狭山丘陵横断 | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうとおサル妻の山旅日記

ひつぞうです。
おサル妻との山旅を中心に日々の出来事を綴ってみます。

狭山丘陵(高根194m) 東京都・埼玉県


日程:2016年7月10日

天候:晴ときどき曇

行程:武蔵大和駅8:30→9:25郷土博物館9:30→10:05多摩湖→10:40狭山湖10:45→12:08縄竹橋→12:47六道山展望台13:20→13:37一等三角点→14:10JR箱根ヶ崎駅

アクセス:(往路)JR国分寺駅→西武武蔵大和駅 (復路)JR箱根ヶ崎駅→八王子駅 


≪橋上より多摩湖を望む≫


【今回のコース】 L=17.5km
 

関東平野に晴の予報。
ひょっとしたら周辺のお山も晴れるかも知れない。
でもこの時期はガスる可能性も大きい。その時の落胆を考えたら…。

こういう時のために密かに温めていた計画がある。

狭山丘陵ハイキング。

狭山丘陵はキノコ関係のブログによく登場する、ヒツゾウにはお馴染みの場所。
梅雨時であれば夏キノコ観察の絶好の機会。
観察の旅だから多少の曇空でも我慢できる。
運が好ければムラサキシメジなんか採れちゃうかもしれない。(とっちゃ駄目ですけど)

どうせ歩くなら狭山丘陵を縦横無尽に歩き尽くしたい。
おサルには「平坦な野山歩きだから」と説明しておく。
(決してウソではない)



ということで、東の端の西武「武蔵大和駅」に降り立った。
時刻8時30分。

無性に腹が減ったので、駅前のコンビニでオニギリを買い食いする。
ここは東村山市の隣町。

東村山といえば「東村山音頭」。
ドリフ世代のヒツゾウは今でも唄える。

♪東むらや~ま~、庭さ~きゃたまこ~
狭山さどころ情けがあつい。東村山三丁目♪

この「にわさきゃたまこ」が子供の頃よく判らなかった。
言わずと知れた「多摩湖」ですね。
(しかし「多摩湖」を「奥多摩湖」のことだと、つい最近まで信じて疑わなかったのは
ヒツゾウが九州の田舎者だからである)
そして「さどころ」が判らなかった。
言わずと知れた「茶処」ですね。
そう、狭山はお茶の名産地でもあった。

脱線しました。
つまり、それくらい口に馴染みながら、狭山という土地がどういう所であるのか
知ったのは極最近のことだと言いたいのでした。

「長いね、いつもながら」サルライダー



駅前から暫く住宅街を歩く。
久しぶりに完全浮きまくりのサルヒツジの二匹。

ハイキングだから、30Lのグレゴリーのデイパックでも良かったけど
この連日の暑さ。最低でも5時間は歩くので、水はしっかり持参しないといけない。
ビールやチュウハイも持っていけば、よりハッピーである。
であれば、クッカーやストーブも持参してちょっとしたツマミなんか作ったりして。

どんどん話が脱線して、普通の登山の装備かつ食糧となったのである。
多少加減するべきだったけど、来てしまったものはしょうがない。



円乗院というお寺の向かって左の脇道から這入っていく。
ちょっと判りづらい。

すると至近距離でかまびすしく啼く野鳥がいた。
(ヒツゾウは野鳥の写真が下手なのでピンボケ)
ガビチョウという外来指定生物だそうだ。
つまり人為的理由で日本に広まった困った生き物。



住宅街の中にこんな緑が残されているとは。


早速発見。カワリハツ。
毒はないが舌触りが悪く、苦いらしい。とても喰えた代物ではないね。
別に無理して喰う必要はないが。
これは緑色だが、茶色など色の変化があるのも特徴のひとつ。


だんだん藪っぽくなってきた。
油断するとやぶ蚊が大群で襲ってくる。
もうそれは大変な大群。

しかし、キノコ観察という至上命題のあるヒツゾウにとって
蚊に刺されるくらい屁みたいなもの。全く気にならない。
横でオサルが発狂しているけど。

ところが思ったほど観察できなかった。空梅雨が影響しているのだろう。
残念だけど一旦樹林帯から出よう。


森の中には概念図に記されている以外に、野道が縦横無尽に巡っているので
目的地に注意しよう。道標はしっかり整備されている。


笹薮の中に珍しいもの発見。
これはアシグロタケという、舞茸の遠い親戚。
出汁くらいは取れるというが食用には向かない。
引っくり返すと柄の部分が黒いので、こういう名前が付いている。


