田中角栄には「金に対する羞恥心」が無かった | 人差し指のブログ

人差し指のブログ

パソコンが苦手な年金生活者です
本を読んで面白かったところを紹介します

 

 

 

「私の喧嘩作法」

屋山太郎(ややま たろう 1932~)

株式会社新潮社 2000年7月発行・より

 

 

 

田中角栄氏が首相の座を狙うようになった頃、

佐藤栄作元首相の夫人、寛子さんは田中氏に向って、

 

「角さん、どうもよく見ていると総理っていうのはやっぱりお金だけじゃないようよ」といった。

 

 

夫人は期待を込めて忠告したつもりだったが、

田中氏は呵々大笑してこう答えたそうだ。

 

「奥さん、最後は金ですよ。カネ、カネが結局ものをいう」

 

 

 

こうして総理になった田中氏がはじめて、財界人との会合に出席した時のことである。

 

あいさつに立った田中氏は緊張の面持ちで、

 

「今回、はからずも総理大臣・・・・・・」

といいかけて、これではあまりに白々しいと思ったのだろう。

「いや、全知全能を傾けて、このたび総理大臣のイスを獲得しました」

 

とやり拍手喝采を浴びた。

 

 

 

田中氏の率直な一面に財界人は一様に好意を持ち、われわれもまた、

その正直さに苦笑したのだったが、「全知全能」 が、つまるところ金の力にほかならず、「最後は金」 どころか、「最初から最後まで金」 だったのが”田中時代”といえるだろう。

 

 

 

ロッキード事件はその金権政治によってもたらされた、

ほんの一つにのオデキにすぎなかった。

 

金に対する人間の弱点をさらけ出し、まさに社会正義をも危うくした。

あの薄汚い時代を私は思い出したくない。

 

 

 

椿山荘で催されたある行事で、舞台の上に立った田中角栄氏に和服姿の少女が花束を差し出した。

 

 

田中氏は 「オッ」 とそれを受け取って、その場で財布を出して一万円札をチップとして渡そうとした。

 

 

満座の前で差し出された札を少女は断る仕草をみせたが、

それでは座がしらけると思ったのか、頭を下げて受けとった。

 

 

さぞ顔から火が出る思いだったろうが、

田中氏は少女の羞恥心など理解できる人物ではなかった

 

 

「金を貰って怒る奴はいない」 と田中氏は心底思っていた。

金にたいする羞恥心が欠落しているのだ。

 

                                         

 

 

2017年12月1日に 「田中真紀子が最前列で大声で・・・」 と題して

西部邁の文章を紹介しました、コチラです。↓

https://ameblo.jp/hitosasiyubidesu/entry-12331014015.html

 

 

 

                                                    

 

 

 

(人差し指の悩み) 

パソコンの画面で見るとチカラの 「力」 と、「か」 のカタカナ 「カ」 が、よくわからない。

ちょっと両方をまぜて書いてみましょうか・・・・カ・力・カ・力・カ

よく見ると違っています。  よく見ると・・・ですよ。

 

それともう一つ、大工の 「工」 と 「え」 のカタカナの 「エ」 これは少し大きさがちがう。工エ工エ・・・。

 

 

 

昨年11月27日 平林寺(埼玉県・新座)にて撮影