サルヒツの酒飲みライフ♪【第45回】
残草蓬莱 純米吟醸 Queeen 槽場直詰生原酒
製造月:2022年3月
生産者:大矢孝酒造㈱
所在地:神奈川県愛甲郡愛川町
タイプ:純米吟醸 生原酒
使用米:山田錦、出羽燦燦
精米歩合:60%
アルコール:12度
日本酒度:-10
酸度:2.2
販売価格:1400円(税別)
≪大変ざんねんな結果だった…≫
※いつもの個人的感想です。
ひつぞうです。このところ酒と薔薇の日々です。昔そんなタイトルの映画がありましたね。アル中夫婦が主人公の、かなり痛い物語でした。さて、今夜は僕自身の痛いお話です。その前に《残草蓬莱》のご紹介。大矢孝(おおやたかし)酒造は神奈川13蔵のひとつで、小規模ながら創業は1830年(文政八年)。歴史のある酒蔵だと言えます。全国的な注目が集まるようになったきっかけは、八代目・大矢俊介氏による純米路線への舵切りによると言われています。そして製法にもこだわりが。
看板銘柄は《残草蓬莱》と《昇龍蓬莱》です。その前におサル「残草」読める?
「ざんそう…かにゃ?」
普通はそう読むよね。これで“ざるそう”なのよ。
「ヘンな読み方だにゃ」
酒蔵のかつての地名から採ったそうだよ。
速醸法の前者に対して後者は生酛造り。造りからして真反対なんだね。
「ソクジョウってなに?」
酒母=酛(もと)造りには乳酸がかかせない。麹菌が澱粉の糖化を進めやすくする働きがあるんだ。
「どういうこと?」
麹菌は雑菌に弱いんだ。逆に酸には強い。この性質を利用して、乳酸菌を投入して乳酸を分泌させる。そうすれば雑菌繁殖を抑えて、麹菌は気持よく澱粉を糖にできるんだよ。
「ふむふむ」
伝統的な生酛造りでは自然に存在する乳酸菌に期待するので、雑菌繁殖のリスクもあるし、手間もかかる。そこで近代化の過程で、最初から乳酸投入する方法が編み出された。それが速醸法なんだ。
「じゃ生酛造りがまだあるのはなんで?」
酒造りの手間はかかるけれど、生酛系の複雑で骨太な酒が好きという愛好家もいるわけよ。対する速醸系はサラリとした喉ごしのスッキリした味わいに仕上がる。どちらが良くてどちらが悪いというものではなく、好みによるよね。
「よく知っているにゃ」
先日うけた説明の受け売りだよ(笑)。
「やっぱりヒツジやん」
★ ★ ★
さて。今回の酒です。
一見する限り、スペック通りの純米吟醸・生原酒です。大きな特徴といえば“低アルコール”でしょうか。日本酒度-10と甘口で口当たりも優しい。つまり、日本酒ビギナー(つまり僕)にはうってつけ!
「サルは辛口のキレキレ系が好きだけどにゃ」
ところがです。
またやってしまいました。なんと取り置き期間が過ぎていたのです。
三月十六日槽場汲みたての生酒を特約店で頒布。もちろん予約制。そして取り置き期間は一週間。それだけフレッシュ感が失われやすいのでしょう。気づいたのは10日後。「過ぎたらキャンセル扱いの可能性あり」と引換券に書かれています。今考えればその方が良かったのかも。電話すると「取り置きしています」ですと。
「前払いだったしにゃ」
ここのところ、酒に関する失敗続きで自分でも嫌になります。
「この間は高級スパークリング吹き溢したしにゃ。粗忽なんじゃね?」
密栓キャップで二重に栓が施されているけれど、減っているのが判りますか?(写真二枚目)
とある有名酒屋の若旦那に以前言われました。「生酒だからって早く飲まないといけないというものでもない。時間が経てば古酒のようなまろやかな味わいになるものもある」。それも事実です。
しかし。この酒のスペックは“生まれたてのわたしのピリピリ刺激を堪能してね💛”なのです。
期待度127%だそうです。まだまだ僕には日本酒愛が足りないのでしょうか。
グダグダ言っても始まりません。注いでみました。
泡は失われていました…。どんなに注ごうとも。なので腰上まで注いでしまいました。
「ピリピリしないにゃ」
でも爽やかな春らしい香りはします。比率は不明ですが、山田錦と出羽燦燦のなせる業でしょうか。神奈川県の酒蔵ですが、長野生まれの美山錦系が使われているのも面白いです。色は綺麗な磨り硝子色の薄にごりです。米の旨味と甘味が品よく表現されて、日本酒度-10とは云いつつ、甘すぎずキレもよく、しつこさがありません。今年頂いた《WAKAZE生酒》に似ていました。
「そう落胆しないで食べておくり。いろいろあるからにゃ」
これは美味しそう。大変だったでしょ。海老を料理するの。
「これ成城石井」
そーね(笑)。
「飛竜頭はお手製だよ」
いっぱい作ったね(笑)。
おサルの飛竜頭、酒に合いました。酸は抜けてしまったけれど、爽快系生酒の一番いいところを表現していたかもしれません。これに懲りずにまた買ってこよう!
「運動もしないとにゃ!」
(おわり)
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