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REAL羊介

羊介のリアル体験

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みずのひくきに・つくがごとし 【水の低きに就くが如し】


 ◆ 水が低い方へ流れていくように、物事の成り行きは止めようとしてもとめられないこと。


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革命的な日常~スターリン♪



労働  学習  生殖  睡眠


労働  学習  生殖  睡眠


労働  学習  生殖  睡眠


労働  学習  生殖  睡眠


革命的な日常  革命的な日常



労働  学習  生殖  睡眠

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革命的な日常  革命的な日常



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革命的な日常  革命的な日常



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あいたくちが・ふさがらない 【開いた口が塞がらない】


 ◆ 起こった出来事に驚いたりあきれたりして、何も言えないこと。


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その頃羊介は、ワンルームに今の妻であるマリと暮らしていた。


同棲して2ヶ月くらいの頃であった。



彼女はコーヒーがとても好きだった。


毎日何10杯も飲む。


彼女はいつもやかんにお湯を沸かし、ドリッパーでコーヒーを入れていた。


そこで羊介は、コーヒーメーカーを買ってプレゼントすることにした。


色々な種類があって迷ったが、値段は張ったがミル付きの自動のものに決めた。


使ってみるとランプが工程毎に点灯して、まあまあかな、という感じ。


彼女も喜んで使っているようす。



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そんなある日。



仕事を終え帰宅してみると、なぜか暗い表情の彼女。


どうしたのか聞いてみると、コーヒーメーカーが壊れたと言う。


羊介が試してみると、あちこちのランプが狂ったように点灯して、動作もしない。


どうしたんだろう?


とにかく壊れてしまったものはしかたがない、とは思ったものの・・・・・・。


「何かした?」


一応彼女に聞いてみた。



「汚れたからね、流しで洗ったの。


「え・・・・・・。」


水道でジャバジャバ洗ったらしい・・・・・・。




羊介はひきつった顔でやさしく言った。



「電化製品は水で洗っちゃいけないんですよ。」



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てつは・あついうちにうて 【鉄は熱い内に打て】


 ◆ 人は若くて考え方が柔軟なときに、知性も体も鍛えるべき。


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沢に沿って歩いていた。

 

