十枚山(栂尾根) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

十枚山(1,726m)/天津山(1,732m) 山梨県・静岡県


日程:2017年2月4日

天候:快晴

行程:登山口7:25→8:16上の段→9:11岩小屋9:20→9:40十枚峠→10:06十枚山10:25→11:11天津山11:55→13:28登山口

■登山ポストなし/トイレなし/駐車スペース(8台程度)


≪十枚山より下十枚山(天津山)を臨む≫



こんにちは!
帰ってきたおサルから、早速小言を連射されるひつぞうです。

ひさしぶりにピキ登山に行ってきました。
去年の山行記録を見たら、同じ週に安倍奥縦走に行ってました。
大谷嶺からみた十枚山が格好よかったなあ。
ということで十枚山日帰りツアーの記録です。

★  ★  ★

【今回のルート】



十枚山。最初に惹かれたのはその名前。
赤石山脈に千枚岳があるように
その稜線の昇降に由来するようだ。

静岡市内に端を発する賤機(しずはた)山から
延々と稜線歩きをしたいところ。
実現するには最低でも四日はかかる。
宮使えの身にそんな時間はないと謗られそうだ。

悩める貴兄にも方法はある。
静岡(梅ヶ島)側と山梨(成島)側から
アプローチできるのだ。

遠回りしたいくないし
去年梅ヶ島からはアクセスしている。
そんな単純な理由だけで成島から登ることにした。



問題はアクセス林道の状況。
探りを入れると崩壊・通行止めの情報は出てこない。
いけそうだ。

新東名「新清水IC」をおりて国道52号線を北上。
「柳島」の信号で左折する。
十枚荘温泉までは悩むことなく辿りつける。
我が家のナビはボンクラなので、ちょっと細い道になると標示しない。
あとは野生の感頼み。

温泉近辺を過ぎると上の写真(下山時撮影)の箇所に出る。
ちょっと判りづらいが小さな板に「十枚山」の標示。
道はどんどん細くなり荒れ始める。



砂防ダムを過ぎて西俣川が更に分岐するあたりでこの場所に出る。
どう考えても左側の道だけど「通行止め」の標示…。
まだ薄暗かったし、独りなので物凄く心細くなった。

仔細に検分すると看板にマジックで
「十枚山までは通行可能」と書いてあった。
今後は皆様のために僕もマジックを持参しよう。



陽が差し始めて山が真っ赤に染まった。
角度的には十枚山ではないけど。
これでかなり心に余裕が出てきた。

道そのものは悪くないが、落石と枯れ枝が散乱し
ところどころ氷結しているので気が抜けない。
更になかなか「登山口」が現れない。
ナビでは山の中を夢中で走っていることになっている。
まったく頼りにならない…。

仮におサルがいても頼りにならないが
なんとなく不安は解消されるのが不思議。
その相棒も今日はいない。


「もうマジで不安なんだけど!」と独り言を言ったタイミングで
計ったかのようなこの標示。
どこのどなたか判りませんがありがとうございます。


ようやく着いた。当然誰もいない。
車の轍がついているところを見ると入山者はいるようだ。
たぶん平日含めて1週間に2~3人くらいかな。

※残雪はほとんどないけどアイスバーン箇所複数あり。
四駆+スタッドレスが賢明かと。

柳島交差点からここまで30分もかかってしまった。
独りなのでちゃちゃっと準備して出発。

栂尾根は急登から始まる。
稜線に乗ると最初の平地「下の段」。
この日は春先の陽気になるとの予報。
たしかに暑い。毛糸の帽子とネックゲイターを外した。


延々尾根を直登するコースなので
ひょっとしたらあんまり面白くない展開かもなぁ。
平地ごとに「中の段」「上の段」「奥の段」と続く。
静岡の山はこの「…段」の表現が多い。


中の段の近くで自然林に変わった。
安倍奥東の稜線が枝越しに見えるようになった。
この辺りから残雪が増えてきた。


十枚山?じゃないよね。
熊が怖いのでずっと独り言。
ま、おサルがいる時も一人で喋っているようなものだから
いつもと変わらないけど。


ここが「上の段」。
まあまあのペースで上がってきた。


人工物があるとホッとする。ただ道迷いするような場所はない。


森が開けて雪山らしくなってきた。
空も青いし少しテンションも上がる。


間もなく「岩小屋」というあたり。
道が判りにくいけど赤テープはふんだんにある。


「岩小屋」についた。
てっきり造林小屋の跡でもあるのかと思っていたが洞だった。
「山と高原地図」には「岩小屋~十枚峠間凍結時注意」とある。
ここに至る前にスパイクギアは着けるべきだった。
ちょっと怖かった。
チェーンスパイクを装着し、テルモスのコーヒーで
嫌な喉の渇きを癒した。


岩小屋までは直登だったが、この先は峠までトラバース道。
こういう嫌なバンドがある。
伝わりにくいけど切れ落ちている。
ピッケルは使わなかったが、あるんだったら
使ったほうが安全だ。


