冬期縦走/位山~川上岳(登山アーカイブ③) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

位山(1,529m)/川上岳(1,626m) 岐阜県

 

日程:2014年2月22日

天候:快晴

行程:モンデウス駐車場5:37→6:17リフトトップ→8:15位山8:30→10:10(1444m)ピーク→12:17川上岳12:30→15:30位山→16:30リフトトップ→16:54モンデウス駐車場

■駐車場あり(モンデウススキー場)/トイレ(同左)/登山ポスト(不明)

※このレポートは4年前のものです。登山にあたっては最新情報を確認してください。

 

≪縦走路途上からの川上岳≫

 

こんばんは。ひつぞうです。約ひと月ぶりに週末に外出しました。細かい動作は

難しいけれど運転もできるようになった。前々から予約していた温泉行だった

ので、不安もあったけど諦めなくてよかった。雪道の歩行は慎重に慎重を期して

だったけどね。一眼レフも操作できたし、あとはアイゼン装着とテント設営できる

握力の恢復だな。でもリアル登山は主治医の許可が降りるまで封印。昨日は八

ヶ岳と表銀座の山々が美しかったなあ。麓から眺めただけだけどね(温泉行は

現在編集中です)。

 

さて登山アーカイブの第三弾は「位山(くらいやま)~川上岳(かおれだけ)」

雪山縦走の記録。この二座、関東の皆さんにはなじみが薄いかも知れない。

位山は飛騨一宮水無神社の御神体で、巨石群が散在する神の山。イチイの原

生林で知られ、大和朝廷の時代から帝の笏の材料に献上されたという伝説が

あって、現在でも即位の礼に際しては献上品という謂われ深き山なんだ。登

山口まではモンデウススキー場を通過する。スキー場の名前も「モン=山」

「デウス=神」からきている。積雪期はリフト券を買ってゲレンデトップに向か

い、なだらかな雪原歩きで山頂を目指す。殆ど斜度がないので、スノーシュー

ハイクには最高だ。下山の際はゲレンデ脇を通過するしかない(要確認)。

 

実は冬の位山は前のシーズンの1月に挑戦している。ところがゲレンデトップ

から登山道に踏み込んだ瞬間、胸までズボッてしまい、たったの二歩で敗退と

いう情けない結果に終わった。そのためリベンジは(レベルを上げて)川上岳

まで縦走して同じ道を戻ることにした。往復約20km。行動時間11.5時間。日

帰りなので単独行。この頃は日帰りロングコースに取り憑つかれていたんだ。

 

【位山~川上岳のコース】

 

★ ★ ★

 

2013年1月の敗退は雪質を知らな過ぎたことが原因だった。翌年一箇月ず

らしてモンデウススキー場に向かった。漆黒の闇夜の中で独り準備を終えて

ゲレンデの端を登り始めた。起点から自分の足で登ることに拘っていたし、

何よりもスタッフに余計な説明をするのが嫌だったんだ。それに営業開始

を待っていたら日没前に下山できない。最初は遠慮してファミリーコースの

端っこを登っていたが、誰もいないのに遠慮するのもバカバカしくなり、上級

者コースのど真ん中を40分かけて登った。標高差250m。

 

 

さくら色の空の向こうに(左から)笠ヶ岳、槍ヶ岳、穂高連峰、そして乗鞍岳と

北アルプスが綺麗に見えていた。信州側から見慣れた順番と逆なんだよね。

 

 

ここここ。一年前に敗退した登山口。ほらトレースがある。大丈夫そうだ。

なんだ人気の山じゃん。

 

 

事前の情報収集で熊の出没が多いとあったので、ずっと独り言。

 

 

こうした巨石が幾つかあるんだ。これは「御手洗岩」。

 

 

「御神楽岩」かな。ま、なんてことない岩なんだけどね。

 

 

素晴らしい天気になった。

 

 

う~ん。読めない。他に「蔵立岩」とか「天の岩戸」とかあったな。

 

 

2時間足らずで位山山頂に近づいた。砂糖菓子のような素晴らしい光景が!

