サルヒツのぐるめ探訪♪【第131回】
鮨 天川
℡)03-5420-9388
カテゴリ:鮨
往訪日:2021年10月16日
所在地:東京都渋谷区恵比寿1-25-7サングラーダ1F
営業時間:(L)11時30分~15:00(D)16時~21時(年中無休)
※営業時間短縮中
■カウンター6席+個室4席
■アクセス:JR山手線「恵比寿駅」より徒歩7分
■予算:(昼)おまかせ8,800円
■カード:可
≪旬を迎える希少な鮨ネタ前に≫
こんばんは。ひつぞうです。今夜は都内街歩き(東京都写真美術館)の続きを記します。
★ ★ ★
普段から好き勝手な週末を過ごさせてもらっているので、ランチを御馳走することにしました。都内での昼酒つきの飲食なんていつ以来でしょうか。向かった先は恵比寿の鮨店「天川」さん。飲食店や雑居ビルが犇めく新橋ぐるめ通りから一筋入った場所に店はありました。
「すし!すし!す~し♪」
洋食も好きですがおサルは鮨が大好物。昂奮が抑えられないみたい(笑)。
「ぜんぜん連れてってくれなかった」
そういうご時勢だったしね。
「酒が出ないんじゃね~。つまんにゃい」
「ここじゃないのち?」
オフィスと間違えて一瞬通り過ぎてしまいました。まさに大人の隠れ家です。
潔いですね。白無地の壁に蒲鉾大の看板がひとつ。なんか高級そう…。
「予約してますにゃ」
案内を乞うとカウンターから店主さんが迎えてくれました。奥から人の声が漏れてきます。個室があるみたいです。僕らはL字型に配されたカウンターに通されました。
(コロナ禍の影響でしょう)現在おまかせコースのみ。都内でこのメニューでこの料金。良心的ですね。お腹が膨れるので、近頃は最初から冷や酒でいくことにしています。恐る恐る撮影していいかと店主さんに尋ねると、一瞬怪訝な表情を浮かべたものの快く諒解してくれました。
「ヒツジがミョウに卑屈だから店主さんもまごついただよ」
でもさ。こういうことにやかましい鮨屋もあるでしょ。
茅ヶ崎は熊沢酒造の天青(てんせい)の純米酒「吟望」を頂戴しました。乞わずして若いお弟子さんが一升瓶を出してくれました。
「マニア泣かせだにゃ」
しっかりしたアルコールで旨味も豊か。ざらりと舌の表面に絡みます。濃厚な酒です。
前菜は季節の野菜。コリンキー。ベビーコーン。蕪。玉葱。絶妙な茹で加減ですね。野菜の仄かな青臭さを敢えて残して、歯応えもしっかり計算されています。これを胡麻だれと塩で頂きます。
素材の味を愉しむわけですな。脂気のないものをあてに飲むものだから回るのなんのって。
続いてトロの直火焼。赤身の弾力が素晴らしく、まるで獣肉のようですね。解すように口に入れていきます。胡麻油の効いた極上のつまみです。
続いてもずく酢。やはり歯応えがあって磯の香りが広がります。
少し落ち着いたところで握ってもらいます。
まずは中トロ。いきなりかって感じですね。醤油は塗られているのでそのままで。このガリも歯応えがあって美味しい。一瞬の涼味が爽やかです。
「ガリもうちょっと欲しかったにゃ」
どんどん食べるからだよ。
「酒もにゃい」
なんでも早いね。きみは。
てなわけで栃木(大田原)の大那(菊の里酒造)のひやおろしを。いや~。那須の酒はきめ細かですっきり。裏切らないね~。
あとから撮影用に一升瓶を出してくれました(笑)。
因みに菊の里酒造の社長は若い頃にスペインを放浪。道中ひとりの女性と意気投合してサハラ砂漠で二週間ともにしたとのこと(HPに詳しく載っています)。その人こそ今は亡きクライマーの谷口けいさんだったそうです。何事にも挑戦的だった谷口さん。こんなところでも影響を与えていたとは。人生は一期一会ですね。
「脱線しとるだぎゃ」
ここから連続して戴きます。
真鯛は気持ち炙りをいれて。特有の生臭さを殺しています。
コノシロ(東京湾産)
まさに江戸前ですね。包丁の眼も鮮やか。見た目も美しいです。
しめ鯖
昆布の旨味がグルタミン化した鯖と溶け合っています。
タイラギ(岡山産)
今や絶滅危惧種のタイラギ。亡父の故郷が有明海沿岸だったこともあって馴染みの食材です。ただ、当時から希少なネタ。子供が口にする機会はありませんでした。タイラギはこれからが旬。肉厚になって旨味も増します。
鰆(伊勢産)
焼いても刺身でも旨い魚ですね。
ヒラメ
万能ねぎを塗して。
そして大間産の鮪
スミイカ
柚子の香りが爽やか。塩で頂きます。
最後に穴子と干瓢巻で〆です。穴子は温かいうちに頂戴しましょう。フワトロです。
三つ葉の吸い物であがりだね。
「なんか飲む」
まじ?でもアテがないよ。仕方ない。もう一合ください。
言わずと知れた青森の銘酒。これだけ飲んでも繊細さが判る。さすがは田酒。
玉子焼きでチビチビやっている時でした。
「これ賄いなんだけどね」
と店主さんが一皿差し出しました。
なんと大間の鮪の中落ち。なんて豪気なんでしょう。
「昼からこれだけ飲んでもらうのも久しぶりだからね」
豪気だったのはむしろおサルだったのかも知れません。旨い鮨に旨い酒。落ち着いた店内。そしてお仕着せではないもてなし。最高のランチでした。帰りの電車で二人とも爆睡。平和な日常が戻ってきたような気がしました。まだまだ気を緩めることはできませんが。
「やっぱりタダ酒は旨いにゃ」
(おわり)
ご訪問ありがとうございます。