ぐるめ探訪「鳥かど」で予約がとれない焼き鳥屋の味を試す(東京都) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

サルヒツのぐるめ探訪♪【第35回】

鳥かど

 

カテゴリ:焼き鳥

訪問日:2018年2月14日

所在地:東京都目黒区目黒2-8-7鈴木ビルB1F

営業時間:18時~24時(入店23時まで)

■JR目黒駅西口から権之助坂を山手通り方面に徒歩7分

 

≪芸術品に到達した焼き鳥を見つめてみよう≫

 

こんばんは。ひつぞうです。予約が取れない焼き鳥の名店「鳥かど」を訪

ねてきました。これまた絶望的に予約が取れないミシュラン一つ星の

「鳥しき」の二号店として、10周年記念の1月9日に同じ目黒に開店した

そうです。つまり暖簾分けですね。そして既に本店に劣らぬ人気だとか。

 

毎月15日の14時から向こう1箇月の予約を電話で受け付けるシステム。

これは主婦であるおサルのお仕事。行きたいと最初に言ったのもおサル

だしね!

 

「ガンバルだよ!」サル

 

しかし、初回は1時間以上掛けても繋がらず、あえなく撃沈(笑)。

 

「しょぼぼぼり~ん…」サル

 

そして、二度目のチャレンジ。二時間かけ続けて奇蹟的に繋がった!

初台のフレンチ「キノシタ」が大ブームとなった15年前を思い出すよ。

半年先の予約を取るのに1時間以上電話かけっぱなしだったもんね。

 

「ラ・ベットラとか、シェ・イノとかね。レストラン巡りしたのー」サル

 

★ ★ ★

 

目黒駅からテケテケ権之助坂を下って目黒新橋を渡る。その角に店はある

筈なんだけどね。ないね。

 

すると学習完璧なおサルが雑居ビルの地階に降りていく。え~こんな場所

にあるの?

 

 

暖簾も何もないけど…。

 

 

すると…!あっ「鳥かど」って書いてある。まさに隠れ家…。予約は18時30分。

ドアを開けると暖簾の先に黒漆喰で統一された広い空間が一つ。調理場を

コの字に囲むように18人分のカウンター席が並ぶ(4人掛けの個室が二つあ

るらしいが判らない)。既に香港からの客が来て一眼レフでバンバン写真撮

っている。インスタ狙いか。僕らとほぼ同時に入店した客も広東系だった。

ま、ちょうど春節だからね。でもどうやって予約したんだろう。代理店?

 

 

まずはお通しから。お新香の盛り合わせ。このお店は全てお任せで、ストップ

がかかるまでどんどん出てくる。ストップしても二品は焼いているので、もうお

腹いっぱいだなあと思う前に、スタッフにその旨伝えよう。

 

 

「サビ」というらしい。半生のささ身に本ワサビを載せて頂く。「鳥かど」の命は

絶妙な火加減。人肌近い温もりの残るささ身の、甘い肉汁が口いっぱいに

広がる。だからホントは写真なんか撮ってないで焼き立てを素早く頂くべき

なのだ。

 

「そーなのだ!」サル

 

 

「かしわ」。つまり腿肉ですな。焼き手は「鳥しき」のオーナー池川義輝氏に

仕込まれた若き焼き手・小野田幸平氏ただ一人。それ以外のなに人も厨房

に触れることは許されないのだ。

 

具材が大きいのが特徴で、よくもまあ、こんな大きな具に均等な火加減を

与えて、表面カリカリ中ジューシーに仕上げるものだ。時折、金槌で備長炭

を叩き割る。その金属的な響きが、禁欲的な墨色の空間に小気味好い。

 

「全然禁欲してないじゃん」サル

 

君もね…。よだれ出てるよ。

 

 

お酒のセレクトも一流。いちいち銘柄を訊くなんてのは無粋もいいとこ。

旨い焼き鳥には雑味のない辛口の冷や酒がよく合う。超辛口吟醸の佐久

の酒「澤の花 ささら」(伴野酒造)が今夜のお相手。一口啜ってみる。

 

