ぐるめ探訪「八ちゃんラーメン」で濃厚豚骨ラーメンを食べる(福岡) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

サルヒツのぐるめ探訪♪【第73回】

八ちゃんラーメン(薬院本店)

 

カテゴリ:ラーメン

往訪日:2019年6月29日

所在地:福岡市中央区白金1-1-27

営業時間:21時~翌2時30分(水・日・祝定休)

予算:1000円

■座席数:カウンター10席

■駐車場:なし

 

≪このドロドロ感こそが博多よ≫

 

こんばんは。ひつぞうです。六月最終の週末は年に一度の帰省にあてました。

 

★ ★ ★

 

梅雨入りが遅れた今年の福岡。山笠の季節になれば飾り山が街を彩り、博多の

街に夏が近いことを教えてくれる。だが、降りたった福岡空港の雨に濡れたエプ

ロンはどこか哀しげにくすんでいた。梅雨どきの博多は蒸し暑く、激しく空模様も

移り変わる。

 

地下鉄で博多駅まで移動した僕は、いつものように、鹿児島本線鳥栖行きのホ

ームに繋がる階段をゆっくりあがった。ちょうど時刻は昼飯どき。名代の拉麺屋

の出店は幾らでもあるが、埃っぽい立ち食いの店で、細ネギだけをぶっかけた

変哲もない豚骨ラーメンを啜る。初日にこの麺を食うことで、帰省の一日目が始

まる習いになっている。

 

令和の時代を迎えて太宰府坂本神社が俄かに注目を集めているという。いっ

たいどこにあるのだろうか。二十三年間暮らした町なのに知らないことばかりだ。

 

≪大宰府政庁跡≫

 

冷房の効いた車輛の中で、浪人時代、毎日のように、この区間を往復したことを

思い出す。些細な行き違いから親父と口論になった。莫迦莫迦しいとは思ったが

言い出すと後に引けない性格は親父譲り。そりゃそうだろう。親子だし。全ての

受験勉強を放棄した。せいせいした。毎日本ばかり読んで過ごした。一年経つと

同級生は都会の大学に巣立っていった。

 

気がつけば僕は独りになっていた。

 

入道雲と驟雨のもと、将来の見定めもできずに、参考書を片手に家路を急いだ

夏の日。やはり変わりやすい荒れた空だった。

 

車窓から天拝山が見えた。万葉の歌人にも詠まれた名山である。かつて武蔵

温泉と呼ばれた二日市温泉の街に降りたつ。花袋も訪れたこのホームの場所

は鉄道敷設以来一度も変わっていないはずだ。

 

改札を潜ると、これもいつものように、脇目も振らずに待合室に直行する。名物

梅ヶ枝餅を買うために。いつものおばさんはいなかった。代わりに若い愛想の

いい若者が老父と共に番をしていた。なにか訊こうとしたが止めにした。よその家

庭の事情に首を突っ込むこともない。

 

(画像はネットより拝借いたしました)

 

以前は一度離れた親元に帰省することがどこか照れくさく、面倒くさく感じた。

今は少しずつ知っていた人が居なくなっていく、その寂寥が耐えづらい。僕のふ

るさとはだんだん出涸らしになっていく。いつかは他人の街になってゆくのだろう。

 

「ラーメンの話はどーなっているのちにゃ!」サル

 

ついノスタルジーに浸ってしまった。

 

★ ★ ★

 

2019年3月。新横浜ラーメン博物館に博多の八ちゃんラーメンが出店した。支

店を出すことを拒み続け、満を持しての登場である。その八ちゃんを(地元であ

りながら)僕は全く知らなかった。

 

「信じらんな~い!」サル

 

所詮、僕のグルメに対する知識と欲求などこれっぽっちのもの。ということで独

身時代に何度も往訪したというおサルに案内されて、夜の博多に繰り出した。

 

というのも、午後九時以降しか営業していないからだ。

 

いや繰り出したというのはおかしい。夫婦共通の旧知の女性と飲みあかし、語り

明かし、歌い尽くしての往訪である。酔眼の僕に店の灯りはオレンジに滲んで見

えた。仕込みは充分。

 

 

「酔っぱらってるじゃん。しっかりおしよ!」サル

 

軟弱者なのでタクシーで移動した。ラーメン一杯に賭ける情熱だけは人並み以上。

 

★ ★ ★

 

 

カウンター10席にも関わらず、並ばずに席にありついた。(写真のデータから

午前零時だったと知れた。なるほど。この時間だったら並ばずに済むのか)

 

「電車はなくなるけどにゃ」サル

 

メニューは至ってシンプル。葱盛り、チャーシュー、ワンタンのいずれか、もし

くは組合わせのトッピング。

 

 

まずは一口餃子を摘まみながら、壜ビールをコップで一杯やるのが博多流。

しかしもう飲めんな。博多の女は酒が強くて適わない。

 

「だらしがないのー」サル

 

どれだけ待ったか判らない。ついにご対面。

 

 

これが憧れ続けた八ちゃんラーメンなのか。

まずはスープをすする。…。すっごいドロドロ。これ好きかも。ドロドロ感を満喫

するために、敢えてマルタイ棒ラーメンを水分少な目に茹でるヘンタイの僕で

ある。これぞ究極!

 

テーブルには胡椒紅ショウガが並んでいるが、そんなもの入れては邪道だ。

 

 

麺はバリ硬一歩手前か。個人的にはバリ硬が好み。ちなみに「バリ」とは福岡の

方言で「とても」とか「めっちゃ」という強調の副詞。おとなりの佐賀だと「がば」、

山口だと「ぶち」になる。基本的に郡部での利用頻度が高い。

 

福岡出身のタレントが「めっちゃかわいい~」などほざいていると「博多弁でしゃ

べれ!」と云いたくなる。ジジイになったものだ。

 

 

残念ではあるが、ブラックアウトというのか、食べた事実は覚えているが、味の

詳細がすっぽり抜け落ちている。そのうえ、もっと衝撃的事実が。八ちゃんラ

ーメンの本店は太宰府市の都府楼駅前にあったのだ。灯台元暗しとはこのこ

とだった。

 

またリベンジすべき目標が増えた。

 

★ ★ ★

 

親父が再び業病におかされた。もう歳だし闘うことはやめにすると、不貞腐れた

ように電話口で喋った。その口ぶり。やっぱり親子、血が繋がっている。

 

(続くと思う)

 

いつもご訪問ありがとうございます。