「青函トンネル建設」よりも・・・ | 人差し指のブログ

人差し指のブログ

パソコンが苦手な年金生活者です
本を読んで面白かったところを紹介します

「 新聞の経済記事は読むな!バカになる 」

日下公人(くさか きみんど)  /  渡邉哲也(わたなべ てつや)

株式会社李白社 2013年3月発行・より

 

 

 

 

 

日下    別の例を挙げると、国は北海道と青森県に1兆5000億円をか

       けて青函トンネルを掘りました。

 

 

       開通したのは1988年です。最初から 「青函トンネルは何の

       役に立つのか」 という点で、現地の人たちは工事中の雇用以

       外は、何の役にも立たないと思っていました。

 

 

       しかし、国は、青函トンネルが完成したら北海道の特産物を東

       京まで一日か二日で届けられるから、北海道の人たちは心を

       入れ替えて良い特産物をつくるだろうと考えていました。

 

 

       そこで青函トンネルの開通で貨物列車の需要も増えていくだろ

       うとも予想していました。

 

 

       そのような予想を喜んで出すのが、何とか総研などのシンクタ

       ンクです。

 

 

       彼らは公共事業による将来の拡大をやたら大きく見ます。

 

 

        鉄道需要の調査は国鉄自身でもやったことがあるのですが、

       青函トンネルの場合はやりませんでした。

 

 

       青函トンネルが何の役にも立たないことを国鉄も初めから知っ

       ていてわざわざ調査するまでもないと考えたからですが、その

       意味で国鉄は良心的だった。

 

 

       一方、(田中)角栄氏は鉄道建設公団という組織を別に設立

       し、この鉄道公団に青函トンネルをつくらせることにしました。

 

 

       そのとき鉄建公団設立の条文の中に 「青函トンネルは将来、

       国鉄が買い取る」 という一条を入れました。  無茶ですね。

 

 

       以上のような青函トンネルの経緯も含めて国のやる公共事業

       のいい加減さが分かってくるので、公共事業必要説は怪しいと

       思うようになるのです。

 

       (略)

 

日下     というのも、先ほどの青函トンネル建設については政府の鉄

       道建設の諮問委員会で話し合われたのですが、私もその委員

       の一人になっていました。

 

 

       私はその話し合いのとき、「1兆5000億円でトンネルを掘るの

       なら、アメリカ国債を買ったほうが得なのではないか

       アメリカ国債の金利は7.8%で回っているから、毎年1000億

       円くらいの金利が入ります。

       その利益で北海道と本州を行き来する飛行機も船もフェリーも

       全部タダにすることができるでしょう。

       交通費がタダなら、国民は皆、喜びますよ 」 とも言いました。

 

 

       当時のアメリカは高金利だったのです。

 

 

 

 

 

 

                               7月8日の猿沢池