ぐるめ探訪「マプール」で本格ジュラ料理を頂く(東京・東大前) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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サルヒツのグルメ探訪♪【第201回】

レストラン マプール

℡)050-5462-3866

 

カテゴリ:本格フレンチ

往訪日:2023年6月30日

所在地:東京都文京区西片2‐19‐17 北川ビル1F

営業時間:(月火定休)

(L)12:00~(LO)13:00(日曜のみ)

(D)18:00~(LO)20:00

アクセス:南北線・東大前駅から徒歩約2分

■10席(3卓)

■予算:(D)7,600円(税込)+チャージ料500円+アルコール代

■予約:要

■支払い:カード可

 

《ジュラ料理といえばコレ》

 

ひつぞうです。先月の終わりに文京区のマプールを訪ねました。国内で唯一(?)ジュラ地方の郷土料理を堪能できる本格フレンチの店です。スイスと国境を接するフランス西部の山岳地帯で化石の宝庫のイメージですが、熟成ワインのヴァン・ジョーヌも有名で、地産食材をいかした料理は食通の認めるところとか。そんな情報を足掛かりに出かけました。以下、往訪記です。

 

★ ★ ★

 

この日も雨だった。しかも猛烈に蒸し暑い一日だった。南北線に乗り換えて東大前駅で降りる。農学部の重厚な建物の前の歩道を本郷三丁目方面に少し歩き、最初の三叉路で国道17号を北にUターンすると、そこだけ山吹色に輝く店が見えてきた。

 

 

マプールの構えはグランメゾン特有の装飾とは無縁な、いかにもフランスの片田舎という感じだった。店内の至る処に雌鶏の置物が並んでいる。ma pouleは直訳すれば“僕の雌鶏”。だからだろう。ただ(フランス語が堪能な方には自明だが)これは女性に声を掛ける際の慣用表現。日本語にはこうした旨い言い方がない。

 

「うちはヒツとサルだにゃ」サル

 

脱線した。なんでも修業先の師匠が奥様にそう声を掛けていたそうな。店名の由来は以上。

 

 

営業開始の18時に店内に入った。テーブルは三卓。アットホームな内装は、多摩美出身でソムリエを務めるマダムのセンス。奥の食器棚は御祖母さんの嫁入り道具と聞かされた。間もなくメニューの説明をしてくれた。

 

 

おまかせジュラコース(7,600円)。これにペアリングワイン(6,000円)をセット。いろいろ飲めた方が愉しいし。

 

まずはスパークリングから。

 

 

クレマン・ド・ジュラ ブリュット

ヴィンテージ:NV

生産者:ドメーヌ・フィリップ・ヴァンデル

地域:ジュラ・サヴォワ地方

品種:シャルドネ

アルコール:12%

輸入者:フィラデス

 

シャンパーニュにも引けをとらない泡の持続性と、蜜入りの完熟林檎を思わせるコク。蒸し暑い日だったので最高の一杯だった。

 

 

アミューズ

 

 

とうもろこしのムース オレガノを添えて

 

伊達鶏コンソメのピュアなジュレを載せた、丁寧に裏漉しされたトウモロコシのムース。塩が効いていて、見た目の涼しさに加えて、奥深い味わいが広がる。
 

「きめ細かい食感だの」サル

 

エントレ

 

 

シナノユキマスと胡瓜・ミントのテリーヌ メロンとフヌイユの香り

 

淡い緑灰色の平皿が美しい。そこに胡瓜の緑を基調にした燻製マスのテリーヌが、メロンのガスパチョに浮かぶ。まるで芸術品。僅かに散らされたフヌイユ(フェンネル)の香りが清涼感を与える。

 

「複雑な味わいだにゃ」サル 五味豊かだの

 

燻製の酸味にメロンの甘味。胡瓜の苦み。そして塩味。則ちプロの味。合わせるワインはこれ。

 

 

ドメーヌ・ベルテ・ボンデ サヴァニャン

ヴィンテージ:2020年

生産者:ドメーヌ・ベルテ・ボンデ

地域:ジュラ・サヴォワ地方

品種:サヴァニャン

アルコール:13%

輸入者:ファインズ

 

とろみを感じる舌触り。塩味、苦味、熟成した果実の旨味。それらが複雑に絡む。家飲みには贅沢なハイクラスワイン。

 

「レストランで飲みたいにゃ」サル

 

 

ドゥクシム・アントレ

 

第二の皿はジュラのクラシックな郷土料理から。エクルビス(ザリガニ)料理だ。強烈なインパクトだが、これでもまだドゥクシム・アントレ“第二の前菜”だ。ザリガニはジュラ地方の夏の風物詩らしい。それを食べたくて来店する常連客も多いとか。

 

 

リードヴォーのムニエルと鶏レバーのフラン 北海道阿寒湖の天然エクルビスのソース

 

