旅の思い出「東京ステーションホテル」で作家気分に浸ってみる(東京都) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

名建築シリーズ7

東京ステーションホテル

℡)03-5220-1111

 

往訪日:2022年7月9日~10日

所在地:東京都千代田区丸の内1-9-1

営業時間:(IN)15時(OUT)12時

食事時間:(朝食)6時30分~11時(L.O.10時30分)

■客室:150室

■ドームサイド料金:31,798円/人(税別)

■設計:辰野金吾

■竣工:1915年

 

《文明開化と21世紀が混淆する東京駅》

 

ひつぞうです。先週の東京ステイ旅行。宿泊先は東京ステーションホテルでした。江戸川乱歩松本清張などのミステリ作家が常宿し、作品の着想を得た場所として、幼い頃から憧れの対象でした。九州から寝台列車に乗って東京駅のホームに降り立つ。そんな映画のような場面を夢見ていたけれど、今の暮らしだと一時間あれば来られるんですよね。ま、長旅の余韻はなくとも、クラシックホテルの良さは満喫できるでしょう。以下滞在記です。

 

★ ★ ★

 

大正三年(1914年)に六年半の工期で完成した東京駅丸の内駅舎。赤煉瓦と御影石を惜しみなく用いたネオバロック様式を得意とした建築家、辰野金吾(1854-1919)円熟期の作品として知られる。その翌年の1915年に東京ステーションホテルは開業した。関東大震災にも耐えた堅牢な造りを誇ったが、東京大空襲には叶わなかった。戦後“暫定復旧”した駅舎は二階建て八角形の姿で再興を待つことになる。

 

 

2003年に東京駅は重要文化財に指定。遂に復原プロジェクトが稼働する。文化財保護において「復元」と「復原」は意味を異にする。例えば、首里城のような“失われたもの”を元に戻す作業は「復元」。既存のものを修復する作業を「復原」と言い表すそうだ。

 

2007年に工事開始。5年の歳月を費やして2012年10月に竣工。リニューアルオープンした。

 

 

「まだまだVirginだにゃー♪」サル

 

そのクラシックホテルでなにも考えずに終日ぶらぶらすることにした。

 

 

あれ?おサルどこいった?

 

てっきりロビーに入ったのだと思ったのだが何処にもいない。

 

スマホで訊く。どこよ。いま?

 

「ドームのなかだけど」サル

 

そこじゃないよ。

 

「駅の改札に出ちゃったよ」サル

 

いきなり迷子。サルらしいよ。

 

 

気を取り直して入場。

 

(翌日早朝の写真です。昼間はごった返してます)

 

「天井高いにゃー」サル

 

ササッとフロントマンが寄ってきて案内してくれた。カッコいいね。

 

「マスカレードホテルみたいにゃ」サル

 

 

御覧のように、客室は二階~四階まで。特に三階は全フロア客室。長い廊下は名物になっている。地下一階から二階まで飲食店やスパが入店している。いずれも名店揃い。朝食は四階のアトリウムで。夕食は好きな店で外食するお客が多いそうだ。

 

 

ではエレベーターで三階へ。

 

 

ここだ。長い廊下が壮観。エレベーターホールが判るように、その部分のランプだけオレンジ色。

 

「写真だとちょっと違いが分かりにくいにゃ」サル

 

右側中央のあたりね。

 

 

駅舎全体がホテルではない。中央から南側(新橋側)がホテル。客室は南口ドーム内部に面するドームサイド、皇居側に面するパレスサイドなど、部屋の位置や造りで異なる宿泊プランになる。僕らはドームサイドを選択した。

 

 

もちろん客室係の方がエスコートしてくれる。

 

 

あった。3077号室だ。七夕に縁があるね。施錠はタッチカード式。もちろん二枚くれる。

 

「そそっかしい我が家にはマストだにゃ」サル

 

そのうち一枚失くすんだよね…。

 

 

まだ10年しか経過していないのでクロスも純白。

 

 

「優雅~♪」サル

 

 

ドームサイドキングは面積30㎡で天井高3.9㍍。二人ならば十分なスペース。

 

 

ベッドサイドのメモ用紙は原稿用紙。作家気分が味わえる趣向。

 

 

大汗かいたので、まずはシャワー。

 

 

「スケスケだにゃ」サル

 

洋式だからね。

 

「トイレも隙間から覗けちゃうね」サル

 

ホントだ。外国人はあまり気にしないかも。

 

 

アメニティも充実。早速シャワーを試してみた。

 

 

ハンドシャワーの他に、頭上から降りそそぐ巨大シャワーがある。そそっかしいお客は、服のまま頭から被ってしまうらしい。

 

「かぶった…」サル

 

もう?言っている端から?

