「呆れた哀れな隣人・韓国」
呉善花(お そんふぁ) / 加瀬英明(かせ ひであき)
ワック株式会社 2017年1月発行・より
<加瀬> あるとき韓国の葬儀に招かれましたら、三日も続いて、て、 遺族が天も裂けよ地も裂けよとばかり号泣する。
今回も平壌(ピヨンヤン)からの映像では、人々が同じように泣いていた。
(略)
<呉> 葬儀では嘆かないとダメなんです。
泣いてどれだけ顔がむくんでいるかを他人が見て親孝行の度合いを測る。腫(は)れが足りないと、泣き方が足りないといって非難されます。
弔問客が来るまで遺族は雑談したり笑ったりもしていいのですが、客が来るといきなり立って泣き声で迎え、客が帰るとまた休むという感じです。
<加瀬> 韓国の友人が教えてくれましたが、愛人のいる男が妻を亡くして、人前では泣くが、トイレで忍び笑いをするという有名な小話があるそうですね。
<呉> なぜ嘆くかというと、「死の否定」 なんです。
死はこの世にあってはいけないものだという、儒教の考え方ですね。
なぜ死んでしまったのですか、早く戻ってくださいという気持ちです。
金正日のときもみんな 「お父さん、帰ってきてください!」 といってたでしょう。
日本人は、泣かないと当局に追求されるからあんなに泣くのだろうと言いますが、あれが朝鮮半島の儀式なんです。
<加瀬> よく映像を見ると、金正日の柩を見送る列の後ろのほうは、泣いていませんでしたね。
<呉> 涙は流さないでしょう。でもワーワー叫んで嘆く。国父が死んで嘆くということで、それは家族の父の死を嘆くことの延長でもあるんです。
早くあの世に行かせてはいけない。この世に引き戻すべきだという考えかたですね。
<加瀬> 2011年暮に韓国の洋上警察官が、黄海で中国の密漁船員に殺害される事件がありましたが、その未亡人も同じように号泣していました。
<呉> 泣くのには順番があります。身近な人ほどたくさん泣かなければいけないんです。
縁遠い人があまり泣くとおかしく思われます。悲しくても身近でないとあまり泣いてはいけない。
<加瀬> なるほど・・・・・・・。
<呉> 初めて日本に来たとき、日本人は親が亡くなっても泣かないのが不思議でした。
なんで悲しくないのでしょう。実は、ウラでこっそり泣くのだと教えられましたが、この感覚は本当に理解できませんでした。
あるとき韓国の映画監督金洙容(キムスヨン)さんにインタビューしましたら、日韓共同制作の映画を撮影していたんですが、日韓は絶対仲良くなれないと言うんです。
母親が死んで娘が泣くシーンで、韓国の娘はワアワア泣くけれど、日本人は人目を忍んでハンカチでそっと涙を拭くだけ、日本人は冷たい! だから韓国人とは仲良くなれないと言ってました。
<加瀬> 大坂の教育大付属池田小学校で児童や教諭が殺傷された事件が2001年6月にありました。
葬儀があったとき、両親が泣き叫ばないのを見て、イギリスの新聞の東京支局長が 「イギリスに戻った気持ちがした」 と言いました。
小野田少尉がルバング島から羽田空港に戻ったときも、「ただいま帰ってきました」 と言い、迎えた父親も丁寧に 「ご苦労だった」 と言うだけで抱き合うわけでもない。
そのときもイギリス人の記者が 「イギリス人と同じだ。ヨーロッパ大陸の人間なら抱いて号泣するだろう」 と言ってました。
四ッ谷駅付近の土手(東京・千代田区)にて 3月26日撮影
隣にある上智大学の卒業式の日でした。