★★★★☆ 3.5点(個人的な好みです)
ミステリー(一応。詳しくは下記参照ってことで。)
加賀恭一郎シリーズ。
長編小説ですが、あまり長くありません。


前原昭夫は、ごくふつうの家庭を持つサラリーマン。
ある日、彼の家庭で、起きた犯罪。
家族とその生活と将来を、壊さないために
彼がとっていく行動。
加賀恭一郎刑事らにより、事件は捜査される。

初めから、事件も犯人もわかっています。
事件が扱われてて、捜査があり、謎もあるので、
ミステリーのジャンルに入れてもいいと思うのですが、
(あぁ。この、ジャンル分けが、本当に苦手…)
家族のあり方を問うような、社会的な小説です。
事件のあった前原家と、
事件を担当する松宮刑事と
同じく事件を担当する従兄の加賀。
それぞれの、家族のつながりを描いています。
胸のつまるような物語です。
どこにでもある家庭で起きた犯罪。
本当に、明日、自分の身に起きるかもしれないような事件です。
物語の内容に、気持ちを暗く染められがちですが、
この本も、素晴らしい作品です。
270ページで、それほど長い話ではありません。
ムダがなく、読みやすく、完成しています。
それに、仕掛けもあるので、物語としては、本当におもしろいです。
また、加賀恭一郎の一面も見ることが出来ます。
99年12月号『小説現代』に掲載された
『赤い指』をもとに書き下ろされた作品だそうです。
06.7 発行
講談社