アキは、この春に小学4年になったばかりだった。


羊介は長男のアキを連れ、八ヶ岳に登ろうとしている。


毎年6月の第一日曜日が八ヶ岳の開山祭にあたり、それに参加しようと思ったのだった。


10時には、ふもとの行者小屋に到着し赤岳の登頂を12時に予定していた。


天候に恵まれ、気持ちのいい登山を予感させた。




アキのことを妻は、おかまと呼んでいた。


小さい頃からままごととか、ブロック遊びが好きで、活発な男の子とはほど遠かった。


羊介はアキに登山の話を持ちかけたとき 「行く」 という返事が返ってくるとは思っていなかった。




懸命に歩く息子を見て、羊介は感慨深く思っていた。


誰にもたよらずにやり遂げる姿をみたい。


羊介は、この経験は必ず息子の人生に影響するという確信を持っていた。





予定通りにふもとの行者小屋に到着した。


ここまでは沢歩き程度のものだったが、この先は嶮しい。


見上げるように望む赤岳は、澄んだ空気の中に堂々とそびえていた。



羊介は思った。


この非日常を俺は求めていたのだと。


息子に見せたかったものが、今、目の前にあった。



まず、横岳に向けてアタックを開始した。


残雪の残る急勾配の林を抜けると、ハエマツだらけの岩場となる。


岩場には、くさりや梯子などが用意されていたが、滑落しそうな場所がいたるところにあった。


最初のうち腰の引けていたアキも、何かをつぶやくようにして先に進もうとしていた。


羊介はアキの後ろにポジションを変え、滑落に備えた。


アキが何をつぶやいていたかが判明した。


「落ちたら死ぬ、落ちたらしぬ、・・・・・・。」


ずっとそうつぶやいていた。


そうつぶやきながら、懸命に登って行く息子が誇らしかった。




横岳の頂上に到着した。


赤岳に向かって歩く稜線は切立っていて、少しも気が抜けない。


そこから望む赤岳は圧巻であった。


泣き言を言わない息子を、羊介は見直していた。


きっとこの子は強く生きていけるだろうと・・・。




予定通りに赤岳に登頂した。


そこには日常というものは存在していなかった。


携帯電話で妻に連絡を入れた。


息子のことを自分のことのように自慢したかったのだ。



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数日後、妻にえらい剣幕で責められるはめになった。


妻はハイキング程度に考えていたらしい。


羊介は、アキに教えたかったこととアキの人生について力説したが、無駄であった。


最後には、「今度連れてったら、離婚よ。」という捨て台詞を残して終わった。


二人のやりとりを、アキはずっと見ていたが、まなざしは羊介の味方だった。


それが妻には気にくわなかったようだ。


夫婦喧嘩を見ていたアキが、満足そうににこやかな表情だったから・・・・・・。




夫婦喧嘩は余計であったが、羊介は満足感でいっぱいだった。



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ながいものには・まかれろ 【長い物には巻かれろ】


 ◆ 自分の力の及ばない相手には、逆らわず黙って従ったほうが賢明だということ。


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その日は特に羊介の体の調子が悪かった。


二週間ばかり前から、どうも体の調子がおかしい。


とにかく、体がだるい。


病院は嫌いではあるが、今日は朝に行くと決めていた。


病院は家から10分くらい歩いた所にある。



病院に向かう途中に、三十段ほどの石段を登らなければならない場所があった。


「まいったな。」 羊介はつぶやいた。


三段くらいで足が上がらなくなる・・・。


少し休んで、また三段。


息は苦しいし、心臓の鼓動も早い。


なのに熱は無いし、体はどこも痛くは無い。


むぅ。・・・どうして?



ようやく病院に着き、待合の椅子に倒れこむように座った。



名前を呼ばれ、よろよろと診察に向かっていった。


血液を採取され、まぶたをめくられたりしたあげく、またしばらく待たされた。


再度呼ばれて、内臓の検査をするので午後に来るよう言われた。


羊介は、家まで帰れるかどうかを心配していた。


しかたなく、家に戻ろうとしばらく歩いていたが、突然限界がきた。


今なら病院のほうが近い。


そう思って必死で引き返した。


待合の椅子を借りて横になろうと思ったのだ。



なんとか病院に引き返して、受付の看護婦に、「あの・・・」と、言ったときだった。


たぶん、ひどい顔をしていたのだと思う。


受付の看護婦は、医者にあわてて連絡をとった。


「先ほどの患者さんが戻ってきました。」


医師に支持を受けた看護婦は、近くに居た看護婦を呼んだ。


羊介は両脇から抱えられるるようにして先ほどの診察室に連れて行かれた。


医者はまぶたをめくっただけだったが、とたんに看護婦に何か指示を出した。



すぐにストレッチャーが運ばれてきて乗ってくれと言う。


羊介は、自分で歩けるから大丈夫だと主張したが、無理やり乗せられた。


起き上がろうとする羊介だったが看護婦に押さえられ、ついにあきらめた。


医者に、心臓停止の恐れがあるので救急車を呼んだ、と伝えられた。


家の電話番号を聞かれ、家の人に連絡をとりたいと言う。


大丈夫だから、と繰り返して言ったが聞き入れてもらえない。


「奥様に連絡が取れません。」 と看護婦の言葉が耳に入った時だった。


他の看護婦からの言葉は信じられなかった。


「奥様が来ました。」


なんで・・・・・・?





