旅の思い出「国立民族学博物館」膨大すぎるコレクションに感動②(大阪・吹田市) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

《怒ったおサルはこんな感じ》

 

ひつぞうです。民博見学の備忘録(続篇)です。まずは東南アジアから。

 

=東南アジア=


 

穀倉 インドネシア(トラジャ族)1977年製作

 

穀物などの備蓄機能の他に精霊の安息場所という意味もある。

 

 

そのため、この様な家畜や太陽をモチーフとした意匠が彫り込まれているそうだ。

 

 

ベトナム北部 タイ系民族の台所

 

 

柱上棺 インドネシア(プナン族)1989年収集

 

インドネシアは他民族国家。ボルネオ島のプナン族では複雑な葬礼の儀式を執り行う。高位の亡骸は柱の上の棺に葬られる。

 

「これって棺桶?」サル おどろいた!

 

 

魔女ランダと聖獣バロン インドネシア(バリ島)2013年製作 製作者:イ・ワヤン・タング

 

これもまたバリ島旅行で観たことがあるが、そのダンスの内容は忘れてしまった。とにかく(狭い意味での)ユニークな造形に息を飲まされる。工芸品としても第一級。

 

 

仮面劇ラカオン・カオルの仮面 カンボジア 1999年 製作者:イッサリン、アン・ソック

 

「一緒にシェムリアップで観たにゃ」サル

 

でも内容は忘れたね(笑)。

 

 

王子?かな。

 

 

これは判る。ハヌマーン。つまり猿だね。

 

 

タイ・ランプーン県の上座部仏教寺院の復元

 

脱帽です。よく実物大で再現している。

 

=朝鮮半島の文化=

 

 

伝統的集落の模型

 

 

冠婚葬祭の民族衣装。婚礼衣装は宮廷のそれに似ているかも。

 

=中国地域の文化=

 

まずは少数民族の衣装から。これが実に美しい。昆虫や貝殻と同じで多様性の意義を感じるよ。民族問題も依然としてあるけど。

 

 

「むつかしい問題を抱えているにゃ」サル いろいろ言わんとこ

 

 

両サイドにスリットの入ったドレス。羊皮の背あて。そして銀の頭飾り。個人的にはこのナシ(納西)族の衣装が一番美しいと感じた。

 

 

中国のお祭り道具。これさえあれば世界の中華街で華人としてのアイデンティティを維持できる。

 

 

伝統的婚礼衣装。基本的に赤がおめでたい色だ。

 

=中央アジア・北アジア=

 

ここからは馴染みのない世界。

 

 

カザフ人の家キイズ・ウイ(天幕の家)

 

ソ連時代以降に遊牧民生活をやめて定住化が進んだ。現在は食事など特別な場所として利用される。

 

 

内部はこんな感じ。基本的にテュルク系の遊牧人の末裔である中央アジアの人びとは、コーカソイドとモンゴロイド双方の血を引く。そのため、外見的には日本人に近い人も多く、僕ら日本人にはなじみやすい。だが、国ごとの違いが今ひとつ判らない(笑)。

 

 

カザフスタン草原の暮らし

 

揚げパンとチーズの食事にミルクティ。カザフ人の典型的食事風景だそうだ。男性が奏でるのは弦楽器のドンブラ。室内を飾るフェルトのタペストリーや絨毯は妻の嫁入り道具なのだそうだ。

 

 

タシュケントの民家(ハウリ)

 

ウズベク人は中庭を囲むような平屋に長く暮らしてきた。現在は高層アパートも普及している。

 

 

中央アジアの民具(絵皿、毛織物、彫金)

 

イスラムの影響が濃いね。正直言ってタジク、ウズベク、キルギス、カザフ、トルクメンの違いが今ひとつ判っていない…。

 

 

「これは判る。モンゴルのゲルにゃ」サル

 

正解。

 

 

内部はこんな感じ。

 

 

