奥多摩/御岳山参籠の旅(金比羅尾根~大岳山~馬頭刈尾根)① | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

金比羅山(468m)/麻生山(794m)/日の出山(902m)/御岳山(929m)/鍋割山(1084m)/大岳山(1267m)/鶴脚山(916m)/馬頭刈山(884m)/高明山(798m) 東京

日本二百名山(大岳山)

 

日程:2023年1月21日~22日

天候:

(1日目)晴のち曇

(2日目)晴時々曇

行程:

(1日目)武蔵五日市駅9:25→10:35金比羅山10:40→12:30麻生山12:38→13:20日の出山13:56→14:45御岳山→14:57御岳山荘

(2日目)御岳山荘8:47→9:37奥之院→9:55鍋割山10:00→11:00大岳山11:15→12:05富士見台12:10→12:38葛籠岩→13:25鶴脚山13:32→13:54馬頭刈山→14:13光明山→15:11軍道→15:30十里木

■トイレ:金比羅山・御岳神社・大岳山荘にあります

■登山ポスト:金比羅尾根起点にはありません

■駐車場:なし

■行動時間:(1日目)4時間40分(2日目)6時間10分

 

《日の出山から見た御岳山宿坊街》

 

ひつぞうです。先週末は奥多摩の表三座(日の出山、御岳山、大岳山)を、二つの尾根を繋いで周回しました。しかし、今回の主たる目的は登山ではなく、御岳山宿坊の参籠でした。以下、山行を含めた記録です。

 

★ ★ ★

 

【金比羅尾根~馬頭刈尾根周回】

水平距離=25.6km 累積標高=1750m

 

奥多摩は冬の季節がよく似合う。八年前の2015年1月。僕らは奥多摩三山(大岳山・御前山・三頭山)を二日掛かりで縦走した。起点出発主義に頑なだった当時、ケーブルカーを使わず御岳神社まで登ったものだから、おサルの怒りは生半可ではなかった。加えて、その冬は今とは比較にならない雪深さ。鋸山あたりで脛をこえてしまいペースダウン。大変な思いをした山行だったが、今となっては良い思い出しか残っていない。

 

「いーや!つらい記憶しかにゃい!」サル

 

その初日。尾根を乗り越した先の、宿坊が並ぶ早朝の集落は人の姿も疎らで、清澄な空気に満ちていた。そこで思った。次回は登山抜きで参籠して、世俗から離れた山神さまの祭祀の世界に沈潜してみようと。先日思い出したように御岳山荘に電話した。すると、良い部屋が空いているという。参籠目的ならばケーブルカー利用で済むが、ここは山歩きと併せたい。『山と高原地図』を見ると、武蔵五日市駅から長い尾根が伸びている。二つの尾根を繋げば、青梅側から望める主要三座(日の出山・御岳山・大岳山)を縦走できる。面白そうだ。これにすることにした。

 

「最初はケーブルカーって言った!」サル

 

4時間半くらいだよ。酒浸りだし、動いた方がいいよ。

 

「それはそうだけど」サル

 

★ ★ ★

 

参籠当日。(そんなことを言いながら)前夜、調子にのって飲み過ぎて起きることができなかった。おサルもシメシメとばかり気持ちよさそうに寝ている。始発電車に乗って余裕で御嶽神社に到着する予定が、15時投宿ギリギリの出発となったのは身から出たサビだった。

 

 

いまだ頭がうまく回っていない。八王子線からの下手な乗り継ぎで武蔵五日市駅に着いたのは午前9時24分。本来なら秋川沿いからスタートするハイカーの群れがワッと飛び出すターミナル駅なのだが、こんな半端な時間に降りたったのはサルとヒツジだけだ…。

 

 

初めての街だ。電車利用での登山は数年ぶり。

 

 

まずは駅から東町交差点まで西に進む。

 

 

住宅街と学校が並ぶ生活道路を拾っていく。この角で北に方角を変える。

 