後から妻に聞いた話だが、気になって来たのだと言う。


救急車がどうのこうのと病院がばたばたしているのをみて、うちの人だと確信したという。


こうして、羊介は初の救急車と14日間の入院を経験することとなった。



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ねこのくびにすずをつける 【猫の首に鈴をつける】


 ◆ どんなにいい計画でも実行する者がいなければなんにもならないこと。


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いい事を思いつきました。



公園とかに散歩に行った時にいつか試してみたいと思っています。


きれいな女性が犬の散歩をしている時がいいでしょう。


僕は動物好きなので、大型犬でもぜんぜん平気です。


きれいなお姉さんは、Tシャツ姿です(きっと)。


胸元がとてもセクシー。


お姉さんがしゃがむと、首元からブラがチラリと見えちゃったりします。


できれば犬さんと気持ちを共有したいくらいです。


そこで。


「かわいいですね。」 と声をかけるべ。


「おとなしいんですよ~。」 だいたいこう言うべ。


「さわっても平気ですか?」 自然な感じでお願いしてみるべ。


「いいですよ。」 きっとこう応えるべ。


ここまでくればしめたものです。




女性の後ろにまわり、豊満な胸を両手でむにゅっと・・・。




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了解とったので大丈夫なはず・・・・・・。






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たかみの・けんぶつ 【高みの見物】



 ◆ 安全な立場から事の成り行きを興味本位で見物すること。


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妻の真理からメールが来た。


「今日は直接根の治療したから痛み、腫れが出るからこないだよりもっと絶対安静だと。うんどう、アルコールはもちろん煙草も今日は絶対ダメなんだと。煙草はこうして根の部分とか膿んでる時は治りがわるくなるし、麻酔がききにくいんだと。まじに今日麻酔なんてたいして表面しかきかなくてずーっとイタカッたよ!次回もまた痛いと思うと今から憂鬱。おとなしく寝かしてもらうよ。なんか痛くならないうちに!明日の朝ブルドックになってるかも。歯医者ってやっぱり大嫌い。」


羊介が7時に帰宅すると、案の定彼女は眠っていた。


羊介は仕方がないので、洗濯と食器を洗ってゴミをまとめたりしておいた。


妻の歯の治療が結構困難で、大変なことは聞いていた。


最初にポラロイドで写真撮られた、とか言って怒っていた。


半年後まで予約をとらされているのもめずらしい。


先週の治療は痛くなかったみたいで、


歯医者も医者によるよね(ハート)」

 

なんて、言ってたくせに・・・




次の日、彼女がきのうの歯医者の治療について話してくれた。



「ひどいんだよ、歯医者ったらさ、痛いって手をあげたのに、がんばってくださいねってゆうんだよ。」


あっはっはっはっはっは。


「手・・・上げたんだ。」


「あげたわよ、3回くらい。でも同じ事しか言わないから、もうあげなっかった。意味ないじゃん!」


めずらしい人だべ・・・。


「だいたいね、麻酔あまり効いてないけど絶対動かないでくださいねってゆうんだよ。」


そりゃあ、あぶねーからだべ。


「それにね、何も言ってないのに煙草吸ってるでしょってゆうんだよ。」


それは、歯にヤニがついてるからだべ。


「お酒はあたし飲めないからいいけどさ、お酒は絶対にダメってゆうんだよ。」


顔がけばいからだべ。

 

「SEXはいいの?って聞いてやればよかった、」


それはヤメんべ。

  

「医者って虫歯もないから、人の痛みがわからないんだよ。」


「にらんで帰ってきてやったわよ!」


こどものすることべーぜ、それって。


「おいおい、毎週行くんだぞ、おれだってまた行くのに、夫婦ってばれちゃうじゃねーか。」


「・・・そうなのよね、いやだな、また絶対同じ治療だよ。ぜったい。」




昼頃、真理からメールがきた。


「昨日はお世話になりありがとうございました。」

 

洗濯とかしたからかな?




まりちゃん、来週もがんばってね。



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せをふんで・ふちをしる 【瀬を踏んで淵を知る】


 ◆ 小手調べにまず試してみて、どんな危険があるかを察知すること。


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羊介の会社の親会社が主催する運動会の、ある晴れた日の出来事であった・・・・・・。