美味い。いうことない。

 

絶妙に鳥の贅沢な脂をさらりと流し、邪魔せず、肉の旨みを引き立てる。

さすがはシニアソムリエ・プロデュース。ワインも期待できそう。

 

 

焼き鳥店というよりも割烹か寿司屋のような雰囲気。弟子が若き師匠の技を

盗もうと、僅かな賄いの合間に視線を泳がせているのが判るね。

 

「ひつぞうの視線の方が怖いよ」サル

 

とにかく一品でてくると、次が焼きあがるまで大変な手間暇がかかるため、

ずっとお預けを喰らうことになるのだ。

 

 

背中に挿した大団扇で空気をいれて、焼き加減を調節する。強力バキュー

ムで煙を排出するのでカウンターは煙くない。

 

 

「首皮」っすね。「皮」こそが一番焼き手の技量が現れると思っているので心

していただいた。鶏皮特有の嫌な匂いが全然しない。表面はカリカリで中は

ふんわり系である。野毛の「伸喜」のトロトロ系ではないし、福岡の「かわ

屋」のようなカリカリ系でもない。王道の焼き加減である。

 

 

「温かいポテトサラダ」

ときおり焼き物以外の小皿が加わる。ただの焼き鳥店で終わらないのだ。

 

 

「砂ぎも」すね。言わなくても判るね。銀杏とかしし唐とか判りやすい写真

は割愛する。もう写真だらけになるので。いつもの事だけど。

 

 

「ウズラ串」は是非賞味頂きたい。当然塩オンリーで。見てのとおり

半熟なのである。芸が細かい…♪

 

 

「つくね」すね。おサル、お腹が一杯になってきたそうだ。ヤバいぞ。

まだ全然ゴールに近づいていないのに…。

 

 

次はワインを頼んだ。まだ骨折が完治していないので禁酒の身だが、ここ

まで来て、そんな堅気のような詰まらないことを言ってはいけない。僕は白

おサルは赤のグラスワインを頼んだ。赤はよくある第三国のカベルネだっ

たが、この白ワインをご覧あれ。甲州ワインとは思えないような味とキレ。

上品なアルザスワインのようなキリっと引き締まった辛口の白だった。

 

 

「茶碗蒸し」ですな。

 

 

きたきた。「ぼんじり」。関西の焼き鳥屋に行ったら、首皮とぼんじりは欠かせない。

 

 

「よだれどり」っていうらしい。鴨の冷製ですかね。大概お腹いっぱいだが

まだあれを食べていないのだ。

 

 

そうこれ。レバー(血肝)。食べてみる。かなり生っぽいぞ。肝苦手なおサル

は手を引っ込めたんで二本頂戴した。これで僕の右手の結合組織は万全

だな。

 

 

「ノドブエ」かな。最後まではいけそうにないので、ここでストップをかけた。

 

 

ストップをかけた辺りから、異様に次の一品が遅くなった。しかも厚揚げも

砕けてしまっているし。ちょっと焼き師の集中力が低下していると感じたの

は僕だけだろうか。

 

「仕方ないよ。入店して2時間半が過ぎているけど、一回もトイレにも行って

ないんだよ」サル

 

或る意味凄すぎる…。

 

「頻尿のひつぞうには考えられないにゃ!」サル

 

 

ナンコツで焼き物は終了となった。結局大物の手羽先や丸ハツ、つなぎを

喰い損なった(泣)。

 

 

仕上げに「親子丼」か「うどん」を選ぶことができる。僕は迷わず親子丼だ。

これがまた、職人技の一品で手が込んでいるので、なかなか出てこない

(笑)。30分くらい待ったんじゃないかな。予約を取るのも一筋縄ではいかず

入店してもお預けを食うこと暫し。しかし、一度は訪れる価値のある名店だ。

 

拘りぬいた食材と、下処理、そして焼き加減。

 

これだけの職人技を眼の前にして、旨い肉と旨い酒を愉しめる。日本人に

生まれてほんとに好かった。あ、外国人比率も高いけどね。

 

(終わり)

 

いつもご訪問ありがとうございます。