袴腰(1755m)/チョキ(1680m)/八幡山(2088m)/金峰山(2595m) 山梨県
日程:2021年11月20日
天気:快晴
行程:瑞牆山荘5:47→7:58袴腰8:21→10:00チョキ10:15→12:20八幡山12:25→15:43金峰山15:52→19:00瑞牆山荘
■トイレ:あり(瑞牆山荘隣り)
■駐車場:50台
■登山ポスト:確認してません
■行動時間:(瑞牆山荘~木賊峠)2時間+(木賊峠~金峰山)7時間+(金峰山~瑞牆山荘)3時間
※八幡山以降は目印・踏み跡皆無。熟練者向きのバリエーションルートです
≪八幡山から見る金峰山≫
こんばんは。ひつぞうです。この週末に八幡尾根に登ってきました。金峰山のバリエーションとしては過酷な藪漕ぎを強いられる長大なルートとして知られます。情報量が少ないこともあり、おサルと一緒の踏破は諦めて四年ぶりのピキ登山となりました。
★ ★ ★
【金峰山(八幡尾根)】
水平距離=24.5km 累積標高=1795m
八幡尾根との出逢いは『山と高原地図』にある。そもそもは尾根の起点にチョキという一風変わった名前のピークを見出したことが始まりだった。クリスタルラインでアクセスすれば木賊峠から2時間足らずで登れてしまう。それでは面白くない。この地図のシリーズに尾根や沢の名前が記されていれば大抵は籔山登山や沢登りの対象になっている。つまり、誰かの足跡がついていると言っていい。加えて、八幡尾根は郡界をなしていた。ということは境界見出標が期待できる。これを追えば道迷いせずに金峰山を目指せるだろう。調べてみると僅かながら山行の記録が散見された。
次はルート計画。木賊峠から金峰山を経て瑞牆山荘に降りる。ルートとして申し分ない。しかし、車の回収はどうするか。皆、もう一台か自転車をデポして周回していた。手段のない僕は徒歩で距離を埋めるしかなかった。その距離9㌔。しかも一度244㍍降って登り返す。朝一番からの高反発の舗道歩きに一抹の不安があるが仕方ない。2時間をあてて、山頂までは(他の実登ルートの経験から)7時間と割り出して、一般道での下山3時間を足して計12時間。この推測はピタリと当たった。
★ ★ ★
当日の朝3時に自宅を出発。やはり独りで山に向かうのはテンションがあがらない。少し寝坊したせいで瑞牆山荘前の無料駐車場についたのは午前5時30分。驚いたことに、ガラガラと思っていた駐車場がほぼ満車。初めて金峰山に登った9年前の11月10日。出逢った人は片手で数える程だったのに。時代が変わったのか。よく飲み込めないが、ただでさえ45分も遅れている。余計なことを考える余裕はない。準備を済ませて山頂とは逆方向に歩きだした。
この夜は“98%ほぼ皆既月食”の話題でもちきりだった。既に満月に戻って南西の空にそれは浮かんでいた。すぐにヘッデンは要らなくなった。
クリスタルラインをくだりきって分岐を左へ。三叉路の標高最低点には10台以上は余裕で停車できる。ここからスタートしてもいい。
三叉路にはゲートがあり、12月9日以降は冬季封鎖と書かれていた。
木賊沢と並行するように標高を稼いでいった。
標高をつめて木賊平まで来るとカラマツ林の奥にチョキの姿が見え隠れする。地理院地図に破線で記された木賊平からコレイ坂までの直線ルートは、薄いながらも径の態をなしていた。ショートカットするにはいいかもしれない。
本当はそうしようかと迷った。だが、三角点ピークの袴腰はこのルート切っての好展望地。
結局、悩みながらも木賊峠についてしまった。数台の車に分乗したハンターの集団と挨拶。その後銃声が轟いたので鹿狩りが始まったのかも知れない。このあたりも鹿の食害が深刻だと聞く。
東屋の正面に登山道は続いている。大きくジグを切った道が延々と続く。山頂は見えているが、しっかりしたアルバイト。
登りきると二等三角点が枯れ切ったカヤトの原に蹲っていた。
山頂は小さな双耳峰になっている。先にはベンチもあり、眺望が良さそうだ。標高の高いほうにいってみた。
