有料老人ホームと厚生省 | 人差し指のブログ

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「 僕らはそれでも生きていく !」

小石原昭 (こいしはら・あきら 1927~)

株式会社財界研究所 2000年10月発行・より

 

~これが理想の老人介護・岩城祐子(いわき・ゆうこ)~

    「民」の発想で介護ビジネスに成功の「シルバーヴィラ向山」 代表

 

 

 

小石原 岩城さんのご本に、岩城さんがシルバーヴィラ向山を思いたたれ

      たとき、銀行がいったん三億くらいの融資を約束したあと、

      厚生省に聞きに行った、と書かれていますね。

 

 

      そうしたら厚生省が、20年前のその当時、

      「有料老人ホームをやるなんて、あんな岩城さんの言うことを聞

      いちゃだめだ、あの人はおかしい。

      いま、役所がタダでやろうとしているのに、そんな介護の高いお

      金を出してまで有料老人ホームに親を入れるような馬鹿はいま

      せんよ」

      と言って、それを聞いた銀行も、いったん約束していながら、

      反故(ほご)にしたというんですね。

 

 

      実際はタダじゃないんですよ、役所は税金でやるんだから。

 

 

      あなたが福祉だといっても、かならず採算に乗せて返すものは返

      すと言っても、どうしてもわからない。

 

 

      資産もちゃんと担保にしているのにわからない。

 

 

      おまけにその銀行員が差し出がましくも

      「もっと儲かる仕事をしたらどうですか」 と。  何という不遜。

 

 

      それで、銀行の言うことを聞かないと貸さないと言うから、あなた

      のほうから 「そんな銀行は取引停止だ」 と言ったら、

      銀行は 「やれるものならやってみろ」 と。

 

 

      それで敢然としておやりになったそうですね。

 

 

              先年、取材にうかがったうちの者が、

      「岩城さんのところはオープンキッチンで、調理しているところが

      みんなからよく見えるようになっている。ところがそれを厚生省が

      認めない」 

      と聞きましたので、厚生省の老人福祉企画課に取材に行って、

      「なぜいけないんですか」 と尋ねましたら、

      「火を見て興奮した老人がキッチンに入って暴れるといけないか

      ら」 と(笑)

 

 

      取材者は、「そんな馬鹿な、非現実な・・・」 

      とおなかをかかえて笑っていましたね。

 

 

      それで、岩城さんのところはそんな面倒くさい厚生省は相手にし

      ないというので、いっさい許認可もとらないかわりに、お金ももら

      わず、全部普通の企業として借入金でまかなって来られたわけ

      ですね。

 

 

岩城   答えた下っ端の役人は、上が決めたことで、とっさに何と答えた

      らいいかわからなくて、思いつきを言われたんですよ。

 

 

小石原 そうでしょうね。思いつきでしょうね。  笑っちゃった。

 

 

岩城   厚生省のお考えは、食堂に黴菌を入れないために、全部をシャ

      ットアウトしないといけないというわけです。

 

 

小石原 完全滅菌なんて非現実ですね。

 

 

岩城   それはできませんし、また、そういうことをしますから、日本人が

      だんだんとひ弱になりましてね、ちょっとした黴菌でもあの世に行

      っちゃうんです。 

 

 

 

                    奈良・興福寺の藤の花 4月27日撮影