延々巻き道。


まもなく峠。


いよいよ峠。


登り詰めると、なんとも立派な道が。


安倍奥の西稜線と、その向こうには大無間山が。
更に更にその奥に年末に登った黒法師三山や丸盆の
トンガリピークたちが。


初めて判ったのだが、梅ヶ島側の「沢コース」は
崩壊していて通行止めになっていた。
よかったよ。甲斐側から登って…。


南アルプス前衛の山々を眺めながら
緩やかな道を暖かい春のような陽光を浴びながら
十枚山を目指す。

こんな素晴らしい天気なのに誰もいない。
独り占めするなんて勿体ない。


なんだろう。あの鷲が羽を広げたような山。
おそらく蕎麦粒山だと思うけど。


黒法師をズームしてみた。
一番左は前黒法師岳だろう。真ん中が黒法師岳かな。
その右が丸盆岳?
右端が大無間山なのは間違いない。


あ~もう帰りたくないなあ。
でも明日は悪天候だし、シュラフないし
おサルも帰ってくるし。家にいないと何言われるか知れたものではない。


らくちんなコースだった。
岩小屋の辺りから十枚山山頂に白いウェアを着た人がいるように見えた。
何度見ても微動だにしないので錯覚だとわかったが
その正体はこの残雪だった…。


着いた!十枚山山頂!

予想以上に広い!独占状態…。
誰が来ないかなあ。

結局…誰もこなかった。
反対の稜線の盟主・山伏は絶対ハイカーで溢れている。
抜群の眺望なのになんとなく不遇の山が侘しく思えた。


安倍川が駿河湾に流れていく。
先には賤機山も小さく見える。


じっとしていてもつまんないので
服部文祥先生に扮して撮影してみた。
なかなか形態模写は難しい。


こっちは静岡側の標識。
今回は甲斐側から登ったので、「山梨百名山」に敬意を表して撮ったが
この丸太の輪切りも好きだ。

実はいろいろな人物に扮して、様々な角度で
あっちにいったりこっちにいったりして
写真を撮って遊んでいたら、あっという間に時間が過ぎてしまった。

あまりにバカらしいのでUPしないが、誰かに見られたとしても
眼をあわさないでそそくさとこの場を後にしたかもしれない。
おっさんの児戯ほど不気味なものはない。


あの下十枚山(天津山ともいう)にこれから行かないといけないのだ。
実は十枚山は双耳峰ということになっている。
下十枚山のほうが若干だが標高が高い。
両方登らないと「十枚山登山」として完結しないのだ。


忙しい。忙しい。
十枚山もかつては南アルプス主峰が見えたそうだが
ダケカンバが繁ってしまい、まったく見えなかった。
その点、天津山は最高の見晴らしらしい。


まだちょっとある。


北側斜面なので結構残雪はある。
そして寒い。


すぐに道が緩くなった。


お~~~!素晴らしい。

さっきまでいた十枚山越しに大谷嶺、その奥に笊ヶ岳。
更に奥に聖岳、赤石岳、荒川岳の銀嶺が見える。


実際はこんな感じ。左端の光岳から右端の北岳まで
南アの主脈全体が見えるのだ!
誰か来ないかなあ。悦びを独り占めできないタイプなのだ。


左にパンして、大無間さま。


更にパンして、蕎麦粒さま。


あることに気が付いた。
これは安倍奥核心部(山伏~大谷嶺)を撮影したもの。
なんと雪が少ないと騒いだ去年よりも更に少ないではないか。
少ないというより殆どない。
年末年始にあんだけ降ったのに、ここ数日の暖かさで
溶けたのかな。


空が碧いとなんで嬉しくなるんでしょうか。


ついた。三角点がぽつねん。


もう一度だけ服部先生に挑戦。やっぱり全然似てない。
(服部さんって、なんかこうレンズを覗き込むようにして
猫背や肩越しで撮るよね?)
その他、角幡バージョンなども撮影したが
まるっきり意図不明な写真ができてしまったので廃棄することにした。


樹間からちょっとだけ富士山が見えていた。
(基本的に天津山は輪をかけて眺望がなかった)


今日のランチは日清カップヌードル・カレー味。
こいつには嫌な思い出しか残っていない。
惨事は和名倉山でのソロテントで起きた(UP済)。
以来、登山でのカレーカップ麺がトラウマになった。

同じ轍を踏まないように、自撮などという愚かな小細工はしないことにした。
一時間休憩した。よくたった独りでこんだけ居れたと思う。
さて帰るとするか。


十枚峠に至るまで十枚山本峰が聳え続ける。
遠目には判らないが個性的な風貌ではないの。
好い山だ。

この先で単独の男性とようやくスライド。

その後、ピストンだし独りなので走るようにして下山。
あっという間に下の段を過ぎた。


林道が見えた。最初の急登がマジで急なのが判る。


無事下山した。この後の運転の方が憂鬱だった。
他に車がないところから山頂周辺で出逢った男性は
静岡側から登ってこられたのだろう。

ワカン、ピッケルは唯の重しだった。
ただ持参するならピッケルでストックの方が不要だと思う。
時刻はまだ13時30分。ちょっと悩んだがこのあと寄り道することにした。

(つづく)

【行動時間】 2時間30分+45分+1時間35分

いつもご訪問ありがとうございます。