劉邦とマルキシズム | 人差し指のブログ

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「 徹底解明 ! ここまで違う日本と中国   中華思想の誤解が日本を亡ぼす 

石平 / 加瀬英明

株式会社自由社 平成22年7月10日 発行・より

 

 

 

石平   唐王朝は、李が姓です。漢王朝は劉姓ですね。

      姓が何を意味しているか。まず、一族が中心にある。

 

 

      それが天下の中心であって、天下国家は、自分たち一族の私物

      だと考えるんですね。

 

 

      有名な話ですけど、昔、漢の王朝の創始者の劉邦(りゅうほう)は 

      ならず者でね。

 

 

      若い頃、真面目に仕事をしなかった。

             そこで父親から、よく叱られたんですよ。

 

      「お前の兄貴は、毎日、一所懸命に仕事して、家の財産を殖やし

      ているのに、お前だけがぶらぶらして、何も働かないじゃないか」

 

 

      ところが、劉邦はならず者でありながら、どういうわけか、皇帝に

      なった。

 

 

      皇帝になった途端、父親を呼んで、言い返すんですね。

 

      「父親(おやじ)、昔、わしが財産を増やさないと言っただろう。

      じゃあ、今を見てみい。わしの成し遂げた財産が、兄貴と比べて

      どっちの方が多いか」。

 

 

       劉邦が何を言いたかったかというと、わしが増やした財産は、

      国家そのものだということです。

 

 

      彼の意識のなかでは、国家そのものが自分の財産であり、一族

      の財産だという。易姓革命は、そういうものなんです。

 

 

       しかし、ある一族が、天下を永遠に独占できたという例など、

       ない。

 

       必ず誰かが現われて、取って代わることになる。

 

 

 

加瀬   易姓革命は建前では、徳が備わってるから、天帝から天命を受

      けて・・・・。

 

 

石平   それはね、あくまでも天下を私物化するのを、正当化しようとす

      ることですよ。

 

      本当は、天下を我が物に     自分の財産にした。

 

      しかし、人民を納得させるために、徳があるから天下を取ったの

      だという、言い訳ですね。

 

 

加瀬   だから、ぼくは儒教は建前だけだ、というんです。

 

 

石平   そうですわ!劉邦には、徳など何もないですよ。

      若いころは、無銭飲食で有名な人でね。

 

      天下取った途端、自分が有徳だと吹聴(ふいちょう)するんです

      から。(笑)

 

 

加瀬   マルキシズムが、まさにそうですよね。

 

 

石平   そうですわ。あれも、擦り替えて、正当化する理論に過ぎない。

 

 

加瀬   マルキシズムの歴史的科学社会主義も、天命論なんですね。

 

 

石平   そうそう!天命論、天命論!あれは一種のキリスト教的な天命

      論です。

 

 

      歴史的必然により、この地球上で、共産主義が必ず最後の勝利

      をおさめる、という千年理論     千年王国的な発想ですが、

      どちらにしても、欺瞞(ぎまん)です。

 

 

加瀬   マルキシズムも、頂点に万能な絶対者が君臨するという点で、キ

      リスト教の宗派の一つと見ることができますよ。

 

      (略)

 

石平   さっきの話の延長線上にありますが、まさに中国の皇帝と、朝鮮

      の国王もね、中国の政治伝統を受け継いでますけど、天下を私

      物化するんです。

 

 

      我が財産ですよ。我が財産だから、搾取するって、意識すらない

      んです。

 

 

      彼らにとって、人民は、自分の財産を増やすための道具でしかな

      い。

 

      だから、統治者と人民が一体になれるはずがない。

 

 

 

 

                     12月3日 朝霞市内(埼玉)にて撮影