 

 

湯船を泡立てる。お~。海外のホテルの匂いだよ~。

 

「ぜんぜん海外旅行なんていっていないにゃ」サル

 

しばらくは無理なんじゃない?いいじゃん。絶対誰もいけない国内の秘境さんざん行ったし。

 

「頼んどらん!」サル

 

 

ということでさっぱりしたところで。ゆっくりする。

 

 

しかしね。幾ら広いとはいっても、温泉宿とは違って探検できる場所も限られている。

 

 

酒でも飲むか。

 

「けっきょく家と一緒」サル

 

“何もしないこと”を満喫することに向いていない性格なんだよね。もともと。

 

そうだ。しもじもの暮らしを覗いてみるか。

 

 

カーテンを開ける。ほうほう。民衆よ。忙しそうじゃのう。

 

「なにに扮しているのち?」サル

 

んーと。フランスの悪どい政治家とか?

 

「例えがチープ過ぎない?」サル

 

世界史の素養がなくて…。

 

 

ほら。この彫刻も全部復原されたんだよ。上層を囲んでいるのは鷲。アーチの間に干支が並んでいるんだ。なんとちょうど僕らの部屋の上がサルとヒツジなんだよね。偶然にしてはよくできている。(本当です)

 

※アーチに黒い塗り残しがある部分は唯一の《残存レリーフ》です。

 

 

そして天井中心部の装飾は機関車の車輪がモチーフなんだって。

 

 

こんな感じね。

 

 

被災した元のレリーフをそのまま残してあるんだね。

 

 

僕らの部屋を別角度から撮ってみた。

 

おサル、なんか怖いよ。写ってはいけないものが写っているみたいで…。

 

「撮れた?」サル

 

撮ったよ。ほら。おサルの左上に猫背のお猿がいるでしょ。

 

「猿回しみたいだにゃ」サル

 

遊ぶネタも尽きたところで、ディナーの時間になった。

 

 

エレベーターで地下一階へ。

 

 

豪華だよね。内部も。

 

 

ということで夕食はここで。夕食篇はまた改めて。

 

レポート☞ 瀬尾 丸の内店

 

 

散々に飲み食いしたあと、部屋で二次会の予定だったのだが…これもまた別の機会に。

 

レポート☞ ゴクローサワーで二次会の様子

 

 

=翌  朝=

 

朝食は4階のアトリウムでビュッフェスタイル。ここは絶対お薦め。

 

 

なんとね。110種類のメニューから好きなものをチョイス。係員が席までエスコートしてくれる。

 

 

ここはスイートのお客さん用だろうね。

 

 

一品がそれぞれ小さい。

 

「女性でもたくさん戴けるのが評判なのち」サル

 

 

6時30分から10時間30分ラストオーダーまで利用可能。8時頃が一番混雑すると聞いたので開場と同時に向かったけれど、もう結構な数のお客が品定め中。

 

 

僕のプレート。朝から、とんかつ、鰻重、キッシュ、茶碗蒸し、チーズドリア。

 

「ご飯も貰ったの?」サル

 

特製コシヒカリだもの。

 

「ドリアも鰻重もご飯だにゃ」サル

 

ほんとだ。

 

「炭水化物摂り過ぎなんじゃね」サル

 

明日から野菜生活だ…。

 

 

このトリュフ入りオムレツもうまい。

 

 

マンゴープリン、ムース、ケーキ。それにとどめのメロン半玉。

 

「酒も飲んで甘いものも喰うのきゃ」サル

 

甘いもの好きな親父と酒飲みの母親の間に生まれたので…。

 

「反対に似ればよかったにゃ」サル

 

それはそれでつまんない人生が待っていそうね。

 

★ ★ ★

 

食後、廊下に掲示された休業前の資料を見て回った。

 

 

「昔は直接車で来れたのきゃ」サル

 

コロナにセリカにブルーバード。昭和50年代だね。

 

 

これは客室の床を飾った英国製の化粧タイル。

 

 

今と違って日本のなかに“外国”があったって感じだよ。

 

 

二階のエントランスからホールを眺める。ここからも喫茶ルームにいけるんだ。

 

 

12時まで時間があるのでお茶することにした。詳細は後日。

 

レポート☞ TORAYA TOKYO

 

 

ということで、なかなか愉しかったよ。

 

 

ふだん通勤でしか利用しない東京駅も奥が深い。たまには近場で記念日を祝うのもいいと思った。加えて、世の中の喧噪や紛争、欺瞞や事件、事故、そんなものが早く落ち着くことを祈りたい。様ざまな歴史の暗部を潜り抜けた東京駅に、明るく耀く今があるように。

 

※気力があればスピンアウト日記に続く。

 

(つづく)

 

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