水車の湯治宿 霧積温泉(群馬県)  | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

さるひつの温泉めぐり♪【第32回】

霧積温泉 「金湯館」


訪問日:2017年6月17日~18日

所在地:群馬県安中市松井田町坂本1928

泉質:カルシウム硫酸塩温泉

泉温:40℃

味臭:淡い硫黄臭、ミネラル豊かな味

pH:?

■営業時間:(IN)15時~(OUT)11時


≪採光豊かな浴室、そして溢れる湯≫


こんばんは。ひつぞうです。
我が家のパソコンも7年目を迎え、
かなり奇妙な動作を見せるようになったので
壊れる前に買い換えることにしました。
そして予想したとおり、進化した機械についていけず
便利なはずのパソコンに弄ばれ、
週末丸一日神経衰弱に落ちいっていたのでした…。

では、霧積温泉投宿の記録へ!

★ ★ ★

霧積温泉「金湯館」は山あいの一軒宿。

事前情報では山小屋のような玄関と

昔ながらの湯治棟が並ぶ宿とあった。



そして二年前の初冬に近くを通過した折り

薪を燃やす好い匂いが周辺に漂っていたので

こころの内で山小屋のイメージが出来あがっていた。



玄関の前には霧積川の源流がせせらぎとなって流れている。

川底は花崗岩のナメになっていたね。


ちょっと早すぎたので、表でビールでも飲ませてもらおうと

案内を乞うたところ、「部屋の準備はできているのでどうぞ」と

快く受け容れてくれた。


若旦那は爽やかな好青年。

若女将はチャキチャキした気風のいい女性。

時折大女将も表にでて話をしてくれる。

家族経営のいい雰囲気。



い~ね~!

この雑然とした雰囲気がいい。

昭和三十年代の匂いがする。

湯治で連泊しているお客さん以外まだいない。



日本でも指折りの泉質を誇るそうだ。
特に胃腸病に効果があるという。
ひつぞうも最近ストレスで胃弱なんでちょうどよかったよ。

「単に飲みすぎ、食べすぎなだけなんじゃね?」サル

★ ★ ★

明治17年の創業というから歴史は古い。

当時は別荘と湯治宿を合わせて40以上も

軒を連ねていたそうだ。


ところが明治43年に発生した山津波で金湯館を

残してすべて崩壊してしまった(公式HPより)。


殷賑を極めた当時の様子は、尾根を越えた軽井沢と

よく似ていたのではないだろうか。


皮肉なことだが、おかげで静かな秘湯の宿として

金湯館は歴史を積み重ねることができた。


靴を脱いでお邪魔したら、奥から
わんこが走り出てきた。

ジャックラッセルテリア(♂)のリッチ君だ。
綺麗な毛並みだなあ。
でもちょっぴり恥ずかしがり屋のようだね。
絶対おサルと眼を合わせない(笑)。


建物は旧館と新館に別れている。

宿泊料金は旧館9,800円に対して新館は12,000円。


ま、世間的に綺麗な新館が好まれるのは理解できるけれど

歴史のある旧館好みのサルヒツジとしては望むところ!



旧館は幾つも部屋があるけど、ほとんど利用されていないようだ。
僕らが泊まった「旧館1号室」は、伊藤博文たち明治の元勲が
大日本帝国憲法草案を作成した由緒正しい部屋なのだった!



旧館の天井の梁は、この部屋だけ残してあるそうな。



お布団は最初から敷かれている。

実際は独立した部屋なんだけど贅沢にも二間ぶち抜き。

山間なので衛星放送しか入らないけど

テレビも観ることができる。


では早速、汗を流しに行くとしましょう!


宿泊棟は母屋の二階部分の旧館と、奥の新館が繋がっている。
外の廊下を新館のお客さんが頻繁に通過すので
プライバシーに敏感な人には向かないかもね。
(うち?うちは全然平気。大声で馬鹿話や下品な話で大盛り上がり♪)


再びリッチにチョッカイを出すおサル。

まったく相手にされていない。

すでに飽きてしまったようだな。

しかし、後からペンキで描いたような丸い模様が不思議。



浴室は一階の一番奥にあります。



おサルとはここから別行動。



温泉といえば、たいてい女湯のほうが好条件なんだけど

ここは男湯の方が圧倒的に広くて採光もいい。


写真はUPしていないけど、女湯は狭く、高窓しかないようだ。


「ひっど~い!」サル


でも泉質はいいよ!


「じゃ許しゅ」サル



なんでも登山の基地として発展した宿ということで

往時男性客が圧倒的に多かったためらしい。



脱衣場には子供用だろうか、浮き袋があった。

これでオッサンがきゃっきゃと湯船で戯れていたら

相当不気味である。



ほら雰囲気いいでしょ?

当然蛇口からも温泉が出ている。

HPには「ドライヤーは持参で」と書いてあったけれど

ちゃんとありました。



ここのお湯も飲泉できる。

時間が早いので誰もいない。



ここにマグが置いてある。

さっそく飲んでみた。


うまい!


