色摺り流し
「これまたゲイジュツ品のような」
夏に相応しい涼しげな一品。唐三彩の色遣いだね。
長尺スプーンで搔き混ぜて頂く。優しい出汁と天然素材の風味が涼を誘うね。
「出汁うま!」
おサルは関西風の優しい出汁の味わいが大好きなのだ。
「漆塗りのお櫃が出てきたよ」
おっ!これは。開けてビックリ玉手箱だよ。
鱧の蒲焼き
出汁巻玉子の上に、やや甘口のたれをサッと刷いた鱧をひと口丼風に。二人で過ごす初の関西の夏。いずこか鱧の店を予約しようと話していたところだった。
=お造り=
お造り四品(金目鯛、シマアジ、中トロ、モンゴウイカ)
金目鯛は面皮に炙り。シマアジとモンゴウイカは丁寧な隠し包丁。濃い口醤油、もしくはおろしポン酢で。
夏だなあ。
二本目。
洌 純米大吟醸(山形)
山形らしい芳醇でフルーティな純米大吟醸。
「くれ!」
=椀物=
漆塗りのお椀が配膳される。蓋をとってみた。
黍豆腐、蓮餅、ジュンサイと具も豊富。黍豆腐は上質の葛粉を使用しているのだろう。弾力があってなかなか箸が入らない。逆に蓮餅は思いのほかトロトロ。冬瓜には香りづけの酢橘と梅肉が添えられている。温かいうちに頂こう。
椀の上蓋には山葡萄だろうか、蒔絵のさりげない演出。
「食事と什器の両方が愉しめるね」
それが懐石料理の醍醐味だよ。
=八寸=
イチジクの生ハム巻は蜂蜜が隠し味。トマトはあしらい。左奥の小鉢は丸十(薩摩芋)、チーズ、枝豆の白味噌和え。クコの実がアクセント。そしてそうめん博多。ミツバの緑、蟹の朱、椎茸、そしてソーメンを彩りよくゼラチンで寄せた。博多帯のようなデザインなのでこの名があるとか。紫色した金時草のおひたしはキク科の野菜。特有のエグミは大人の味だ。一番手前に稚鮎の唐揚げ。
「全部酒の肴だの」
=煮物=
鳥飼茄子と満願寺とうがらしの餡かけ
鳥飼茄子は大阪の伝統野菜だそうだ。身がしっかりして熱を加えても身崩れしない。
三本目。
阿櫻 特別純米 超旨辛口(秋田)
先の二銘柄と較べると、かなりスルリとした辛口と知れる。どれもいい酒だった。
=焼き物=
キンキの西京焼き、子持ち昆布、糸うりの奈良漬け
=揚げ物=
ラム肉の衣揚げ
懐石にラムは珍しいね。
「赤ワインにすゆ」 グラスで
どうそどうぞ。
=強肴=
真鯛と湯葉の潮仕立て
そろそろ終盤。鯛の旨味が出汁に溶け出していたね。旨いよ。
気がつけば陽も暮れて、割烹料理店らしく、優しい明かりが灯っていた。
=御飯=
これは立派なこと!山崎名物鮎めしだ。
ここで女将さん登場。山崎の鮎めしは見た目以上に量が多い。頑張って平らげようとするお客もいるが、持ち帰りできるので無理は禁物とのことだった。
蒸した鮎の身を解してバランスよく盛ってくれる。
カブと胡瓜の浅漬けを一切れ二切れと口に放り、艶々の鮎飯を掻きこむ。
旨い。旨すぎる。
「大丈夫?そんなにお代わりして」 知らんよ、お腹痛くなっても
三杯で打ち止めにした。
(それでも折詰できるだけ残っていた)
=氷菓=
キウイと桃のゼリー寄せ
大満足だった。奥の個室からも、時折くぐもった笑い声が聞こえてくる。美味しい食事は全ての人を倖せにしてくれる。
食後のコーヒーを頂いた。
外の椛の樹にヤモリの姿があった。スマホを向けると、嫌がるように幹の向こう側に隠れてしまった。
さすがはミシュラン一つ星の名店。星つきだからと云って、必ずしも満足するとは限らない。接客に不満を覚える店もあれば、費用対効果に疑問を感じる時もあるだろう。しかし、山崎ではそんな心配は無用。きっと素敵な時間を齎してくれるだろう。
「やっぱりサルが選ぶ店はすげー」~♪
帰りも貧乏くさく健康のために歩いて駅に向かった。暫くすると横腹に苦しみを覚えて、これはマズいと思った。どうやら食べ過ぎたようだ。しかし、そんなことを白状しようものなら、ここぞとばかりにサルの説教が始まる。脂汗を額に滲ませながら、半歩後ろに続いて、なかなか涼しくならない夜の千里山を戻っていった。
「アホやん」
(おわり)
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