身延山地(富士見山~御殿山)① | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

富士見山(1,640m)/御殿山(1,670m) 山梨県


日程:2017年6月4日

天候:晴ときどき曇

行程:平須6:15→8:52平須下降点→9:04展望台9:21→9:41富士見山(三角点)9:48→10:15堂平下降点→11:12御殿山(三角点)→11:16御殿山(山頂)12:03→12:48堂平下降点→14:06堂平→14:16平須

■トイレなし(堂平登山口にあり)/登山届(堂平登山口に台帳あり)/駐車場10台可能(平須のみ)


≪和紙の里からの富士見山≫




こんばんは。ひつぞうです。
この週末もとても素晴らしい天気でしたね。

土曜日は都内散歩を予定していたので
翌日日帰りで行ける山に出かけました。
 向かったのは身延山地の富士見山です。

“富士見の山”と言えば、毛無山、金時山に黒岳と数えるほどありますが
「富士見山」と聞いて「ああ、あれね」と反応するあなたは
山梨県民か僕のようなマニアでしょう(笑)。

以降は山行記録で!

【今回のルート】


★  ★  ★

最初に訪れた身延の山は七面山だった。
厳かな佇まいの霊山は、冬の冷気がぴんと張り詰めていた。
ようやく視界が開けて、まず飛び込んできたのが
早川を挟んで対峙する、座礁した大型船のような富士見山だった。

早くも「いずれあそこには登らねばならない」という意欲を
掻きたてられたのを覚えている。


富士見山には平須と堂平の二つの登山道が拓かれている。
調べてみると、整備は行き届いているようで、どちらから登っても
たいした危険箇所もなく、眺望も大差なさそうだ。

駐車場に近い平須側が魅力的に映った。
ただ周回しても5時間もあれば山歩きは終わりそう。
記録を読むと付属峰のような御殿山なるピークがある。
少し稜線歩きの距離がありそうだが、日帰り装備ならいけるだろう。


陽が昇るのが早くなった。僕ら以外誰もいない。

ちなみにここまでのアクセスをご紹介。
国道52号を甲府方面からくだる。身延町役場の手前の信号を右折。
4kmほど走り「青少年自然の里」に向かう道を左折。
車一台程度の急な坂を登る。
すると(信じられないことに)こんな高所に大きな集落が出現する。
意外と言っては失礼だが、身延の山裾にはこうした集落が
残っている。今でも紙漉きなどで生活されているのだろうか。


登り始めてすぐに生き物の気配。
眼を凝らすとホンドリスのつがいだろうか
針葉樹の大木を駆けずり回っていた。


2004年の合併によってその名を失った中富町設立による道標。
すでに文字は読めない。文字は読めないが
町興しの期待を山にかけた設置者がいたことを語りかけてくる。

健在か否か近況の知れぬ設置者に礼の言葉を心中で呟きつつ
歩き続ける。


想像どおり、出だしは杉檜の植林帯。
ただ道は思ったよりもずっと緩い。
そして丁寧にジグが切られている。


消えた道標に替わり、懇切丁寧な案内板が
100mくらいのピッチで設置されていた。

「これなら道迷いもなさそうだにゃ!」サル

ほんとかな。君の場合はどんな境遇でも危ういと思うけど(笑)。

「どーして!」サル

だってナビ壊れているもん。


随所で見かけた幣串のようなもの。
この地域の民間信仰なのだろうか。
精霊を呼ぶ儀式の跡だろうか。


一輪だけすっと茎を伸ばしたキンランの蕾。
草木が繁る前に一足早く成長する。

このすぐ上に二つ目の崩落した作業小屋があり
塩ビ管製の背丈の低い鳥居が設置されていた。

道が等高線なりに逸れていく。なんとなく道が薄いなあ。
先を歩くおサルは全く意に介していない。


実はそれは獣道だった。正解は常に尾根通し。
この山は部分的に広尾根があるので注意されたし。


また杉林に戻った。
綺麗に枝打ちされている。林業は続いているようだ。


フタリシズカの群落が続く。


「いつまで続くの?この地味地味な道ぃ?」サル

とぼやくおサルを見透かしたかのように原生林に変化した。


更に進むと、この山唯一の危険箇所。


ザレたトラバースが断続する。


ここが一番やらしかったな。
うまく伝わらないけれど(笑)。
でもFIXロープあるしね。


全然怖くないです。


何度も「折り返しては進む」の繰り返し。
でも太陽も顔を出していい感じになったよ。
(それまでは、晴れてはいるが、僕らの周辺だけ曇っていた)


ミネカエデ、ブナ、カツラ、ミズナラ。
素晴らしい新緑だった。


これは紅葉の季節も最高だろう。


富士見山は新緑と紅葉の季節が一番のような気がする。
にも関わらず、ほとんど見向きされていない。
静かな山を好む僕としてはウェルカムだけど
好い山なのに等閑にされているみたいでちょっと淋しい。


大薙が山頂方向に見え始めると稜線は近い。


ポンと稜線に乗り上げた。
ただ、ここはまだ縦走路ではない。


50mほど左に進むと縦走路のT字分岐に着いた。
指導標には困らない(笑)。


向かって右手には白根南嶺と、その奥に荒川岳から北岳に続く
銀嶺が続いている。
残念ながら樹林に阻まれ、綺麗な写真が撮れず。
でもいいのだ。
北岳もまもなく登ることができる。
その気になれば白根南嶺はすぐにも登れる。

ちょっとしたアップダウンを越えると
急に視界が開けて、小さな朱色の鳥居と
見慣れた串団子型の山名標識が見えてきた。


事前情報がないと山頂に着いたと錯覚してしまうが
ここは展望台。富士山を拝むには絶好のポイント。


う~ん。毛無山の野郎。ガス被りやがって!
この時期の毛無山は平地が晴予報でも大抵こうなってしまう。
富士山そのものは被っていないのに!
まあいい。富士山はもう何度も様々な場所と角度で鑑賞しているし
登頂もしている。

静かな場所で遥かな明眸を鑑賞しつつ
一本目のビールを開けた。


(つづく)


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