「ブロック塀のうえに小さく標識が出ているにゃ」サル

 

 

土曜日は午前中は晴天の予報。昼過ぎから雲が多くなると予報士が言っていた。

 

 

庚申塚を見遣りつつ長閑な田園風景のなかを歩いた。尾根を挟んだ北側には絵本作家・田島征三先生が暮らした旧・日の出村がある。ちょうどこんな感じの鄙びた景色だったのだろう。

 

 

奥多摩は杣人の暮らしが長く息づく場所だけに、至る処に山の神を祀る祠がある。

 

 

あれが金比羅山かな。このあたりで一人の男性がおりてきた。挨拶を交わして尾根道に入った。

 

 

杉林の中まで日差しが降り注ぐ。とはいえ気温は低く、立ち止まると汗冷えしそうだ。

 

「サルめっちゃ熱いけど」サル

 

代謝がよすぎるんじゃ…あせ

 

 

巻き道(左)と尾根道(右)に分岐。景色が良さそうなので尾根道を選択。

 

 

ここにも廃仏毀釈の痕。

 

 

展望台だ。青梅市街が一望できる。一帯は野鳥の栖らしい。今の季節は気配すらないけど。

 

 

ズームしてみる。いい眺めだ。

 

間もなく東屋が現れた。

 

 

その先の一段上に金比羅神社の立派な社殿があった。

 

 

脇にはこれまた立派な避難スペースとトイレがある。さすがは東京都。

 

あまり時間もないのですぐに再出発。

 

「どーしていつも押せ押せなのち?」サル

 

管理能力がないのかも…。

 

ここから実質的な金比羅尾根だ。小さなコブを交える長い尾根だが、鉄塔や水源の監視路を兼ねているためだろう、勾配差はほとんどなく、かつ、杉林に厚く覆われているので眺望も効かない。そのせいか、一般ハイカーの姿は少ないと聞く。

 

「静かなほうがよい」サル多少眺望悪くても

 

そうだね。そもそも宿坊参籠が目的だし。

 

 

ルートから少し外れたところに金比羅山の最高点がある。

 

 

あった。2019年設置のお手製。

 

「最近だにゃ」サル

 

縦走路に復帰して工事中の林道を立体交差すると一気に眺望が開ける。

 

 

伐採地だった。

 

「先に尖った山頂があるにゃ」サル

 

麻生山じゃないかな。

 

「宿坊は?」サル

 

もっともっと先だよ。

 

「もっともっと先きゃ」サル訊くんじゃなかった

 

 

眼の前には刈寄山、臼杵山、そして奥高尾の山並み。同定ランク最難関(笑)。

 

 

再び樹林へ。かなり地味だ。

 

 

殆どが水平道。それでも10人以上と離合した。そこそこハイカーいるのね。

 

「少し開けてきたよ」サル

 

 

ロンデン尾根だな。もう少しでこの尾根と合流するよ。

 

 

ついた。分岐だ。

 

 

そしてひとつ坂を越えると麻生山が見えてくる。

 

 

巻き道と分かれる。もちろん麻生山へ。

 

 

本日一番の本格的な登りだ。

 

 

すぐ終わっちゃうけどね。

 

 

「ここが山頂?」サルなにもないけど

 

 

違った…。山頂は少し先みたいだ。

 

 

麻生山に到着。

 

 

めちゃ眺望いいじゃん。意外だった。

 

 

左の奥に赤城山が見えるね。

 

「どこ?」サル

 

奥だよ。

 

「判らん」サルどーでもいーや

 

 

筑波山も見えるね。ここでオニギリで小腹を満たした。

 

「じっとしていると寒いにゃ」サル洟がとまらん

 

そうだね。さっきまではむしろ暑いくらいだったけど、尾根の南北で体感温度が違うな。

 

北側の尾根を降るとまもなく日の出山が見えてくる。

 

 

やあ。あれだ。

この辺りからハイカーの喧噪が伝わってくるようになる。

 