モンゴルといえば馬頭琴。でも楽器として奏でられることは稀で、今では高額なインテイリアらしい。

 

「かつての日本の百科事典と一緒だの」サル

 

 

北方の人びとの暮らし。セイウチやホッキョクグマの狩猟と解体のVTRがすごかった。皆生肉を口許でナイフでカットしながら食べるんだよね。

 

=アイヌの文化=

 

 

アイヌ文化の歴史は、旧石器時代以降に“寒冷地”として残った北海道における続縄文文化と、オホーツク文化の混淆によって育まれたそうだ。

 

 

アイヌのチセ(伝統家屋)

 

1979年の展示に合わせて、二風谷の人びとによって築造された。その中心人物が萱野茂氏である。

 

 

現在このような建物に暮らすひとはいないが、建築技術の伝承は続いている。

 

 

アイヌの衣装

 

 

カムイノミの信仰のかまど。

 

=日本の文化=

 

いよいよ最終章。日本の伝統文化も荒廃の一途。収集の価値は高い。

 

 

ねぷた(青森県・弘前市) 

 

「人気じゃんね」サル シーズン中はホテル予約できんし

 

これはね。

 

 

太鼓台(愛媛県・新居浜市) 1978年収集

 

明治期製作のふとんだんじりの一種。中で太鼓を打つのでこの名がある。

 

 

曳山(滋賀県・長浜市) 1926年製作

 

1826年の製作。中では歌舞伎が演じられる。たくさんの山車が展示されている。どうやって収集したのかそれが一番の謎。

 

 

しめ縄も地域差があるよね。

 

 

八朔祭・大造り物(熊本県・山都町) 2012年収集

 

祭礼に使われる造り物と呼ばれる飾り。仁王像は芒で、手前の人形は野菜でできている。

 

 

牛鬼(愛媛県・宇和島市)

 

 

鹿踊(岩手県・遠野市)

 

 

メンドン(鹿児島県・三島村) 2012年収集

 

硫黄島には旧暦8月1日と2日に催される八朔祭があり、そこに登場するのが仮面神メンドンである。製作は14歳の男児と決まっている。なので多少デザインに稚拙さが残る。この稚拙さが一種独特の味になっていて、面を被った男の正体は明かされず、災厄をはらうという名目で、仮面の神はなにをしてもいいことになっている。いわゆる無礼講である。このあたり、琉球文化の影響が濃く、一度は実際に見てみたいね。

 

「遠いよ」サル どーやって行くねん

 

民間行事以外にも、失われた地方の暮らしや伝統家屋なんかも保存中。

 

 

長野県・秋山郷の民家

 

豪雪地帯ならではの万全の防寒対策。一旦雪に閉じ込められたら外の世界と交わることができない。そんな時代の秘境・秋山郷の暮らしを伝えている。と後篇は超駆け足でメモした。

 

「なげーよ」サル なんだかんだ言っても

 

最後にこの特別展示品でしめよう。

 

 

王の仮面《アトゥア・コム》 (カメルーン・バムン王国) 1981年収集

 

カメルーンと云えばサッカー。申し訳ないが、それくらいしか思いつかない。実は人口約2600万人ながら、他民族国家なのだ。宗教はキリスト教、イスラム教、アニミズム。言語は旧宗主国のフランス語、英語、それに多様な民族言語。そんな中にバムン王国は存在する。公的に認められたわけではないが、国は国なのだ。この仮面は一抱えある。なので、顔ではなくて、頭の上に掲げて踊られる。儀礼のなかで踊り手は一種のトランス状態に陥るのだろう。バムンの人びとはこの踊り=祭りに参加することで、自らのアイデンティティを再確認するのかもしれない。

 

民族とはなにか。国家とかなにか。そんな素朴ながら複雑で簡単には説明できない問題への啓示が、あるように思えた。以上で、バカ長い博物館備忘録は終わり。このあと夜の食事の場所まで移動した。

 

「ご苦労であった」サル 気がすんだか?

 

(つづく)

 

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