旅の想い出「万平ホテル」(長野県・軽井沢) | ひつぞうとおサル妻の山旅日記

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ひつぞうです。
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名建築シリーズ1

万平ホテル

 

往訪日:2015年11月28日~11月29日

所在地:長野県軽井沢市

■設計:久米権九郎

■施工:井上組

■竣工:1936年(アルプス館)

 

 
僕にとって軽井沢とは政財界人の避暑地や文人芸術家のサロンといったイメージの場所です。長らく信州人以上に信州のあちこちに通っていますが軽井沢は初めて訪れました。
 
なんとなく観光地化していて俗っぽいのは苦手。でも、このクラシックホテルには宿泊してみたい。ということで、お小遣いを叩いて予約したのでした。

 

 
本来は避暑地。11月終盤といえば充分寒いです。
 
 
すでにクリスマスの装い。
 
「ほら飾りに霜が下りているよ」サル
 
おさるよ、それは作ってあるのだよ…。

 

 
霧積温泉から碓氷峠を越えてくる峠道にたくさん実をつけていたムラサキシキブ
 
 
チェックインは15時からです。
 
おサルの14時というデマに踊らされて、焦って下山する必要はなかった。
 
 
西洋人相手に開業しただけあって、天井も高く間取りが大きい。そして不思議な和洋折衷。西洋人が好むエキゾチシズムに応えようとデザインしたとか。
 
 
いつでも爆睡OKです。
 
 
大きな楡の巨木が見えます。御神木なのでしょうか。注連縄が施されています。僕らが宿泊したアルプス館が一番歴史があり、J・レノンも毎年訪れていたそうです。

 

 
開業時と同じ調度品はないのかもしれません。僕らに再訪する機会があったとして、これらの調度品はまだあるでしょうか。
 
 
部屋の細部を見つめていました。この部屋の全体を織り成す細部を注視していくと、なにか果てしない、容易ならない代物に移り変わって行くような幻想に捕らわれます。
 
 
整頓された部屋を掻き廻すうちに、すました表情だった客室が、かつて誰かが過ごした場所だったことを白状します。

 

 
訪れる客に対して扉自らがもの言うことはありません。無数の男女の指が触れた痕。それだけが僅かな時の記憶を教えてくれました。

 

 
そして、高原の冷気だけが濃密に部屋の内そとに在りました。
 
 
訪れて乾杯したあと。宴のあとです。……。ZZZZ
 
「はっ? 寝てた!」サル
 
時計を見ると7時過ぎ!毎回こうして遅れて夕食に。
 
 
ジビエ料理が選べるというのでそれにしました。(写真はウサギと鶏のテリーヌ)
 
 
メニューをもらうと編集がラクです。

 

 
ジュヴレ・シャンベルタン/アルベール・ビショー 2011
 
ブルゴーニュの大手ネゴシアンです。本当はボルドーのタンニンのどっすり効いた力強いワインの方が合うような気もしますが、僕の小遣いではこれが精一杯。エチケットは万平ホテル限定だそうです。バゲッジ・タグと同じデザインがオシャレですな。

 

 
鹿のロースト 人参とビーツのピューレを添えて
 
小さい…かわいすぎる。
 
「こんなもんだよ」サル
 
 
雉のブイヨン
 
随分繊細なジビエです。いつも山の中で脅されっぱなしなので食べてやろう!
 
でも雉肉一個しかないね。
 
「卑しいやつ」サル

 

 
サーモンの包み焼き
 
サーモンは信州特産。でも長野平周辺だったような。
 
 
メインは猪肉です。あらゆるジビエの中でもシシが一番旨い。僕はそう思います。
 
伊豆の湯ヶ島で知り合ったハンターによれば一番旨いのは伊豆らしいです。愛知・設楽地方も旨い。でも伊豆半島の猪肉は別格だと豪語してました。猪は銃で撃つと内蔵が破裂して商品にならないので罠猟で獲るケースも多いそうです。異色のハンター、千松信也さんの著書はオススメです。
 
 
話がそれました。最後にデザート。
 
やっぱり僕にはグルメレポーターは務まりませんね(笑)。
 
「ひつは食い気だけだもんね」サル
 
 
どーしても帰りたくないというのでバーで飲みなおし。
 
 
手前はよわーい僕のための甘いカクテル。奥はウォッカとライムのつよ~いオサルカクテル。なかなかフレンドリーなバーテンさんでした。ごちそうさま。
 
 
=翌 朝=

 

 
また寝坊。そしてめし。
 
 
あー、眠い…。

 

 
ご飯は純和風を選びました。
 
まだ時間がありますので散策に出ました。
 

 
 
好い雰囲気ですね~。
 
「別荘買って!」サル
 
アホいいなさんな。
 
 
旧軽井沢銀座に出るまで、このような小径が続きます。
 
そこに詩人の室生犀星の旧宅がありました。(残念ながらこの季節は開館していません)
 
 
中学生の頃に読みました。『幼年時代』とか『あにいもうと』とか。「あにいもうと」は成瀬巳喜男監督の映画も良かった。
 
「さすが戦前生まれ、詳しいにゃ」サル
 
時代違うし…。

 

 
軽井沢銀座に出ました。突然別世界に投げ出された感じ。土産にハムとパンを買いました。
 
 
聖パウロカトリック教会。
 
 
宣教師が避暑に暮らすようになり、宿場町から今のような避暑地に変わったそうです。

 

 
その嚆矢がショー牧師です。
 
 
ショー記念礼拝堂
 
夏場とは全然趣が異なります。
 
 
鐘が12時のときを告げました。
 
 
再建された建物。

 

 
戻ってきました。
 
盛り沢山の贅沢な時間を過ごさせて頂きました。ありがとう万平ホテル、ありがとう長野県。
 
(おわり)