アルカリ泉特有の、ミネラル感たっぷりの円やかな味。

番茶の味とでもいおうか。

いや、なんか違うな。

味覚の描写は下手糞なので許して(笑)。


結局三杯飲んでしまった。



源泉掛け流しなのは言うまでもない。

そして、更に…


これ、判りますか?
無数の細かな気泡が揺らいでいる。

ここはミョウバン重炭酸泉でもあったのだ。
ということは疲労回復にも抜群の効能があるということだ!

脛毛に密集する泡を擦ると、泡の塊りが沸き上がる。
面白いので皆さんにもお見せしたいが
さすがに品格を疑われるのでやめた。

是非、一度往訪してご検分頂きたい。


とまあ、一時間くらい這入っていただろうか。

(40℃なのでいつまでも這入っていられる)


ここは内風呂ひとつだけなので、あれこれ

お試ししなくてはならないという強迫観念に

駆られなくていい。


与謝野晶子、勝海舟も訪れた鄙びた名湯である。

そのため至る処に歌碑がある。



さて、体も綺麗になったし、お腹も好いたので

昼食を所望することにした。

蕎麦やうどんならできるという。



麦酒をちびちびやりながら、温かいうどんを食らうことにした。


このボリュームを見よ。

すごい量である。

果たして夕食を食べることができるのだろうか。



森村誠一の『人間の証明』は未読。
角川ミステリに偏見があって、この類は全く読んでいない。

ただ、森村さんの禁欲的な執筆スタイルと
その人生の変転を知るに及んで
今度読んでみようと思った。

あの「母さん、僕のあの帽子、どうしたんでしょうね」
という科白が、西条八十の詩だと知ったのは
ずいぶん後の事だったけど。

物語が生まれる場所には、とっておきのエピソードがある。



ま、そんな無駄口をひねもす口走っていたのだけど
全然腹がこなれる様子がない。

これはまずい。

仕方ないので部屋で冷酒を飲むことにした。

そう、酒ならなんぼでも飲めるというだけのこと。
まったく解決策になっていない。

★ ★ ★


夕食になった。

食膳は各部屋に運んでくれる。

上げ膳据え膳とはこのことだ。

今日くらいはお大名の生活を満喫しようや。


「ひつぞう。時々そういう変に横柄な口利くよにゃ」サル


食事は田舎料理。
ご飯もお櫃に大量に入っている…。

【本日の献立】

鮎の塩焼き
天婦羅の盛り合わせ
山菜のおひたし
(上州らしく)刺身コンニャク
獅子肉の味噌汁


特に天婦羅は感動もの。

カエデや、その他そのへんに自生していると思われる

樹木の青葉が揚げてあるのだ。

予想に反してその味はまるでスナック菓子。



このお椀の巨大さ。

うまく表現できなかったけど。



地酒「大盃」の冷酒「霧積」。

味がしっかりしているわりに切れもいい。
二合瓶を二本頂戴した。

投宿以降、すでにビール、酎ハイと
部屋付けにして飲みまくっている。

大丈夫か。うちの健康診断。いや、家計簿。

ということで、おサルは食い疲れてそのまま炬燵で
寝入ってしまい、こたつむりになった。

夜半に男湯に忍び込んで、広い湯船ではしゃぐという
野望は儚く潰えさったのだった。

★ ★ ★

翌朝

早めに朝風呂にいった。
この週末は宿泊客でいっぱいだというのに
男湯は常に誰もいない。

皆なにをしているのだろう。

それに反して、女湯は狭いと言いつつも
大盛況のようで、常に話し声が伝わってくる。


朝食も斯くのごとし。
全般的に味つけが甘い。
これは山奥の宿ではよく体験する。

11時まで滞在できるので、もう寝転がったり、
朝からビール飲んだり、
命の洗濯をし尽くした。

その前の週も同じこと言ってなかったかって?

それだけ平日は死ぬ思いで、
鞭打たれるロバの如く労働しているのよ。判る?おサル?

「しかし痩せんのう」サル

ま、こういう生活していれば痩せんね。
あとは夏山に賭けるしかないね。


宿を後にするのに先立ち、しつこくしつこく
リッチ君の気持ちを惹こうとする。
だが、さすがのおサルもダメみたいですね。

若女将曰く「私の言うことも無視するんですよ」(笑)

若旦那が一番好きらしい。

そういう意味では猟犬の血をきちんと引いている。


★ ★ ★


登山口までマイクロバスの送迎がある。

帰路は9時、10時、11時の三便。

なので「山道はいやよ」という方でも問題ない。


といいつつ、僕らはいつも通り歩いて帰ることに。

(登山口まで20分だった)



翌朝は霧で稜線が見えなかった。
「霧積」という名はそこから付いたと言われている。

素晴らしい滋味溢れる宿だった。

日帰り湯も可能だが、是非とも投宿頂いて
湯治湯治三昧してはいかがでしょう。

★ ★ ★


帰りに横川駅名物の、おぎのや「峠の釜めし」を買って帰った(1000円)。
信越本線での販売ができなくなっても、こうして商売繁盛しているのは
創業家の商魂によるものだと、どこかで読んだ。



味つけはやっぱり甘かった(笑)。

栗と杏子が這入っているくらいだからね。


(おわり)


新しいPCに慣れることができないでいる。

いつもご訪問ありがとうございます。