滝子山(1590m) 山梨県
日程:2020年11月21日
天気:快晴
行程:桜森林公園6:30→7:05林道→9:50滝子山10:28→11:30曲り沢峠分岐→12:23すみ沢登山口→12:50桜森林公園
■トイレ:なし
■駐車場:桜森林公園前に約10台
■登山ポスト:なし
≪原平橋から見あげる滝子山へと続く寂ショウ尾根≫
こんばんは。ひつぞうです。晴天が続いた三連休でしたが、前線の影響を考慮して標高の高い山は敬遠することに。滝子山(たきごやま)の寂惝(ジャクショウ)尾根の日帰り登山に変更しました。大菩薩連嶺全山縦走で一度ピークを踏んでいますが、このルートは初挑戦です。詳しくはいつもの山行記録で!
★ ★ ★
【滝子山(寂惝尾根)】
水平距離=9.6km、累積標高=1009m
五年前の暮れに、二泊三日で大菩薩連嶺(甲府アルプス)を縦走した。JR初狩駅で冷気の残る日蔭のアスファルト道に降りたち、尾根に取りついて男坂を汗をかきかき登った。快晴の山頂からは、目指すべきハマイバ丸、黒岳、そして大菩薩嶺が折り重なって見える。そのとき、視界の端に標識らしきものが映った。見れば「この先危険」の文字。その日歩いた道には危険の匂いはなかった。いったい何が危険なのか。
それが寂ショウ尾根を知るきっかけだった。ずっと「サビショウ」と思っていたが「ジャクショウ」が正しい。常用漢字ではない「惝」の字にカタカナを当てたという単純な理由だったが、「寂しい」の大月方言と早合点したのだ。「さびしょう」という語感は如何にも淋しそうではないか。
「そうかにゃ」
まあ、そんなことはどうでもいい。
近頃ますます登山の早出が辛くなった。できれば毛布の中でぬくぬくしたい。そんな自分を叱咤して未明に自宅を出発。大月ICで降りて登山口の桜森林公園を目指した。
林道大蔵沢大鹿線を北上。中央道と交差する原平橋を渡るとすぐだった。既に一組のパーティが準備中。看板前に5台、奥のスペースに5台程度駐車可能。
出発すると間もなく橋を渡る。緩いカーブを過ぎると、尾根の由来となった寂惝苑の跡地(今はヒノキの苗木が植えられている)に寂ショウ尾根へと続く分岐があった。早朝など薄暗いと見落としかねない。注意しよう。
駄目とはかいていないね。
「オサルチも登れるのち?」
大丈夫と思うよ。あんまり詳しく調べてないけれどね。調べ過ぎても興醒めだし。
その先にもニ、三軒、廃屋のような小屋が建っていた。
地味な植林帯の稜線にとりつく。
尾根の肩に乗ったところで送電鉄塔を通過。やや踏み跡が薄い箇所もあるが、テープがあるので道迷いはないだろう。
右手には峰の山。
山頂方向に朝日が当たり始めた。
少し風が出てきた。
林道と交差。ここまで約30分。
「なんて書いてあるのち?」
どう読むと思う?
「さびしょうおね?」
やっぱり夫婦である…。
登山口がいきなり急登。登山あるあるのひとつ。
まもなく緩くなると…
飴色の斜光線に森が包まれ始めた。
落葉したこの季節ならではの景色。やはり晴天を狙って正解だった。
急登は最初だけで緩い長尾根が延々と続いた。しかし、風がすごい。3000メートル級はアウトだったね。判断は正しかった。
「ひつの判断じゃなくてヤマテン先生のおかげなんじゃね?」
枯葉が吹き溜まりになって、隠れた木の根や浮石に足を取られやすいので注意しよう。
向かいの尾根は五年前に登った稜線だろうか。しかし暑い。もう11月も終わりだというのに。
(この日夏日を迎えた場所もあった)
トウゴクミツバツツジが狂い咲きしていた。
林道から一時間あまりで尾根が痩せ始め、御覧のとおり、右斜面が切れ落ちた地形になっていく。油断すると大怪我しそうな場所だ。
そして、寂ショウ尾根の紹介写真で見かける岩場が出現。
まったく問題なし。(この辺りからはストックは不要)
この日山頂までに抜かれたのは二名だけ。出発時間が早かったせいだろう。ここは人気コースだから。
そして、少しずつグレードは上がっていく。このコースに鎖やロープはない。
山頂稜線はもうすぐみたいだね。
「たいしたことなかったにゃ」
その判断は早計だった。
滑りやすい一枚岩のトラバース。特に今の季節は枯葉が滑りやすい。右手斜面は20mは切れ落ちている。
間髪入れずに左斜面の直登に変化。立木を利用しながらゴボウで登る。
なるほど。これでは下山での利用はお薦めできない。
登り切ったところにこの標識。核心部だったようだ。
痩せ尾根が複雑なアップダウンを見せ始める。小豆色に染まったイワカガミを愛でつつ、呼吸を整えて次なる稜線の大岩へ。
おサルはサクサク越えていったが。
反対側は大きな段差になっていた。しかも両サイド切れ落ちている。
でもそこがビュースポット。我慢できずに浜立山を撮る。
無事通過すると、滝子山の山頂が間近に見えていた。
だが、見える山はなかなか着かない。これも山あるあるのひとつ。
斜面を登りきると浜立山分岐だった。
右側に進路をとって山頂へ。三つ丸の別名があるように、遠望すると三つ、場合によっては四つのピークにみえる滝子山。ここから小さなアップダウンが連続する。
一部崩壊地あり。後続者への落石に注意しよう。
山頂に到着した。思い出深い標識は今も現役で、無謀な下山者への戒めの言葉が記されていた。
山頂は360度の大パノラマだった。その中にあって、相模湾に向かって棚引く猛烈な富士の雪煙が、この日の強風を不気味に物語っていた。
(つづく)
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