眼の前にこれから目指す金峰山の姿があった。遠いな。思ったより…。
手前にチョキ。八幡山は目立たないが岩尾根のようだ。
八ヶ岳。野辺山高原は雲海の底。
金ヶ岳と南アルプス。最高の登山日和だ。
独りで撮るとポーズ取っている自分がバカみたいだ。
「なんで中腰なのち?」
後の南アルプスが写るようにと思って。結局、仙丈ヶ岳にかぶってしまっているけど。
そして霊峰富士。この日は少し水蒸気が多いようだ。
再び峠に戻って現在地を確認。
なるほどね。この辺の林道はだいたい走っている。ということでコレイ坂まで再び舗道歩き。ここまで計画どおりの二時間。既に足裏が痛い…。大丈夫かね。
素晴らしいビュースポット。瑞牆山から朝日岳まで。
コレイ坂のゲートについた。ここを左へ。封鎖されていて車は這入れない。
木賊平全景。ここだけ火口原のような地形なんだよね。
すぐに支線が分岐する。右へ進む。
またまた支線が分岐。鉄塔を巻きこむように左から。
チョキが見えてきた。小さなピークと軽く考えていたけど結構な登りだね。これ。
なにも標識がないけれど、ここが登山口なのだろう。林道は右に巻いていくので間違いない。
山肌に取りつくと明瞭な踏み跡が続いている。
なかなか山頂に着かない。東北・越後遠征の疲れがいまだ取れないのでしんどい。
チョキ制覇。三等三角点があった。三つの尾根が合わさるピークは想像以上に狭く、風も吹き抜けて寒かった。行動食と水分補給して北にくだっていく。
ビロードの尾根が続く。本当に激籔の尾根が待っているのだろうか。
次の小ピークは山頂が岩塊になっていて登る意味がない。巻いた方がいい。
この標識と尾根に断続的に打たれた標柱が目印。これだけは金峰山まで続いている。
結構登るね。実はこれは2035㍍峰で八幡山は見えていない。
1750㍍のコルは南の眺望がよくて富士山の形もいい。手前のピークは水ヶ森。
少しずつ登り勾配になっていくが、どうみても登山道としか思えないほど踏み跡が明瞭。ここって昔の仕事道なのだろうか。
と思った矢先。1850㍍圏でシャクナゲの藪が立ち塞がった。しかしノープロブレム。掻き分けて進める程度。1900㍍圏までは直登せずに薄い処薄い処と左斜めに進むとルートを取りやすい。
すると尾根の崩壊地にでる。
ここも踏み跡。郡界標識のチェックに定期的にお役人が山に入っているのではないだろうか。
暫らく急登が続く。
尾根に乗るとシャクナゲ。でも大丈夫。掻き分けられるだけの柔軟性がある。
1990㍍峰を通過した。187のスプレー痕が。標高ではないよね。
藪尾根をこいでいくと…
快適なスペースが出現。
南の広場とプレートが。なんだ。結構ひとが入っているのね。ここは幕営に最適。フラットで根っこもない。鹿糞もない。おサルと一泊でこれたじゃん。
「遠慮すゆ」
(おサルは家でダラダラしていたそうだ)
小休止して行動再開。このあたりから登る足が重くなってきた。
次なる2035㍍峰の筈だが。
ここが最高点か。パスするのがだんだん厳しくなってきた。この岩の左を強引に過ぎる。
正解だったようだ。快適な下降線。
またなにやらスペースが。
八幡山のコルと記されていた。かつて作業小屋があったようで一升瓶やトタン、ブリキ缶が散乱している。張るには難ありのスペース。
また登って同じように大岩を左から降る。
八幡山までは断続的な昇降が続く。自覚以上に消耗する。
巨大な岩が塞がるようになると八幡山は近い。
ついたようだ。疲れたよ。マジで。
来た道を振り返る。このあたりは花崗岩の巨岩が点在する。しかし、山頂標識はどこに?
あったあった。稜線上にあったよ。憧れの八幡山についたのだ。出発して6時間半が過ぎていた。
しかし、そこから見える金峰山はまだまだ滅茶遠い気がした。気のせいだろうか…。
「めっちゃ遠いじゃん!」
(つづく)
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