美しすぎる…。しばらく茫然となって佇んでしまった。

 

 

写真では旨く伝わらないなあ。まだ誰もいないので独り占め。

 

 

トレースは前日以前のものだね。

 

 

お~っ。奥になんか真っ白な形のいい山があるよ。ん?ひょっとしてあれが

川上岳(かおれだけ)?遠すぎないか…。行けるのほんとに。と暫し自問。

 

 

この日も白山最高(また別角度)。夏場はガスでなかなか姿を拝めない白山

も冬の晴れ間には女性的な美しさを満喫できる可能性が高いね。景色に見

惚れていたら、山頂がどこか判らなくなってしまった。GPSで確認すると、な

んと山頂にいることになっている。はて??足許を見ると「位山山頂」の標識

があった。

 

 

ほんとに山頂なの?

そこでトレースは終わっていた…。皆ここまででピストンで帰るようだ。一瞬

弱気の虫が顔を覗かせて、どうしようかと悩む。でも最初に決めたとおり、

川上岳を目指して出発した。暫く行くとキンピカの人工物出現。神の山にあや

かった施設のようだ。

 

 

ここから先は赤テープは殆どなかった。積雪期は誰も縦走しないようだな。

川上岳までは無雪期で片道2.5時間。計画では片道3.5時間を配分した。

 

 

尾根を降りてゆくと、遥か先にゴールが見えた。この日はスノーシューでバシバ

シ進んだ。とにかく休憩を取る余裕はなかった。極度の緊張でお腹も全然空か

ない。矢鱈と喉が渇く。幸い水は4リットル担いでいる。まずは稜線を大きく右に

迂回して、上の写真の白い峰を辿らなくちゃいけない。

 

 

これね。ここはクラストしてガリガリだったのを覚えている。都合10個以上の

小ピークをアップダウンする。稜線は多少複雑。でもこの季節は見通しが効く

のでまあ大丈夫だ。一部完全なアイスバーンもあって緊張した。

 

 

完全ノートレース。

 

 

連続するアップダウンで疲労が溜まり、緊張のあまり吐き気がしてくる。

この頃の日帰りロング山行は常に嘔吐との闘いだったなあ。

 

 

更に近くなってきた。先行するのはウサギだけ。本当に目標の12時までに川上

岳に着くのかという不安で、気が狂いそうだったよ。全然辿りつかないもんね。

とにかく長いコースだった。殆ど休む間もなく、小走りだった。ずっと。

 

 

この登りを越えれば山頂だ。時刻は12時を回った。若干遅れ気味。

でも敗退はなさそうだ。もうヘトヘト。

 

 

山頂の先に鷲ヶ岳が見えている。

 

 

御嶽山は噴火する前のもの。噴煙はまだない。

 

 

遂に川上岳に到着した。見返すと鍋を裏返したような位山と、北アルプス

の白峰がずらりと並んでいた。これからまた同じ道を戻らねばならない。

 

 

意外にも川上岳山頂にはあまり積雪がなかった。風が強いのだろうね。天気が

好過ぎてスノーシューの裏にべっとり重い雪が団子になってしまい、脚が上が

らず苦労したよ。

 

 

往路でつけた自分の足跡がなんと心強かったことか。結局誰にも逢わなかった。

 

 

位山大きすぎ。天気の悪い日は道迷いがちょっと怖い山だよ。位山までは

往路とほぼ同じ時間がかかってしまった。そして位山山頂の(朝よりも一層

増えた)踏み跡を眼にしたとき、既に人の気配のある麓まで下山したような

奇妙な安堵を覚えたのを記憶している。まだまだ下山まで1.5時間かかると

いうのに。スキー客も殆どいなくなったゲレンデをのしのし降りて行った。疲

れていたけど物すごい充実感を得た山行だった。

 

(終わり)

 

【位山~川上岳の所要時間】 6時間30分+4時間20分

 

いつもご訪問ありがとうございます。