というニュースを聞かれた方も多いと思いますが、
肥薩線の復旧費235億円、国が半分以上「肩代わり」 鉄道での再建促し調整 JR負担、実質50億円未満に
と一昨日の朝に報道されました。
そして、その日に開かれた会合後に詳細が明らかになりました。
色んなニュースサイトを読みましたが、地元の熊本日日新聞さんの記事、
肥薩線復旧、JRの負担最大9割減に 橋架け替えなど公共事業で 国交省など試算
では、JR九州さんの負担減に踏み込んで詳しく書いてあるので、引用しながら説明して行きます。
先にも書いたように肥薩線の復旧には235億円の費用がかかると試算されています。
その明細については、ここを参考にしていただくとして、
流された球磨川第1橋梁[きょうりょう](八代市)と第二球磨川橋梁(球磨村)や、それ以外の区間の復旧について、国が公共工事の補償事業などと位置付けて総額159億円分を負担するとの支援策を示した。
と要するに、2本の橋の架け替えや土木工事の大半を
公共事業として国が面倒を見てくれる
ということであり、その分を引き算すると、
235億円-159億円=76億円
となります。
出だしから快調に減り始めました。
そしてその76億円に対しては、既存の法律
国と地元自治体が赤字路線の復旧費を4分の1ずつ支援する改正鉄道軌道整備法の適用
により、各負担額は、
- 国 :19億円
- 熊本県:19億円
- JR九州:38億円
となります。
ここで、もう一度引き算すると、
76億円-19億円×2=38億円
まで来ました。
更にトドメとして、
鉄道の運行と所有・管理の主体を分ける「上下分離方式」を導入すれば、国と自治体の補助率がかさ上げされる。
ので、JR九州さんの負担が、
38億円→(上下分離方式の導入)→25億円
となり、当初概算である
235億円が約9割減の25億円
というリニューアル前のバーゲンセールでも有り得ない大幅ディスカウントの可能性が出てきました。
ただ、そのトドメの手段に対しては、
地元負担が増える上下分離方式について「あらゆる選択肢の一つ」
と県の清田克弘交通政策・統計局長が述べたのは、後々に熊本県の負担が増えることに難色を示したのでしょう。
しかし、JR九州さんの費用の負担額が25億円~38億円に収まりそうな気配であり、これは、
30~40億程度をJR九州さんの負担とすれば(中略)JR九州さんが、なんとか飲み込んでくれる範囲に入ってくる可能性があります。
と本ブログがここで指摘したこととピタリと一致します。
別にドヤ顔をして「どうだ」なんて言っていませんし、まさか国土交通省さんが、本ブログを参考にして案を考えたわけではないと思いますが、
豊肥線の復旧時に、50億円の復旧費用の半分は国と県が負担してくれることになった。
という前例とほぼ同じ線迄来たので、民間企業であるJR九州の株主さんの了解を得られやすいという読みはあるでしょう。
しかし、一番の課題は、肥薩線が復旧した後を「どうするのか」です。
(JR九州の)松下琢磨総合企画本部長も、
災害前の乗客数が約30年前から8割減に落ち込んでいた
ことを踏まえて、
(国の提案による試算でも)鉄道での復旧費は高額だ。運行再開後の持続性もセットで考える必要がある
とシッカリと釘を刺しています。
先の熊本県の懸念も本質的には同じであり、ここで書いた
肥薩線を鉄道として再建できるかどうか
ということが最重要であることに変わりありません。