 

「登山口まですぐそこなんだ」サル

 

そういうこと。ビギナーに大人気の山なんだよ。

 

 

ここから見ると麻生山もカッコいいね。

 

「右の奥にも尖った山があるにゃ」サル

 

あれは大山だね。すぐ判るよ。

 

「登ったっけ?」サル

 

登ったじゃん。

 

「忘れた」サル仕方ないよ、こんだけ登ってんだもん

 

 

日の出山の登山道と合流。最後は延々と桟道歩き。これが地味につらい。

 

 

樹間から見えるのは大岳山かな。

 

 

初日の出(笑)。誰もいない処を狙って撮影。

 

結構広いんだね。東屋は集団ハイカーが盛大に宴会中。大人気の山だった。

 

 

三等三角点。

 

 

西武ドーム方面(やや右)。

 

 

そして、これから向かう御嶽神社(左端)に宿坊街(鞍部)。奥には奥多摩主稜線

 

 

左に眼を移せば御岳山(御嶽神社)奥之院。天気も辛うじてもってくれた。

 

「おサルひもじくて死にそう…」サル

 

もう一時半だもの。なんか作る?

 

「作ろう作ろう!」サル

 

ということでカップ麺で倹しくランチした。晩御飯までそんなに時間ないしね。

残りは1時間足らず。頑張ろう!

 

 

山頂直下の東雲山荘は要予約の自炊小屋。今の季節は休業中。ひっそりしている。

 

 

途中物々しい岩の露頭もある。宿坊街までは水平な山道だった。

 

 

いよいよ神の領域だね。ニット帽をはずして深々と頭をさげた。

 

「以前は軽く会釈するだけだったよにゃ」サル山の中に鳥居があっても

 

最近山神詣でがマイブームなんだよね。

 

「そんなこったろうと思った」サルハマりやすい奴

 

 

ついたね。飼い犬が死ぬほど寂しそうな鳴き声をあげていた。

 

 

参道三叉路に案内図があった。宿坊ってこんなにあったんだね。御岳山荘は分岐から稍くだった場所にある。翌日は神社をパスして大岳山に向かうつもりだ。なのでこの日のうちに神社本殿に向かった。

 

「えー。明日の朝でいい」サル

 

今の時間を逃すと早朝は遥拝所への入り口が閉まっているんだよ。

 

 

やる気のないおサルの尻を叩いて階段を登る。

 

「これなんだろ?」サル

 

 

ペット用の水場?飲み水かな。

 

 

夕暮れ間近なので参拝者も少なめ。

 

「皆チビわんこ抱っこしているね」サルグーゼンにしては多い気がすゆ

 

 

ベンチもわんこ。そうか!

ここってお犬様信仰の神社でしょ。きっと愛犬の祈祷もしているんじゃ?

 

その感は当たった。

 

「ていうかそれ以外に考えられない」サル

 

ご存知のように武州御嶽神社の守り神“お犬様”は白いニホンオオカミ。日本武尊の命によって大口真神(おおくちまがみ)として爾来この地を護っている。ついでに愛犬たちも護ってくれる。いや、人間500円に対してわんこは3000円!僕らよりも扱いが格上だった…。

 

「サルとヒツジだもん」サル

 

 

神社拝殿に到着。元禄13年(1700年)改築の名建築。元禄文化絢爛の時代だけに彫りも贅沢だね。

 

 

「ここって前に来た?」サル全然記憶にないにゃ

 

そうだよ。早朝だったから誰もいなかったけど(奥の遥拝所にも入れなかった)。

 

 

これがお犬様を祀る大口真神社

 

 

きゃ。怖いね。

 

 

最奥の遥拝所で奥之院を拝んでこの日は終了。あのピークは翌日に持ち越すことにして宿坊に向かうことにした。

 

「早くお風呂に入って温まりたい」サル汗冷えして寒くてたまらん💦

 

(つづく)

 

ご訪問ありがとうございます。