リードヴォーは仔牛にしかない胸腺という部位。白モツを柔らかくした食感。それをムニエルし、鶏のレバーを卵と牛乳で溶いて蒸したフランとともに頂く。国産エクルビスから取ったソースが決め手。海老とは違う濃厚で野性味あるワタミソ、酸味と香辛料の余韻。ヤミツキになりそうだ。ちなみに殻は飾り。(隣の客は食べてしまった。しかもシェフの同業らしい…)

 

「よく呑み込めたにゃ」サル

 

 

パプリカとルイユのタルトレット

 

「甲殻類好きにはたまらん💕」サル

 

粗く刻んだパプリカとザリガニの剝き身を載せ、ルイユ(野菜・ニンニク・唐辛子にオリーブオイルを加えたソース)で仕上げる一口サイズの濃厚タルト。フレンチでザリガニは初めてだよ。

 

「他所で食べたことあったっけ?」サル

 

子供の頃に沢で捕まえて石焼きにして食った。

 

「マジか…」サル

 

合わせるワインはこれ。

 

 

ジェローム・アルヌー アルボワ・トゥルソー・エクセプシオン

ヴィンテージ:2021年

生産者:ジェローム・アルヌー

地域:ジュラ地方

品種:トゥルソー

アルコール:13%

輸入者:オルヴォー

 

スペシャリテ

 

 

伊達鶏のヴァンジョーヌソース モリーユ茸とスパイスの香りを添えて

 

いよいよメインだ。伊達鶏のガランティーヌに載っているのは燻製モリーユ茸。日本では稀少キノコでおなじみのアミガサタケだ。そのエキスがソースになる。でもこれで終わりではない。

 

「ふむふむ」サル

 

 

ジュラ特産の熟成タイプ、ヴァンジョーヌ(フランス語で“黄色いワイン”を意味する)と伊達鶏のエキスで作った熱々のクリームソースをマダムにかけて頂いた。

 

 

これで完成だ。

 

 

きのこ、ワイン、鶏のエッセンスのマリアージュ。合わせるワインはもちろんヴァンジョーヌ。紹介された二種類から選んだのがこれ。

 

 

アルボワ サヴァニャン 2016

ヴィンテージ:2016年

生産者:フリュイティエール・ヴィヌコル・ダルボワ

地域:ジュラ地方

品種:サヴァニャン

アルコール:18%

輸入者:日本リカー

 

樽由来のナッツ・フレーバーや淡いバニラ香も感じる。一般の酒精強化タイプと違ってアルコール感はやや穏やかで、トラミネール系らしい優しい余韻だ。

 

 

ということで食事は一段落。

 

「まだまだ飲む」サル

 

だよね。

 

食後酒を二種類だして頂いた。

まずは僕のチョイス。

 

 

アルボワ・ヴァン・ド・パイユ 2015(2000円)

ヴィンテージ:2015年

生産者:フュメイ・シャトラン

地域:ジュラ地方

品種:サヴァニャン

アルコール:15%

輸入者:BMO

 

メイプルシロップ、蜂蜜、和三盆のような、上品な自然派の甘口ワイン。デザート向けだね。

 

「サルは別のほう」サル たのすぃみ~♪

 

 

マクヴァン・デュ・ジュラ(1800円)

ヴィンテージ:NV

生産者:レ・サンク・ヴィ(ヨアン・ヴィドメール)

地域:ジュラ地方

品種:シャルドネ60%、サヴァニャン40%

アルコール:18%

輸入者:ヌーベル・セレクション

 

若い造り手による、やはり自然派の熟成タイプ。アルコール度数は高めだね。

 

どうよ。お味は。

 

「やっぱり甘いよ」サル

 

カルヴァドスなんかとはまた違うよね。

 

 

ツマミにジュラ産チーズ盛り合わせ(2200円/人)を。

 

左からコンテ、中間の炭の層が特徴的なモルヴィエ、緻密なマーブル模様が釉薬のようなブル・ド・ジェックス。モルヴィエはポクポクした歯ざわりと栗のような香ばしい風味。一方、ブル・ド・ジェックスはマッシュルームを思わせる腐葉土や藁のようなニュアンス。いずれも稀少種だよ(ちなみに量は二人分です)。

 

「全部初めての味だったにゃ」サル

 

 

デザート

 

 

アプリコットとバニラアイスに卵黄たっぷりのサバイヨンソースをかけて。アーモンドとカカオが惜しげもなく使われたチュイルも絶品。

 

 

プティフール

 

 

お婆ちゃんのマドレーヌ。これと食後のコーヒーで今夜の晩餐も終了だ。

 

 

最後はエスプレッソ(400円)で。

 

「ご馳走様でした」サル 女子にも適量だったにゃ

 

 

2017年オープンのマプール。御夫婦の息ピッタリのサーブは、ジュラのワインと料理の奥深さを判りやすく教えてくれる。ワインに拘らなければ、本格フレンチとしてはかなりリーズナブル。「コース料理は量が多くて」と敬遠しがちな女子でも大丈夫。是非往訪いただきたい。

 

フランスの豊かな食材と調理法を堪能できた夜だった。

 

「オゴッてもらってばかりですまんのー」サル

 

(おわり)

 

ご訪問ありがとうございます。