アラブ人の家に招待されると・・・ | 人差し指のブログ

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本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

「 山本七平全対話 3 神のいる国 山本七平他 」

山本七平 (やまもと しちへい 1921~1991)

株式会社学習研究社 1985年1月発行・より

 

    神のいる国      片倉もとこ  1984,12月 語り下ろし新稿

 

 

 

 

山本    例えばアラブ人の家へ夫婦で招待されると、玄関から別々に

       なります。

 

       これはエルサレムに住んでいるアラブ人でもそうです。

 

       奥様はこちらから、だんな様はこちらからどうぞで、中に入ると

       ぴしゃと分かれていて、男は男で話しをしている。

 

 

片倉    大変なんです。

               いちばん大変なのはいつごろ神輿を上げようかというのを、

               ちゃんとシンクロナイズしておかなければいけないのですよ。

 

       何時ごろ帰ることにしようね、なんてね。(笑)

 

 

山本    そうしませんとね。

                時間を見て挨拶して、玄関から出るとまた二人になる。

 

 

       イスラエルの中に住んでいて、非常にヨーロッパ化したように見

       える人でもそうなんです。

 

 

片倉    そうですか、エルサレムの中でね。それアラブ系ですね。

 

       ユダヤ教徒の中にもそういう人はやっぱりありますか。

 

 

山本    いや、これはないです。

 

 

片倉    男女別々にしておくというような。

 

 

山本    そういうことは私の知る限りないですね。

 

       むかしはわかりませんけれども、いまでは全然ありません。

 

 

片倉    ユダヤ教の教えの中そのものにはございませんね。

 

 

山本    ええ、会堂(シナゴーグ)や嘆きの壁の前など、宗教的な場所

       では、男の席と女の席は別ですが、家庭ではそれはべつにあ

       りません。

 

 

       割合に儀式的な安息日(シャーバット)の家庭の夕食などでも

       同じテーブルです。

 

 

       ですからこれは、イスラエルですと東エルサレムやウエストバン

       クなどに住んでいるアラブ人の場合ですね。

 

 

       あの辺はアラブ人地区になっていますけれども、混在に近いほ

       ど接触しているところでもそうです。

 

       また家の中に男性がいると女性が絶対入って来ませんでしょ。

 

       奥さん呼び出して戸口で話をしても中へ入らない。

 

       がんとして入りませんよね。

 

       ですから、彼らの家庭生活はどのようなのか、その家族生活の

       中の女性の本当の役割とでもいいますか、これは本当に外部

       からはわかりにくいですね。

 

 

 

 

                12月3日 青葉台公園(埼玉・朝霞)にて撮影