最近、プラネットアースIIIというTV番組を見た。その中で飼育野鳥を自然に戻すオーストリアでのプロジェクトを紹介していた。
その鳥は既に野生では400年前に絶滅しているオオアカトキという鳥だという。思った。絶滅しているものをどうやって飼育できると。すると動物園で飼っていたものを移して繁殖させるのだとナレーションはいう。なーんだ動物園にはいたのか、そういえば確かに野生ではと断っていた。
このプロジェクトで最も肝心なのは、生まれたばかりの雛に飼育員を親と認識させる作業なのだそうだ。
生まれたばかりの雛を親鳥から離し、飼育員二人が親鳥に代わって餌を与える。飼育員二人以外他の人間は一切姿を見せない。そうすると餌をくれて世話をしてくれる人間を雛たちは親と
錯覚するのだそうだ。
この飼育員を親と錯覚させることができるか否かがこの飼育鳥の野鳥化に成功するかどうかの鍵があるようだ。
繁殖に成功して数が増えてきたところで、飼育ゲージから出て野原で親なる飼育員と一緒に飛ぶ訓練をさせる。飼育員はパラシュートの付いたエンジンで推進する二人乗り簡易プロペラ機で、空を飛んでトキを導く。パイロットの後ろに座った飼育員は拡声器で親鳥の鳴き声を真似たりしながら若鳥達を誘導する。
何故それをするかと言うと、このトキは渡り鳥なのだそうだ。成長した若鳥はアルプスのやまなみを越えてイタリアで過ごし数年を経て繁殖期になるとアルプスを越えてオーストリアに来るという。
そういう渡り鳥の習性を習得させなければトキの野生化には成功できないということだ。
そして、アルプス越えの時が来た。親鳥の役割を担った二人の飼育員は二機のエンジンつきパラグライダーに分乗して若鳥達に声をかけながら3000メートル級のアルプスを越える旅にでる。番組では無事にイタリア中部の公園に辿り着いた。
すりこみを最初の教育と 捉えれば、人間においてもどんな教育を受けるかということは極めて重要だ。その意味で乳幼児教育は最も大事だが、社会に出て行く最初にどんな思想に触れるかはさらに重要だと思う。