これで東大和公園は完了。
書き忘れたが、狭山丘陵は三つの飛び地のような公園と、
多摩湖と狭山湖の二つの人造湖を囲む広大な「野山北・六道山公園」からなっている。
ここからは再び住宅街を縫って、次なる森林公園を目指す。

住民が奇異な眼差しを向けるのは毎度のこと。
間もなく大和市郷土博物館に到着。ここで水分補給。
天気は最高だが、こう暑くては愉しむ余裕などないね。
飲用水が汲める水道が整備された公園もあるが全てではない。やはり自分で背負うべきだろう。


ここも判りにくかったが、散策路は博物館の敷地内から続いている。
一旦中に入れば階段状になっていて、そこから藪に繋がっていた。


このあたりの藪には貴重なヤマユリが沢山咲いていたそうだ。
だが、盗掘が続き、シーズン真っ只中なのに一株しか発見できなかった。
(なので写真は載せません。餌食にしたくないので)

自然に生えているから美しいものを、なぜ採ろうとするのか。
人間の強欲ほど浅ましいものはないです。ほんと。


なかなかキノコに御目にかかれないが、ついに希少種に出逢った。
その名も、キツネノハナガサ。

直径3.5cm程の小さな種類だけど、表面に黄色い燐粉のようなものが噴いていて
それはそれは美しい。成長すると、この傘が反り繰り返る。
博物館裏の市立狭山緑地の木道周辺に沢山生えていた。


迷路のように道が整備されているので迷わないように。
こういう場所らしくトレランのランナーが多い。


湿気が多いし、とにかく蚊がうるさい!
まだまだ木道の周遊路が続いているが、車道に逃げることにした。

狭山丘陵には沢山の周遊路が設けられていて、季節毎に様々な景色が楽しめるそうだ。
この事を知ったのは偶然古書店で『狭山丘陵見て歩き』(幹書房)という本を入手して。

この本はいい。懇切丁寧に編集されているので、
これから山歩きや、登山はちょっと…と思いつつ野辺歩きくらいはしてみたいという方に
格好のガイド本だと云える。(ネット購入か図書館でどうぞ)

しかし、いろいろ記録を見ても、丘陵全体を横断しながら、狭山湖側に北上し
再び六道山公園に南下するコースはあまり見かけない。なぜ?


連続アーチの人道橋「鹿島橋」を越えると、ようやく多摩湖だ。
本堤は車道になっていて、その一段下に歩行者専用路ができている。


続きだが、なぜこのルートか。
まず、キノコが一番ありそうな東大和公園は押さえたい。
その後、多摩湖南岸を①サイクルロード伝いか、②緑地帯の公園を縦横に繋いで歩くか。
この二つ(進路的にはほぼ一緒)が候補だったが、
狭山源流地帯にある縄竹橋と、景観のいい六道山展望台、そして、200mにも満たない
ながら一等三角点である「高根」は、やはりハイカーとしては押えておきたい。

その結果、一旦狭山湖北岸まで移動し、そして湿原地帯を縦断して
六道山公園、更には高根と繋ぐルートとなった訳。

「やっぱり長いよ説明が。ヒツゾウよ、ダレもキョウミないって」サルライダー

詳しいHPはココ→ http://www.sayamaparks.com/sayama/


多摩湖の景色は素晴らしかった。予想外(失礼!)。
だって、人工的な建造物は普通、山に這入れば醜く映ると相場が決まっているから。

奥には西武遊園。間近に西武ドーム(写真にはない)。



この堰堤周辺は花が多い。風に吹かれやすいせいだろうか。風媒花?
外来植物のワルナスビ。棘が痛いそうな。確かに。



オカトラノオ。



提体を渡ると、一旦、モノコード吊り橋の上に上がる。
さて、おサルはどこにいるでしょう!?