運動会といっても、社会人の行うもので普通であれば参加者は少ないと思うであろう。


ところが、商品がとても高価なのでかなりの賑わいをみせていた。


例えば、100m走で1位になるとテレビがもらえる。


2位になったら、コンポがもらえる。


結構な大盤振る舞いだった。


そんな感じであったので、参加者も殺気立っていた。


羊介の会社も、午前中にはそれなりの商品を獲得して盛り上がっていた。



昼休みの間、羊介の会社の仲間7人は輪になり、サッカーボールを蹴ってまわして遊んでいた。


秋の日差しもやわらかく、芝生のような草の上で・・・平和だった、その時までは・・・・・・。



誰かの蹴ったボールが、勢いよく輪をはずれていった。


ボールの転がった先は、土手のようになって落ち込んでいた。


ちょうど大きな相撲の土俵の上でサッカーをしていたような感じである。




そこで登場する福島君の紹介を少ししておく。


彼は、羊介の後輩にあたる。仕事もまじめでそれなりだった。

ただ、普段の話の内容はとてもつまらないものであったので、羊介は彼とは仕事だけの付き合いにしようと考え、それに徹していた。しゃべらなければ魅力のある男だった。

顔立ちもきりっとして、男らしいと思う。体もそれなりで、普通であればもてるタイプだと思う。ほんとうに、しゃべりだけでこれだけ価値の下がる人もなかなかいない。

羊介にとっては、つまらない人間であった・・・。




突然、土俵から落ちようとするボールを猛然と追いはじめる福島。


落ちる寸前に間に合うかどうか、と見守る6人。


羊介は見た。


マンガのように真っ逆さまに落ちていく彼を・・・・・・。


羊介の見た映像には、彼の上半身は土俵にかくれ、2本の足だけが見えた。




本来ならば、彼を心配してかけつけなくてはいけない。


しかし、駆けつける事のできる人はいなかった。




6人は突然の腹痛で動けなかった。


「あはははははははははははははははははははははははははははは。」


みんながその場にうずくまり、小刻みにふるえていた。


「く・・・くるしい・・・。」


彼はもしかしたら、大ケガをしているかもしれない。


「あはははははははははははははははははははははははははははは。」


彼のために救急車をよばなければ・・・・・・。


「あはははははははははははははははははははははははははははは。」



気管支炎のような 「ひゅー、ひゅー、」 という音が聞こえ、こちらもかなり危険な状態。






と、その時・・・・・・。


服に少し泥が付き、困ったような、照れたような、苦笑いをして彼は戻ってきた。



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それを見た6人は。


「もうだめだべ・・・。」 「たすけるべ・・・。」



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きにたけを・つぐ 【木に竹を接ぐ】


 ◆ 調和や釣り合いのとれないことや、不自然で筋が通らないこと。


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20年以上たった今でも不思議に思うことがあり、たぶんそれは永遠の謎となるであろう。





高校の教室の中は、相変わらず退屈だと思った。


羊介は出席日数が足りなくなりそうなので、仕方なく授業に出た。


親の気持ちも知らず、気ままな高校生活を送っていた。




いま羊介が受けている授業は現国。


そして、この現国の授業に関してはある噂がささやかれていた。




教師の名は後藤という。


体格が良く、身長も195はあると思われた。


なのに性格はいたって温厚で、人柄も良かった。


服装も地味であり、いつも薄手のスラックスをはいていた。




いつもの様に教科書を読みながら、生徒の席の間を歩いて来る。


ここからが問題であった。


席に近づいてくると、ちょうど教師の股間のあたりが目線に入ってくる。



無い・・・やはり今日も何も無いべ・・・。



スラックスがぴっちりしているせいで余計に目立ってしまう。


下腹部に何も無いのである。


「実は女かもしれない・・・」 本気で思ったこともあった。


後ろに座っているトシも、きっと同じ事を考えているはずだ。


「先生、質問。」 と言って聞いてみたいが、未だに誰も聞いたことが無い。


誰もが、聞いてはいけない事、と感じているのだろう。


ビキニパンツをはいても同じかもしれない。


誰からともなく、ナイチンゲール後藤 とささやかれるようになった。


羊介たちは卒業を迎えたが、謎が解明される事は無かった。



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羊介は、今になって無性に知りたくなった。


どうなってんだ、教えてくれ~!


