日本に帰化する中国人  | 人差し指のブログ

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「 日本語は生きのびるか          米中日の文化史的三角関係 」

平川祐弘 (ひらかわ・すけひろ 1931~)

株式会社河出書房新社 2010年2月発行・より

 

 

 

 

 今日の両国関係をシンボリカルに示す数値は、日本人で中国に帰化する人は少ないが、中国人で日本に帰化する人は1年に4000人強いるという事実である。

 

 

改革開放後の初期に来日した中国人留学生で博士号を取得した者の

きわめて多くが日本で就職している。

 

 

 近年は日本の大学の外国人教員のポストが埋まったこと、留学生数の増加、中国が経済的に発展してりることなどもあり、博士号取得者でも帰国する人の割合が増えている。

 

 

「留日反日」    日本に留学すれば反日になるという説を日本の一部のマスコミが流しているが、実相は逆であるという研究が中国人の手で書かれている。

 

 

『相互理解としての日本研究』 (法政大学国際日本学研究センター)に出ている、張石氏の 「戦後中国人の帰化および対日感情変化のメカニズム」 は、統計的数字に立脚する論文で、「留日反日」 が 「実は根拠のない巷間の言説にすぎない」 ことを客観的に立証している。

 

 

在日中国人は在日の期間が長ければ長くなるほど日本にたいする好感度が増し、一部の人は今後の生活の場として日本を選び、かつ帰化する。

 

 

その数は年によっては5000人に及ぶ。

 

 

帰化した中国人が日本に信頼感を持つ理由は 「日本の民主主義制度の完備」 がもっとも多く、次は 「公務員の責任感が強く真面目」 「日本人は法律と約束をきちんと守る」 だという。

 

 

こんなに日本を評価してよいのか、と驚かされるが、帰化した人はそれだけ現在の大陸中国に批判的ということであろう。

 

 

その辺もされに詳しく分析して、在日中国人が望む祖国の政治現代化への展望や理想実現の手段をも研究発表してもらいたいものである。

 

 

私の元留学生は日本に帰化し里帰りして税関で 「旅券は贋物(にせもの)だろう」 と咎(とが)められ挙句にやはり本物の日本国旅券であるとわかると 「不愛国(プーアイクオ)」 と罵(ののし)られた由である。

 

 

 なお私の見るところ、なにも日本を愛するから帰化したという人だけではない。

 

 

日本には兵役義務がないから実利目的の中国人は、日本国に忠誠を誓わずとも、気楽に帰化できるのである。

その点も忘れてはならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                         8月15日の興福寺北円堂