北方領土返還にはアイヌを使え  | 人差し指のブログ

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「 日本人の矜持 九人との対話 」

藤原正彦 (ふじわら まさひこ 1943~)

株式会社新潮社 2007年7月発行・より

 

 

 

アンテナが壊れシグナルが読み取れない日本・佐藤優(元外務事務次官)

 

 

 

 

藤原 ところで、最後に佐藤さんに伺いたいのは、さっきも出た北方四島

    のことです。

 

 

    今後の見通しはどうでしょう。

 

 

佐藤 それはやり方次第です。

 

 

    実はそんなに難しい交渉じゃないんですよ。

 

 

    四島は日本領であり、これは原理原則だから妥協は一切しない。

 

 

    ロシアは日本との関係を正常化するために四島問題を解決する

    べきだとキチンと言うことです。

 

 

藤原 四島返還の突破口はありますか。

 

 

佐藤 あります。 たとえばアイヌです。

 

 

藤原 アイヌ? 予想外ですね。

 

 

佐藤 いま国際的な流れとして、先住民が歴史的に住んでいた土地に

    対して自治を要求できるようになっていますね。

 

 

    例えばラスベガスでも先住民たちに資源、土地の利用権と自主権を

    認めています。

 

 

藤原 そうか、それをアイヌの人たちが主張すればいい。

 

 

佐藤 ロシアは先住民の権利を法的に認めていますかた、北方領土に

    居住していたアイヌ人が声を上げれば国際法が味方してくれます。

 

 

    それから、私は大失敗だと思っているん知床の世界遺産登録。

 

 

    あれも有効なカードになりえたんですよ。

 

 

    生態系は繋がっているんだから、知床、北方四島、ウルップ島と、

    あえてロシア領のウルップ島を入れて、日ロ共同提案の形で世界

    遺産にするべきだったんです。

 

 

    で、ロシアには極東の自然環境保護をやる余裕はないし、むしろ

    開発を進めてるわけだから、保護者たる資格なしと訴えて結果的に

    は日本が北方四島の管理をもらっちゃうと。

 

 

    知恵を絞れば、お金をかけずにできることは山ほどあるんです。

 

 

藤原 やっぱり、佐藤さんには外務省に戻ってもらわなきゃ(笑)。

 

         ~  初出 『小説新潮』 2006年7月号 (新潮社)  ~

 

 

 

 

 

 

                           8月15日の猿沢池付近