那塩道路を辿る(日留賀岳~男鹿岳縦走)② | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

日程:2018年5月5日~6日

天気:(二日目)快晴

行程:(二日目)幕営地5:00→5:27ひょうたん峠→6:55那塩道路終点7:05→9:37日留賀岳10:03→11:15鳥居11:30→12:30林道終点→12:50鉄塔→13:11小山氏宅

 

≪那塩道路から日留賀岳山頂を望む≫

 

こんばんは。ひつぞうです。なんだか梅雨のような蒸し暑い一日でしたね。入梅

も早いのでしょうか。早速ですが「日留賀岳~男鹿岳縦走①」の続きです。

 

★ ★ ★

 

春先以降の融雪が早かった今シーズンだったけど、廃道の残雪はまだある。

中途半端に圧しつけられた灌木の枝に進路を遮られてむしろ歩きにくかった。

 

 

那塩道路にタッチしてからは計画通りの所要時間。恐らく男鹿岳直下に到着

するのは16時前後になるだろう。とした場合、山頂までの往復を考えると、お

サルと行動を共にするのは困難。ピークハントに重きを置かないおサルはテ

ントに残し、僕だけ山頂を踏むことに計画を変更した。

 

「それでベリー好い!」サル

 

 

男鹿岳が見えてきた。稜線からの眺望なので標高差は感じないけど、地図で

見る限り、林道から山頂までの水平距離は約700m。それなりにあるようだ。

 

 

それに引き換え、山頂までの藪漕ぎから解放されたおサルの足取りは軽い。

間もなく、ひょうたん峠に着く。大佐飛山との稜線の繋がりの奥に那須連山が

見えてきた。

 

民間の建設業者では重機の持ち込みや職人の差配が難しく、那塩道路建設

には陸上自衛隊が当たったそうだ。難工事で殉職者も出たという。そんな道な

がら、一度として利用されることもなく、自然に回帰しようとしていた。

 

 

大佐飛山塊からのコル越えの男鹿岳登頂はけっこう辛そうだ…。

 

「一人で行ってにゃ」サル

 

 

この道を登り返せば…

 

 

第二の監視小屋が現れる。ガラスは嵌め直されたのだろうか。天井は一部朽

ち落ちている。なによりドアノブがないので中には入れない。その脇に自衛隊

建設記念碑が建立されていて、幕営適地も一張り分あった。距離的には男鹿

岳直下に近いが、そのまま前進した。

 

 

ひょうたん峠に到着。日没間近の雰囲気がじわりと滲む。那須連山の眺望は

ここが最高だった。峠の名前を示す標識はなかった。

 

 

そろそろ取りつきポイントを探さなくてはならない。第二監視小屋のすぐ先に

山頂に至る稜線が始まるコルがある。だが踏み跡も目印も見つからない。直

線距離できるだけ短くして、早めにテントに戻れるようにしなければ…。

 

 

尾根を左に見やりながら、取りつきやすい場所を探していると、崩壊の跡だろ

う、地肌が剥き出しになっていた。ここから登ることにした。その先は路面が湿

っていたので、礫が少なく、落石の危険のない場所まで戻って幕営開始。時計

を見ると、時刻は16時ちょうど。

 

 

30分ほどで張り終えた。細かい調整はおサルに任せて斜面に飛びつく。

 

 

これではどういう状況かまるで伝わらないけど、まずは背丈以上の千島笹の

密藪漕ぎで始まった。漕ぐとは云っても急斜面で(籔山専門家はよくご存知だ

けど)笹は下に向かって生えるので、追い返される格好になるんだ。

 

その後、ツツジ科の低木とマツの籔。手を放すと滑落するので、一旦取りつい

たら、延々とゴボウで登り続けなくてはならない。なんとなく人の踏み跡のよう

に見えていたのは獣道だったようで、足許は鹿の糞だらけだ(食事中の方ご

めん!)。

 

 

おサルの証言では30分くらい格闘していたらしい。こっちは必死だったから

よく覚えていない。なんとか稜線上に突き抜けた時は夕景が近づいていた。

 

 

で、よ~く見ると明らかに獣道とは異なる入山者の踏み跡が。

 

 

尾根の下方を振り返る。やっぱり道はあのコルまで続いているようだ。

 

 

前進すると山頂手前のニセピークに着いた。残雪で道が絶えてしまったが

ルーファイに眼が慣れたようで、テープなしでも進路が判る。中央右だ!後

は駆け抜けるように山頂を目指した。

 

 

あれが山頂か。籔も腰下程度で笹が中心。日留賀岳からの稜線に較べれば

楽勝だ。踏み跡が判然としなくても、全く道迷いの不安はなかった。

 

 

途中で前衛峰(ニセピーク)を振り返る。北面にはそれなりに雪が残っていた。

 

 

稜線からは茶臼岳と那須朝日岳がくっきりと見えた。男鹿岳山頂直下では唯一

の展望地だった。

 

 

そして夕暮れ前になんとか山頂を踏むことができた。時刻17時24分。証拠写

真を撮って、来た道を全速力で戻る。それでも往路50分、復路35分かかった。

おサルつきだと二倍は要しただろう。

 

テントに戻るとおサルがフライから顔だけ出して出迎えてくれた。一時間くらい

夕食を作りながら、外で待っていたそうだが、陽が隠れると急速に冷えてしま

ったので、寒くて適わなかったんだって。僕の有難味が判ったでしょ?

