「ハイエクの大予言」
渡部昇一(わたなべ しょういち 1930~2017)
株式会社李白社 2012年5月発行・より
そういう意味でいうと、日本では商業を金儲け主義の浅はかなものにすぎず、農業が偉いと考えがちですが、これは間違いです。
この間違いが西郷隆盛の間違いでもあったと私は思います。
西郷は幕府を潰すまでは偉かった。西郷はいなかったらあの時点で江戸城をとることも、廃藩置県もできなかったでしょう。
ところが、新しい日本に対して西郷には新しいビジョンがなかった。
これからの日本はどうしたらいいかという庄内藩士の問いに、
西郷は 「文武農」 だと答えています。
西郷の頭の中で 「文」 は儒教、「武」 は下級武士の倫理、「農」 は農業です。
西郷は 「農」 しか知らない。商も工もない。
ところが、欧米を見てきた人からすれば日本は馬か、人の足で移動するのに欧米では汽車が走っていることを知っていますので、「文武農」 ではどうしようもないと考えた。
だから、大久保利通は西郷にヨーロッパを見てこいと勧めるのですが、
西郷は象皮病と噂されていた病気のためか行かない。
しかも隠居の癖がありますから、禅坊主みたいなことを言い始め、人格はますます清らかに、判断はますます狂っていったわけです。
渋沢栄一が西郷隆盛に会った時の印象を書いています。
2016年10月10日に 「渋沢栄一が見た西郷隆盛」 と題して紹介しました。コチラです。↓
https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12207025962.html
気多の白菊桜(ケタノシロキクザクラ)という品種です。高尾駅から多摩森林科学園に行く道に咲いてました。4月9日 東京・八王子 にて撮影