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「 日本人だけがなぜ日本の凄さに気づかないのか 」

ケント・ギルバート (Kent Sidney Gilbert 1952~)

石平 (せき・へい 1962~)

株式会社徳間書店 2017年8月発行・より

 

 

 

 

 石平 また、中国社会がこれまでどのように形成されてきたかというと、

     皇帝の家族を基軸にして、大家族的に編成されるのです。

 

 

     一族が、一つの集まりでできている。

 

 

     私の家は四川省の田舎なのですが、そこで 「石」 という一族が

     宴会をやれば、いまでも何百人も集まります。

 

 

      昔は、中国人はみんな この家族のなかで生活していました。

 

 

     利害関係もモラルも道徳倫理も、この家族のなかで通用すると

     いうのが基準なのです。

 

 

     だから、家族のなかで嘘をついてはいけないのですが、この家族

     を出たら、何をやってもかまわない。

 

 

     公がないのです。

 

 

     そこがおそらくアメリカ社会と全然違うのです。

 

 

ケント 私たちの社会では、それは絶対にダメだという価値観です。

 

 

     その家族主義、一族主義自体が、儒教の祖先崇拝から発したもの

     なのですね。

 

 

     となると、中国では自分さえ、自分の一族さえよければいいわけ

     だ。

 

 

 石平 はい。 自分の一族さえよければ いいのです。

 

 

      中国の官僚が賄賂を受け取るのも、彼らにとって、それは家族

     のために やっていること ですから、正しいことなのです。

 

 

     逆に賄賂をとらなければ、「家族のことをなんと思っているのか」 

     と家族から責められます。

 

 

      賄賂をとらない幹部は、まず奥さんから毎日文句を言われる。

 

      「あんた、ダメじゃない。賄賂を一文もとってこないじゃないか。

      よその旦那さんは毎日持って帰ってくるのに」

 

      子供からも、「ウチの親父は本当にダメ。賄賂もとれないのか」 

      と責められる。

 

 

     一族のために賄賂をとれる父親は尊敬され、とれない父親は軽蔑

     されるのです。

 

 

ケント それは すごいですね。

 

 

     しかしそうなると、経済的にはかなりの無駄が出るわけですよね。

     賄賂のコストを誰かが負担しないといけない。

 

 

 石平 最後は、国なり企業なりの負担になります。

 

 

ケント 中国の労働力がまだ安いときは、そういう無駄な費用が加算され

     たとしても、国際的な価格競争には耐えられると思いますが、経済

     が発展すればするほど、賃金が上昇しますから、いずれ賄賂が

     負担になるのではないかと思いますね。

 

 

 石平 それは、非常に重要な指摘だと思います。

     だから、国際競争力は次第に落ちていきます。

 

     (略)

 

ケント 日本も安いモノつくって売るという時代がありましたよね。

 

 

     しかし、日本の場合は、安いモノをつくって得た資金を、技術開発

     や物づくりに投じて、やがて、付加価値の高い、いいモノをつくるよ

     うになった。

 

 

     ソニーやパナソニックなど、町工場から世界的な企業になった

     企業も多いですね。

 

 

 石平 しかし中国人は、安い労働力を使って、儲かったお金をどうするか

     というと、共産党幹部たちへの賄賂にするのです。

 

 

     賄賂を贈らないと、工場が稼働できない。

 

 

     儲けの半分か3分の1を賄賂に使い、残りは自分たち一族の利益

     にして、海外へ持ち出すわけです。

 

 

     あるいは海外企業を買ったりする。

     そのため、日本のように技術の積み重ねができない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                            5月29日の猿沢池付近