この先、暫くサイクルロード。ハイカーは大手を振って歩いてはいけませんよ。オサルコよ。


次なる狭山湖(山口貯水池)。
遥かに規模はこちらが大きい。

昭和9年完成のアースダム(土で築かれたダム)。
水源は多摩川から引かれているそうだが、一部(金堀沢など)丘陵内部からの湧水もあるという。

上の写真の親柱は1995年の耐震補強工事で掘り返された際に発見された
建設当初のもの(戦時中の工事で埋設されたらしい)。



天気最高!でもほら、奥多摩と秩父は雲が掛かっているよ!ヤッパリ!

「ひつぞう、見立てが当たって嬉しそうだニャ(単純ニャ)」サルライダー



ひとつ、言い忘れたが、先般駄目にしたSIRIOのハーフブーツの代わりを
おサルが誕生日プレゼントに買ってくれた!
その慣らしの旅を兼ねている。
なかなか歩きやすい。また懲りずにSIRIOにした。但し、モデルは違う。
研究に研究を重ねて選んだので、もしこれで駄目だったら、木型から起こして
特注するしかないね…(笑)。



ヤブカンゾウ。



狭山湖北端に達した途端、それまでたくさんいたジョガーや、サイクリングの皆様が
忽然といなくなった。
そして、いやらしい車道となり、砂利道となり、鬱蒼としてとても景色を愉しむような
コースではなくなった。
これで、ガイドに全くこのコースが組まれていないのが判った(ガ~ン)。

他の資料を見ると「トトロの里」とかなんとか書いてあるので
芝生の綺麗な丘陵地でもあるのかいなと期待したのが失敗だった。



藪ミョウガ。たくさん咲いていた。今が見頃らしい。


それでも時折ジョガーとは離合する。
お互い物好きだと、感想を擁きあっているはずだが、物好きさ加減はこっちが一枚上手だ。
「ぜんぜん、自慢にならん!」ハムハムムキィ


ある意味、この北岸の砂利道が今回の核心だったか。
バリケードを潜って、ようやく水源地に降りる。
本当の水源は現在侵入できないそうな。
でもこうして多摩水道の豊かな水の流れを見ていると心が和まない?
ダレもいないし。

「そりゃ、誰もおらんでしょうよ」さる



狭山丘陵は野の花が豊富らしい。
今回はキノコを優先したせいで、花の季節とはちょっとずれてしまったかもしれない。


縄竹橋に到着。
ここが狭山湖の最奥部。かつて、縄竹村の集落があって、周囲には水田もあったそうな。
その集落が集団移転した先が入間市にあるそうで、「縄竹」の地区名が残っているそうだ。



再び登り。時折ハイカーと擦れ違った。数名程度。でもみんな空身。



途中の猿久保休憩所。立派なトイレがあります。
でも、六道山展望台も直ぐ。そこにも立派なトイレがありました。



着いた!実質的ゴール。よく歩きました。



屋上で展望を堪能しつつ、行動食で大休止。
ビールは炎天下を歩いたのでもうぬるかった。
それでも贅沢な気分に浸れた~。



新宿方面。スカイツリーも見える。

さ、後は一等三角点を踏めば終了だ。


さして遠くはない。そして、なんとその地味であったことか!



せっかくだから、撫でてみる…。
感動は、もちろんない。
これで一等だったのは、周辺に測量に相応しい高地がなかったためだろうね。



最後にテングダケの仲間の幼菌。 



やぶ蚊だらけ。



軽く登り返して、浅間神社到着。



一段下って、八雲神社到着。
そして僕らの山旅(というには人工的な世界どっぷりだったけど)も終り。

でも、たまにはこういうのも好い。

「ひつぞうよ、決して否定はしないけど
蚊とか、ブヨとか、ヒル、ダニのいない所にしないと、もうおサルは来ないよ!」

わかったです(笑)。



ちょっぴり最後に街路を歩いて、JR箱根ヶ崎駅に着いた。
ところが駅前には居酒屋はおろか、コンビニすらなかった。
これで打ち上げは自宅までお預けである。

駅そのものはすっごく大きくて立派だけどね。


(おわり)

【行動時間】 4時間50分


今回は取り分け長く、ご訪問大変お疲れ様でした。