 

「ていうかさ、独りでテントに居てもつまんないよにゃ」サル

 

でしょ。だからソロテントの旅は止めて、おサルと山旅続けてる訳よ。ロング

も籔も雪山も。

 

「望んでないし!」サル

 

※最初、山頂から続く踏み跡の出口を確認するため、道なりに下山するつも

りでいたんだけど、登りの籔で大事なオークリーのサングラスを落とした事に

気づいたんだよ。熊鈴も落としたばかりだし、回収するために嫌々ながら密

藪伝いで戻ったんだ。奇蹟的に無事回収したけどね。

 

 

夕食は水餃子。味の素の「もちもちプルプル水餃子」は最高です。

 

「もちもち厚皮水餃子でしょ!」サル

 

ワインを酌み交わし、シュラフに包まれて、これまでいろいろ繰り返してきた山

の失敗談で話が弾んだ。弾んだと思ったのは僕だけで、おサルは単に僕を詰

っていたような気もするけど…(笑)。

 

★ ★ ★

 

翌   朝

 

割合よく眠れた。ずっとGWの間寝不足だったこともあるけどね。明け方は春の

星座と天の川が綺麗だった。木ノ俣川の底から滝の音がずっと聞こえていた。

 

 

午前5時に出発。一番自然に回帰している「ひょうたん峠」手前の辺りは静か

に通過した。落石怖いもんね。

 

 

陸上自衛隊104建設大隊の記念碑まで戻ってきた。

 

 

南会津(田島)側中央には春霞の七ヶ岳。右手前にピラミダルな鋭鋒がある。

家老岳のようだ。ここも登山道のない山。分け入っても分け入っても深い山。

 

 

ま、同じ道を戻る訳だからね。安心と云えば安心。退屈と云えば退屈。

 

 

鹿又岳が見えてきた。最初はこのピークも踏むつもりだったけど、廃道から三

たび籔に取りつく元気はもうなかったね。また別の機会に。雪山とか。

 

「一人行ってちょ」サル

 

 

一気に日留賀岳まで戻ってきた(恒例の赤丸内におサル)。塩原側から見える

凡庸なシルエットに比してなんと個性的なんと男性的なんだろうね。いい山だよ。

 

 

初日に大変な眼にあったおサル。ザックにぶら下げていたものを籔の中に落

としたんで全部中に仕舞うようだ。ストックも仕舞わないとね。山頂はすぐそこ

に見えているんだけど…。登山道の「あるなし」の違いを実感する山旅だった。

 

 

この辺りはササラダニ危険地帯。

 

 

おサルが見た、おサルしか知らない、おサルの世界。

 

 

この辺りまでは五葉松がうるさいのよね。更に石楠花地獄も待っている。

 

 

石楠花も花が咲いていないと、ほんと憎らしいよね。

 

 

残雪があればなあ…。

 

 

もう慣れたもんで、だいたい道も判るようになった。

 

 

なんて横着かまして高慢なこと云ってると、すぐにルートロス(笑)。最後の最

後で完全に道を見失った。3m先に山頂の祠が見えているので、戻るのも癪

だし強引に脱出!

 

「ひつぞう、袖破けちゃってるよ!」サル

 

ま、いいです。このファイントラックのベースレイヤー6年も着たし。

つうことで、降りで3時間要した区間も、帰路は登りにも関わらず2時間半。

山慣れたハイカーであれば、この区間は

 

降り=1.5時間

登り=2.0時間

 

もあればパスできると思います。

 

 

二度目の日留賀岳山頂は誰もいない寂峰の雰囲気が満ちていたね。

 

 

天気もまずまず。午後は再び高曇りの予報だけど。南側に高原山。向かって

右奥に女峰山男体山

 

 

そこから更に右にパンして右手前に双耳峰の荒海山。右の奥には今でも雪を

被った会津駒ケ岳から丸山岳に連なる峰々の姿。

 

 

さて下山するかね。開始後まもなくソロの男性とスライド。都合三名と擦れ

違った。

 

 

途中、行者ニンニクの若芽が可愛く整列していた。早く大きくなれよ。

 

「喰ってやるから」サル

 

ほんと、おサルって山菜好きだよね…(汗)。

あとは同じ道をひたすら戻った。天気は最後までもってくれた。

 

 

小山さんのお宅が見えた。もう安心だ。片づけていると、作業の手を休めた小

山さんがやってきて笑顔で下山の無事を祝ってくれた。暫く山談義をしたあと

新鮮な蕪を分けて頂いた。そのままサラダにしても旨いよ、ってことを栃木弁

で説明してくれたけど、あいにく、栃木弁はU字工事しか参考書がないので、

旨く表記できない(笑)。

 

 

小山さんのお宅の裏庭には綺麗なアツモリソウが見頃を迎えていて、地元の

方が鑑賞にきていた。他県(それも遠方の)ナンバーの車が珍しいようで「わ

ざわざ日留賀岳に登りにきたのか?」とやはり栃木弁で訊かれた。その表情

には、おらが山への自虐的な気持ちは微塵もなく(全国的には無名であって

も)地元の誇りの山に登りに来てくれた者に寄せる情のようなものが溢れて

いたように思う。

 

別れを告げようとした小山さんが再び寄ってきて、「これよかったら」と、収穫

した栽培物のウルイと行者ニンニクを一束くださった。駐車させて頂いたうえ

に野菜まで頂けるとは…。

 

登山そのものに加えて栃木の山人とのふれあいに心を潤ませた山旅だった。

 

終わり)

 

【行動時間】 (1日目)11時間 (2日目)7時間20分

 

 

いつもご訪問ありがとうございます。