しかし今、たとえその教師がいたとしても、羊介には聞く勇気がない・・・・・・。



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へそがちゃをわかす 【臍が茶を沸かす】


 ◆ おかしくて笑わずにはいられないこと。


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羊介の自宅でのこと・・・



中古のマンションを買って5年になる。


ある夜のこと、羊介はリビングで本を読んでいた。


中一になる長男はパソコンのメールで忙しくキーをたたいている。


下の双子は、奥の部屋でゲームでもやっているのだろう。


妻はリビングとベランダを行き来して洗濯物を取り込んでいる。


よくあるいつものの光景だった。



突然、バーン!!という音とともに静寂は破られた。


ただごとでない音と振動に驚く羊介と長男の2人。


奥の部屋からとびだしてくるチビ達。


みんなは音の原因を探そうと、音のした方を目で追ってみると・・・


ベランダでうずくまっている妻の姿をみつけた。



まさか・・・。


窓が開いてると思ってぶつかったとか言うんじゃねーべな?


込み上げる笑いに耐え、ベランダに救出に向かうと・・・窓には二つの鼻の穴の跡がくっきりと・・・


長男はすでに笑い転げ、羊介も笑った。


笑っちゃいけないと判っていたが止められなかった。



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妻は、むちうちの軽い症状となり、むくれてしまった。


笑い転げていたのがいけないと、口も聞いてくれない。



だって・・・無理だべ、そんなの・・・。



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ねこに・かつおぶし 【猫に鰹節】


 ◆ 好きなものをそばに置くのは過ちを起こすもととなり、危険だということ。


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羊介は到着の時間を気にしながら車を走らせていた。


夕方には、なんとか長野市に着くだろうと考えていた。


きくちゃんが放送局に記事を届けるというので、ドライブがてら行こうという事になったのだ。


彼女と羊介は、飲み屋のホステスと客という関係だった。


ふたりは食事をしたり、ビリヤードや麻雀などをする程度の付き合いをしていた。


諏訪インターを降りて一般道に入ってからの事だった。


道路上にねこの死骸が横たわっていた。


運転していた羊介は、最初はわからずに、ごみのようなものだと思っていた。


とっさにかわそうとしたが真ん中あたりにあった為に、車でまたぐような形になってしまった。


彼女はとたんに激しく泣き出した。


なぜか羊介の股間に顔をうずめて・・・。


羊介はとまどいながら考えた。


しかし、どうしようもなく運転を続けることにした。


羊介が彼女との関係に一線を引いてきたのは、長い付き合いを望んでいたからである。


今日は泊まりになる訳だから、関係が維持できるかどうかの危惧もあったのは確かだ。


けれども、問題は今の状況である。


彼女の泣いている振動と吐息が股間に感じられた。


ここで車を止めれば、きっと彼女にキスをしてしまう・・・。


羊介には、困ったときにキスをする癖があった。


片手で彼女の頭をなでながら、片手でハンドルをとり運転を続けた。


よくよく考えるとすごい光景だ。


泣き止むまで30分位そのまま走ったようだ。


今のようにオートマではなかったため、3速をホールドしたままだった。


彼女は何も言わなかったが、羊介の男の部分を感じたはずである。


強引に走ったおかげで、時間になんとか間に合ったのが救いである。



なぜ泣いたのか彼女は説明してくれた。


子供の頃飼っていたねこが、同じように死んでしまったのを思い出したからだという。


よくある話だ。




結局、その夜2人は長野の旅館で深い関係になった。


彼女が積極的に、羊介を咥えて来たのである。


羊介の上に馬乗りになり、腰を深く沈めてきた。


羊介も彼女の愛情表現に応えた。


「中に出していいよ。」


羊介は彼女を何度も抱いた。


一度こうなってしまうと、彼女がいとおしくてたまらなかった。


しかし、時限爆弾のスイッチが入ってしまったことも解っていた。





深い仲になると、結婚でもしない限り、必ず別れがくる。


もう友達としては付き合うことはできなくなった。


羊介は肉体的な満足を味わいながらも、将来の別れを実感していた。


2人は、会うたびに抱き合った。


まるで、時間が限られているように・・・。


1年後、どちらからとも無く別れた。




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稀に、人間としてずっと付き合いたい異性に出会うことがある。


自分の欲望を押さえ込み、精神的な付き合いをしようとする。


15年たったにもかかわらず、未だにその関係を築くことができないでいる。


羊介は悔しく思っている。


肉体の関係を持ってしまったら、友達同士の関係を維持するのは無理なのだろうかと。